25話:マルコ・スティルブの策略
どうも、眠れぬ森です。
繁忙期&体調不良で遅くなり申し訳ございません。。
拙い文章ですが、よろしくお願いいたします。
「レヴィルとマルコは私が抑えるから、ジェームスくんとリーネちゃんは他の人をお願い!!」
私はジェームスくんとリーネちゃんに指示を出すと、マルコの方を向き問いかけた。
「マルコ伯爵、貴方は一体何をしたのですか!!」
「ちょっと彼らの魔力を底上げしただけに過ぎんよ、呪いの魔道具を使ってな。」
私は彼の答えに頭に血が上るのを感じた。それでも、冷静を装ってさらに問いかけた。
「それを使って、貴方は一体、何をするおつもりですか…?」
すると、マルコはぐにゃりと顔を歪めながら笑い言った。
「決まっておるだろう?魔術士の殲滅と、ライアー・ヴェルデグランの抹殺だよ。この世に紛いは要らんのだ、その為にまずはライアー・ヴェルデグランが邪魔だ。」
「この外道が…氷の槍!」
私はマルコの言葉を聞くと、彼に向かって魔法を放った。しかし、それは横から飛び出してきたレヴィルの魔力壁によって防がれてしまう。
「な!?」
私はその光景に絶句した。確かに高威力の魔法ではなかったが、二級魔法士程度の実力のレヴィルに、しかも魔力壁のみに防がれるとは思ってもいなかった。その様子を見て、マルコがニヤケながら言ってきた。
「何を驚いておる、言ったであろう?魔力を底上げしたと。おっと、そろそろ奴らも動けるようになってきおったようだな。」
そう言いながら事前を逸らすマルコ。それにつられて視線を向けると、先程まで苦しみ悶えていた結界役の十人が一人、また一人と立ち上がっていた。その目は虚ろで空虚さを感じられた。
「一体あれはなんなの…」
「ふん、貴様が知ったところでどうすることも出来んが教えてやろう。」
私の呟きにマルコが笑いながら答える。
「あの笛の効果は魔力強制解放というらしい。体内の魔力回路の枷を強制的に外して飽和状態にする事で爆発的な魔力量の上昇が起こるのだ。副作用で自我が無くやるらしいがな。」
「っ!?それじゃあ彼らは!!」
「生きては帰れんだろうな。まあ、魔法士至上主義の贄となれるのだから感謝してもらわねばな!!」
「そんなことさせないわ!!氷の砲弾!!」
マルコの言葉を聞いて私は本能で魔法を放った。しかし、それもレヴィルの魔法で防がれてしまう。相手をなるべく傷つけずに無力化しようとしているが、それだと相手に防がれてしまう。闘技場に暴風が吹き荒れた。
「なんだ!?」
マルコが当たりを見渡すと、結界役のラティスの十人が床に倒れていた。そして、その中にリーネが澄まし顔で立っており、こちらを見ながら言ってきた。
「こちらは終わりましたわ〜。」
「リーネちゃん!!」
こちらに声をかけてきたリーネちゃんに私は歓喜の声をあげる。すると、ジェームスくんが私の肩に手を置き、話しかけてきた。
「しっかりしてくださいよ、学園長はそんなに弱くないでしょう?それに、クレイ君の事で彼らはもう助からないと分かっているでしょう?」
その言葉に私は一瞬戸惑う。確かに呪いの魔道具は使用者に代償を払わせられる。それがなんなのかは分からないが、クレイくんの件を聞いた限りではろくなことにならない事が分かる。
「ええい、約立たず共が!!もっと頑張らんかい!!」
突然マルコが叫び、倒れているラティスの一員の頭を足蹴にした。そして目の前のレヴィルに向かって言った。
「レヴィル!!やってしまえ!!」
「グ、グヴァァァァ!!」
マルコの言葉に、レヴィルは理性を失ったような顔でこちらに向かってやってきた。
