第12話 教皇
施設に戻るとアイ達はファッションショーをやっていた。
朝っぱらから。
一晩中やっていたのか気になったけど、眠いので無視して爆睡した。
相不変ず座り心地の悪い椅子だ。
「なぜ教皇になった?」
周りに俗人しかいなかったからだ。
「己は違うと?」
マシだというだけだ。
「なぜ分かり合おうとしない」
必要がないからだ。
「なぜ認めない」
不浄であるからだ。
「なぜ押し付ける」
それが救いである。
奴は私を説得しようとしていたのか。理解しようとしていたのか。受け入れようとしていたのか。
何十年と繰り返した問答は意味があったのか。
ぶつかり合う理念の折り合いを見つけられぬまま貴様はこの世を去ったのか?
「報告致します」
やはり奴はもうおらぬか。
「リーベル公の殺害、成功致しました。オルトシーク教徒および教会の殲滅、失敗致しました。大賢者リュライの生存確認、生存の可能性有り」
可能性などありはしない。
「生存を断定できない理由は?」
「異常な力を持つ少年は確認できましたが、中身ついては異論が出ております」
「異論? 誰のだ?」
「俺ですよ」
「ベダか。申せ」
「俺は実際に奴と戦ったんですがね。あいつ。防衛隊のガキを殺す気で殴りやがったんですよ。リュライならあの街の住人にそんなことしないでしょ」
「うむ。一理あるか。聖下。如何思し召しで有らせられましょうか」
「リュライではない。リーベルが死したことが証左である」
奴が救わぬはずがない。
「但し、その少年は今後も注視せよ。大義であった」
足が重い。
貴様の重荷まで背負わされたのか?
否。我が成すべき事はただ一つ。
人族の繁栄。
世界を人族の手に取り戻す。




