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優木チャンの部屋

放課後になり、今オレは優木チャンの家の前にいる。


家というか、なんか凄い綺麗なタワーマンションの前だが…


「すげェ…こんなとこに住んでるのか。もしや金持ちか?」


「うん、お父さんがそこそこ有名な会社の社長なんだ」


優木チャンはドヤ顔で両手をブイにした。

やっぱなにしても可愛いなこの子は。

オレは可愛い優木チャンのドヤ顔を見てニヤけそうになったのを必死に抑えた。


「アキちゃん、そんなことより早く行こ行こ!」


優木チャンはオレが家に来てくれることが嬉しいのか、目をキラキラさせながらオレの腕を引っ張った。

まるで尻尾を元気に振っている犬のようだ。


優木チャンはオートロックらしきものを開けてエレベーターに向かった。

エレベーターに乗ってしばらく経った後、オレは口を開いた。


「これ何階まであんの?」


「20階だよ、ちなみに私が住んでるのは20階」


「マジかよ…最上階ってすげぇな」


よく知らないが最上階は凄いんだろうなァ…なんて考えていたらドアが開いた。


「着いたよ〜」


オレ達はエレベーターを降りた。

優木チャンは部屋のドアを開けて「入って入って〜!」と嬉しそうに笑った。


「失礼します…」


なんか緊張する…

友達の部屋に行くのって何年ぶりだろう、中学ではぼっち極めてたしなァ…。

あれ?玄関なのに靴箱が置いてあるだけだな。

えっと、靴は何処に置けばいいんだろうか…


「アキちゃん、靴脱がなくていいからね?」


「…?! みっ、見りゃわかるし!」


オレは靴を脱ごうとしていた足を止めた。

靴脱がないタイプのマンションだったのかよ…


「ここ私の部屋だよ」


優木チャンはそ部屋まで案内してくれた。


優木チャンの部屋ねェ…ますます緊張してきた。


優木チャンが部屋のドアを開けると可愛らしい部屋が見えた。


「適当そこの椅子に適当に座っててね。私飲み物とお菓子持ってくるから」


「わざわざ悪いな…」


「ううん、私も前アキちゃんの家にお邪魔したし気にしないで」


優木チャンはそう言って部屋から出ていった。


にしてもすごい女の子って感じの部屋だなァ…

可愛らしいぬいぐるみや小物が置いてあるし、部屋はいい香りがする。

俺のシンプルな部屋とは大違いだなァ…にしても落ち着かねェ。

部屋中優木チャンの匂いがしてなんかこうヤバい…

色々考えていたらドアが開いた。


「お待たせ〜沢山あるから遠慮なく食べてね!」


優木チャンの持ってきたお盆には、お茶と沢山のクッキーが乗っていた。


「サンキュー。あのさ、美味そうだけど量がおかしいだろ…飯食えなくなるって」


「大丈夫! 優木チャンは好きな分だけで食べて、残りは全部私が食べるから」


さすが胃袋ブラックホールだ…カレーをあんなに食べてたんだしこのくらい優木チャンは余裕なんだろうな。

オレはそんなことを考えながらクッキーを1つ手に取って口に入れた。


「美味い...! 甘すぎなくていいなこれ、どこで買ったんだ?」


優木チャンは照れくさそうに笑った。


「えへへ、実は私よ手作りなんだ〜。気に入って貰えて嬉しい」


「マジか…」


優木チャン流石にハイスペックすぎるだろ…。

運動以外何も出来ないオレとは違いすぎて泣けてくる。


「てか本来の目的の勉強しなきゃな…めんどくさくなってきた」


テスト勉強という嫌なことを思い出してしまった。


「そんなこと言ってないで早くやるよ! 目指せ満点!!」


「いや流石にそれは無理だ!」


「まあまあ、目標は高い方がいいでしょ」


確かにそうだかいくらなんでも高すぎるだろ、まず赤点回避だろ…。


「私全力で教えるからなんでも聞いてね!」


わァ、なんかすげぇ楽しそう。


「じゃあ、数学のここの問題教えてくれ」


「了解!」






「でっ、できたァ〜!」


「お疲れ様〜」


1時間近く勉強してやっとなんとか数学ができるようになった。


「ふぅ、これでとりあえず数学は安心だな」


1時間も勉強したの初めてだったものだから全身の疲労が半端なかった。

オレは凝っている首をグルグル回した。


「も〜、油断しちゃダメだよ? アキちゃん全教科ダメなんだから勉強はまだまだ終わらないよ!」


「うへぇ、勘弁してくれェ…」


正直もうオレの脳は限界が近い。


「1時間は勉強したもんね、一旦休憩にしようか」


「よっしゃ!! じゃあ何する?」


「特に遊ぶ道具とかないからなぁ、あんまやることないかも…」


「そっかァ」


確かに優木チャンってゲームしてるイメージはないし、趣味は食べること!って感じだもんな。


「じゃあ、お互いの知りたいことを質問し合うって言うのはどうだ? オレ達まだお互いのこと全然知らないだろ?」


優木チャンのことで気になっていたことは沢山あるしな。


「それいいね! アキちゃんから質問してどうぞ」


「オーケー、じゃあ優木チャンはなんで工業高校に入学したんだ? 工業関係で働きたかったとかか? だとしても頭良いしもっといいとこ行けたと思うんだけど」


「あー、うーんとね...! 特に理由は無いよ! なんとなくかな」


優木チャンは慌てた様子でそう答えた。


「ふぅん…」


多分他の理由がありそうだが困ってるしあんまり深く聞くのはやめておこう。

やっぱ謎が多いなァ。


「じゃあ次、私が質問するね。 アキちゃんは谷内さんとの勝負に勝ったとしたら、私から、その…ほっぺにキスされるの本当に嫌じゃない?」


…まさかの質問?!


「いっ、嫌じゃねぇよ…学校でも言っただろ」


嫌なわけないしむしろ嬉しいがそんなことは言えないしなァ…。

オレは自分を落ち着かせるためにお茶を飲み始めた。


「じゃあさ、もしキスされたとしたら嬉しい?」


「ブフォッ!! ゴホッゴボ! はァ?!」


「わ! アキちゃん大丈夫?!」


「わ、悪ィ…」


なんでよりによってお茶飲んでる時にそんなこと聞いちゃうかな?!


「まあ大事な友達だしィ?嬉しいと言ったろうが近いと思うぞ! 特別な意味はないけどな!!」


そう、特別な意味なんてない。

優木チャンはオレからの返事を聞いて安心したのかニコニコと笑った。


「そっか〜なら良かったよ。じゃあ安心して勝てるね!」


「そうだな...! オレ、勉強頑張らないとな!」


その後なんだかお互い気まずい雰囲気になったまま解散になった。

勉強も頑張らないとだが、優木チャンからキスされる場合どういう対応するべきかも考えなきゃな…



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