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撫で心地

「あーーー! もうダメだ」


長い長い授業を終えたオレは、昼休みになった途端限界を迎えた。


「も〜 アキちゃん授業中寝てただけのくせに…それに今日は全教科オリエンテーションだけだったでしょ?」


そう言いながら、優木チャンは弁当をオレの机に置いた。


「それが疲れたんだよ… 眠いし、何より体育あると思ってたらオリエンテーションとかふざけんなっ!」


「そんなに体育楽しみにしてたんだ…」


「1番楽だからなァ」


あっ、やべぇなどんどん素が出てる気がする。

もっとクールにしなきゃかっこ悪い。


オレはそんなことを考えながら弁当を出した。

すると優木チャンは教室をキョロキョロ見渡し始めた。


「そういえば美濃さんはどこだろう? 一緒にお弁当食べたかったのに…」


「アイツ便所で食うってよ」


「便所?! 可哀想じゃん! 誘いに行こうよ!!」


「あー… なんかアイツ、人前で飯食うの恥ずかしいらしくてさ」


一緒に弁当食べないかと、さっきオレは誘ったのだが、1人で食べたいと美濃は言い張った。

さすがに便所飯はやめとけと言ったものの、便所しか勝たんとかなんとか言ってすぐ去っていった。


「あー、なるほど。たまにそういう子いるよね」


「オレには理解出来んがな」


「あっ、じゃあ昼休みは2人の時間だね。なんか特別でいいかも」


そう言って優木チャンは小さく笑った。


あー、もうズルい可愛い…なんでそんなこと言っちゃうかなァ? そういうので勘違いしちゃうんだってば…


「そういえば美濃さんが私を撫でたいって言ってたじゃん?」


「言ってたなァ…」


そんなことが許されると思っているのか。

まだオレも撫でたことないんだぞ!


「私、よくそうやって言われるんだよね〜、やっぱ髪の毛がふわふわしてるからかな?」


いや、それは優木チャンが可愛いからだろ…


「確かに髪の毛がふわふわしてて触りたいとは思うよ」


そう言ってオレは優木チャンの綺麗な髪の毛を指で刺した。


「なるほどぉ、やっぱりそこか… アキちゃんも撫でてみる?」


「え?!」


そう言うと優木チャンはオレの近くに来てしゃがみ込んだ。


どっ、どどどどどうすればいいんだ?!


優木チャンは大きな目を輝かせながら、さぁこいと言わんばかりに待っている。

なんか撫でられるのを待っている犬みたいでめっちゃ可愛い。


「撫でないの?」


「なッ撫でる!」


これ本当に撫でていいの? 力加減は? 何秒くらい?

あー!! 頭撫でるくらいで何こんなにテンパってんだオレェ!


「撫でるぞ、 ほんとにいいんだな?」


「何をそんなに構えてるの…」


意を決したオレは恐る恐る優木チャンの頭に触れた。


うわ、ほんとにふわふわ…柔らかい。

オレはそのまま優木チャンの頭を優しく撫でた。

撫で心地は最高だった。


「なんかこれ恥ずかしいね〜」


優木チャンは顔を赤くしながら照れくさそうに笑った。


「今更気づいたのか、もしやアホか」


「もうっ! そういうこと言わないの!!


優木チャンは、まだ撫でてるオレの手を振り払って自分の椅子に座り直した。


「それよりどうだった? 私の撫で心地は」


どうだったって言われてもな…


「まあ、髪の毛ふわふわだし、撫で心地はいいんじゃないか…?」


「良かったぁ〜! いつでも撫でていいんだからね!」


そう言って優木チャンは頭を突き出した。


「それは遠慮するわ」


「えー!」


撫でられたのは嬉しいけど、流石に心臓に悪すぎるんだよ…!


これから、2日に1回のペースで更新していきたいと思います。

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