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誰かからの視線


朝のホームルームが終わり、オレは胸を躍らせていた。

今日は待ちに待った体育があるのだ。

前回は、折角体操服に着替えたというのに体育館でオリエンテーションをするだけという地獄のような時間だったのもあって、焦らされた分楽しみも大きかった。


「アキちゃんご機嫌だね〜」


喜びが顔に出ていたのか、優木チャンはニコニコしてオレの頬をつついた。


「やっと体育が始まるからな。あーはやく動きてぇ」


「まず着替えに行かなきゃだよ?」


「わかてるって」


すると、優木チャンはクスクスと小さく笑いだした。


「前の授業では着替えなくていいのに1人だけ体操服着てたよね」


「うっせ、はしゃいでたんだよ! 悪いィ?」


前回は着替えなくていいと言われていたのにオレはそれに気づかずさっさとトイレに行って着替えたのだ。

1人だけ体操服だったものだからそりゃ目立ったし、先生にも笑われた。

思い出しただけで恥ずかしくなってきたァ…黒歴史ものだわ。

そうこう考えながら優木チャンとオレは更衣室に向かった。


オレ達の教室の隣にある空き教室がどうやら更衣室らしい。

前回オレはトイレで着替えたものだからここに入るのは初めてだ。

オレはドアをガラガラッと開けた。

教室の中では既に来ていたクラスメイトが着替えている途中だった。

その中の1人がオレ達が来たことに気づいて近寄ってきた。


「澤谷さんと優木さん遅いですよ〜」


近寄ってきた子はどこかでみたような顔な気がしたが誰だか分からない。

こんなポニテの女子いたっけ?


「お前誰?」


するとポニテの女子はガーンという効果音がつきそうなくらいショックを受けた。


「酷い! もう忘れたんですか? 美濃ですよ美濃!」


美濃…あ!


「あーお前美濃か! いつもおさげなのに今日はポニテだから気づかなかった。」


「私そんなにおさげの印象付いてます?!」


「うん」


「そんなぁ…顔で認識してくださいよ」


いじけている美濃は置いといてさっさと着替えなきゃな。


「優木チャン、この辺で着替えよう」


「あ、これ完全スルーですね」


オレはそんな美濃をガン無視しながら着替え始めた。


「美濃さん、ポニテも可愛いね。似合ってる」


そんなオレとは対照的に優木チャンは着替えながらも美濃に話しかけた。


「はわわ、やっぱ優木さんは天使…いや女神です!」


美濃は涙を流しながら優木チャンを拝むような体制になった。


「わわ、恥ずかしいよ〜」


照れてる優木チャンも可愛いなァ…


「オイ、優木チャンが困ってるだろ」


「優木さんが女神なら澤谷さんは悪魔ですね。」


「一発殴られたいのか?」


「ヒエッ、やめてください!」


美濃は顔を青ざめてオレから距離をとったが直ぐに戻ってきた。


「待ってください、やっぱりご褒美なので殴ってください!!」


そう言って美濃は興奮気味にオレの前で正座をした。


もうヤダこいつ…


「アキちゃん、早く体育館行かないと間に合わないよ?」


優木チャンはいつの間にか着替え終わっていたみたいだ。

待てよ、着替え終わってないのオレだけじゃねぇか!


「澤谷さ〜ん、早くしてください。優木さんと先行きますよ?」


「オメェのせいだろうがァ!!」


オレは体操服を雑に着たあと2人と更衣室から出た。


「ん?」


「アキちゃんどうかした?」


突然立ち止まって後ろを見たオレを優木チャンは心配そうな顔で見た。


「いや、なんでもない」


一瞬誰かに見られた気がしたが気のせいか…?

いや、気のせいと思いたいが誰かからの視線を感じたのは確かだった。


「2人と共! 急いでくださーい!」


気にしすぎか…そんなことよりも時間ないし早く体育館に行かなきゃな。

オレは気づかなかったことにして体育館に向かった。

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