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第14話 旅立ち

 目が覚めると、アイ達が自分たちも外出したいと言い出した。

 最初に浮かび上がったのは不安。

 悪い事はしないだろうか。酷い目に合ったり合わせたりはしないだろうか。その場合責任なんてものを背負わなくてはいけないのだろうか。少なくとも罪悪感には苛まれるだろう。その覚悟はあるのか。

 だからと言って、ずっとこのまま閉じ込めておいていいものなのか。とも思う。

 自分としては何かをやりたいと思う気持ちは尊重したいし、邪魔をするべきではないと思う。それに、どう生きて、どう成長するのかという興味もある。人工的に作られた身体と魂に何かしらの変化は起こるのか。世界の調和に受け入れられるのか、弾き出されるのか。神という存在がいるのであれば、あいつらの存在を許すのか。もしかしたら成長の果てに生物や魂の有り様というものが見えてくるかもしれない。気もする。

 アイ達の期待の眼差しを受けながら暫く悩んだ結果、信じることにした。結局はこれに尽きるのだと思ったから。脳や遺伝子に異常は見受けられなかったし、映画とかを見た時の反応も問題なかった。大丈夫な筈だ。

「では、行ってまいります」

「行ってらっしゃい」

 アイ達は僕に深々と頭を下げると、僕が教えた風魔法を見事に操り各々の思う方向へと旅立っていった。

 交わした約束は二つ。悪事を働かない事と一年以内には定期的に戻ってくる事。会いに行こうと思えば、転移でこちらからいけるのだけど、やっぱりたまには戻ってきて欲しい。

「ぐはっ」

 スライムが挨拶代わりの体当たりを僕のお腹にかましてきた。そして一人。いや一匹、体を弾ませながら草原の果てへと旅立って行った。

 スライムも島の外に旅立つつもりだったようだけど風魔法が使えず、誰かに連れて行って貰うにしても一人では帰ってこれないので、島の外は諦めてこの島を探検する事したらしい。

「意外と効くんだよな」

 あのスライムの攻撃は芯に響くのだ。

 ……お腹をすさすりながらふと思う。旅立つ子供を送り出す親の気持ちもこんな感じなのだろうかと。

 僕はこの気持ちを母に体験させてあげられなかった。

 言いようのない寂しさと申し訳なさが胸に溢れる。

 暫くその場から動けなくなった僕は、草原に寝転んでただ青空を見上げていた。

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