勉強会の場所
谷内と『約束した高得点を出した方が勝ち』という頭の悪いオレにとっては無謀な勝負をすることが決まってから早くも数週間経っていた。
中間試験1週間前となっていた。
オレはその事実から逃げるために授業中ずっと居眠りをしていた。
すると横から肩を優しく叩かれて目が覚めた。
「アキちゃ〜ん、お昼休みだよ。テスト大丈夫そう?」
「多分無理ィ…オレもう限界」
一瞬だけ起きたものの現実を見たくなさ過ぎてオレは二度寝を開始した。
「もう! 二度寝しないでよ。まだテスト勉強すらしてないのに諦め早すぎるよ」
優木チャンはオレの体を両手で揺らした。
「あーもう起きるから! でもオレ勉強だけはめりなんだよ」
「だから私が教えてあげるから勉強しよう? 赤点とったら留年だよ」
「うぐっ…」
そうなんだよなァ…小中学校と違って高校は留年する可能性がある。
流石に留年は避けたい、だが勉強するのも避けたい…
「そうだ! 私の家で勉強会しない? そしたら沢山勉強できるし楽しそう」
「え?!」
優木チャンの家…優木チャンの部屋…何それめっちゃ行きたい。
それに忘れていたがオレが負けたら優木チャンは谷内にキスすることになる。
そんなの絶対にオレが許さない。
やっぱ勉強すべきか…
「別にオレはいいけど家の人に迷惑じゃねーの?」
「それなら大丈夫だよ。お父さんもお母さんも仕事が忙して家にあまり帰ってこないんだ」
そう言いながら優木チャンは少し寂しそうな顔をした。
「…寂しくねぇの?」
「兄弟もいないし寂しいよ…だからアキちゃんが家に来てくれたら嬉しい。実は勉強は口実で本当はアキちゃんともっと一緒に居たいって言うのが本音」
優木チャンはヘヘヘと照れくさそうに頭をかいた。
相変わらず可愛すぎる…
もっと一緒に居たいと言われて喜ばない人はいないと思う。
しかもこんなに可愛い子に。
「迷惑じゃなければ優木チャンの家で勉強会? してもいいけどォ…」
そう言うと優木チャンはパァと顔を明るくしてオレに抱きついてきた。
「やった〜!! えへへ、楽しみだね」
「そうだな」
近いし色々当たってるし、いい匂いするしで抱きつかれるとやっぱり緊張してしまう。
そろそろオレも慣れるべきなんだろうけどそれはまだまだ先になりそうだ…
短くてすみません。