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まことの魚
私が次に目を覚ますと嵐の王の宮殿に倒れていた。
まるで何事もなかったかのように。
雨も止み、暴徒の姿も消えている。
静けさが蘇り、白と黒の宮殿が影を作っている。
ただ変わっていることがあった。
宮殿の城内に広がっていた紫の靄だ。
香炉がすべて消えている。
私は、ふと頭上を見上げる。
そこには、魚となった少年たちが太陽を背に泳いでいた。
嵐の王を取り巻いて輝く群れとなって泳いでいる。
私もまた地面を離れた。
そして彼らの群れに仲間として加わり、遠く外洋に出るのだった。