第1話 アイ
どうやら魔法は化学らしい。
様々な化学式が頭に流れ込んでくる。
分子、原子、素粒子、???。
体内の魔力を魔素に置換し、変質させ、結合。
資質や性質に左右される壁は絶対不壊ではない。
全てを掴めと圧を掛けてくる。
それすらもプログラムだろうか。
機械の中の先生は厳しい。
死の先で目覚めたのは機械仕掛けの壁に囲まれた部屋だった。
身体の変化にはすぐに気が付いた。
勝手に動かなかったから。
声が素直に出たから。
思い通りに手足を動かせたから。
それだけで涙がこぼれた。
きっと見た目は子供だろう。
それでも母に見せたい思いで胸が締め付けられる。
不自由な体でも母の愛があったから生きられていた。
だからせめて僕が投げ出した命に恩を感じてくれるのなら、母の助けになって欲しい。
それだけが向こうの世界での心残りだから。
最初に発動したのは翻訳。
日本語と異世界語を機械の中の知能とすり合わせた。
次に所有権の委譲。
この身体、加えてなぜかこの施設の全権限も譲渡された。
許可は発動されていると。
そして始まった強化プログラム。
前所有者が転生前の力を取り戻すために構築し、組み込んだのだそうだ。
全てを熟すのにあとどのくらい掛かるのだろうか……。