「学園長、覚悟を決めてください。」
ジェームスの言葉に、私は決心して魔法を発動させた。
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「くっ!?」
「一体何なのよ!?」
レヴィルが笛を吹いた瞬間、苦しみ出したと思うと俺たちに襲いかかってきた。彼らは体から魔力を放出しながら魔法を放ち攻撃してきている。それをサリアとサーシャは魔法壁で防御している。
「これは、クレイと戦った時と同じだな。」
「どういう、こと?」
俺は知覚限界突破を使い魔法を避けながら言うと、アイリスが問いかけてきた。
「俺がクレイに襲われた時と同じ、魔力暴走を起こしている。恐らく呪いの魔道具だろう。」
「それって、どうなるの?」
「奴と同じなら、魔力が増える代わりに何かしらの代償を払うことになると思う。」
「っ!」
その言葉にアイリスは息を飲んだ。すると、今度はサリアとサーシャが声をかけてきた。
「どうするのライアー君!!」
「このままじゃ押されちゃうわよ!!」
「大丈夫だ、心配するな。」
そう言うと、俺はサリアとサーシャの前に飛び出した。すると、相手は俺を狙って魔法を放ってきた。
(やはりそうか。)
俺は確信した、コイツらは俺を狙ってきているのだと。先程からの攻撃が俺のほうに魔法が飛んできており、俺の前に出て攻撃を防いでくれているサリアとサーシャ以外に攻撃は飛んできていない。
「ライアー君!?」
「ライアー!!」
「ライアー…!?」
そんな俺を見てサリアとサーシャ、アイリスが驚きの声をあげる。それを見ながら、俺は三人に指示を出した。
「奴らの狙いは俺だ。攻撃を引きつけるから攻撃をしてくれ!」
そう言うと、飛んでくる魔法を知覚限界突破を使いながら避けていく。それに合わせ、三人は相手の魔法士の横と背後へと回り込んでいく。それを確認した俺は目で合図をすると、相手魔法士へと切り込んで行った。
「ガァァァァァァ!!」
相手魔法士は本能なのか、迫り来る俺に魔力壁を展開して防御態勢を取った。しかし、俺はそれを見越して霧雨を抜いていたのでそれで魔力壁切りつけた。
パキィィィィィィン!!!
軽い音がなり相手の魔力壁が砕かれる。その瞬間、俺はガーディアンを抜き相手の手足に向かって銃弾を撃ち込んだ。
パパパパパパパパン!!!
SMG特有の軽い発砲音と共に、ガーディアンは相手の手足を撃ち抜く。
「行け!」
相手が崩れ落ちると同時に俺は三人に声をかける。すると、三人は攻撃態勢に入るとそれぞれ相手魔法士に向かって走り出した。しかし、崩れ落ちたと思った魔法士が再び立ち上がった。
「離れろ!!」
それを見た俺は咄嗟に三人に叫んだ。その瞬間、相手魔法士が魔法を放ってきた。
「え!?」
「なんで!?」
「っ!?」
三人は攻撃を中断し、咄嗟に避けた。するとまた相手魔法士は俺に向かって攻撃をしてきた。
(クレイの時とは違うな。)
相手を見ていて俺はそう思った。クレイの時は理性もハッキリとしていたし、会話も通じた。しかし、今回は魔力の増大という点では同じだが、どうも理性を失っているらしく、会話も通じそうにない。一応敵と味方の区別はついているみたいだが、それだけだ。
(もう人としての意識は無さそうだな。)
そう思った俺は、魔法を放つ相手を見ながら三人に言った。
「サリア、サーシャ、アイリス。俺は今からコイツらを殺す。」
「ライアー君!?」
「嘘でしょ!?」
俺の言葉にサリアとサーシャは驚きの声をあげる。しかし、アイリスだけは違った。
「分かった、やる。」
「アイリス!本当に言っているの!?」
アイリスの言葉にサーシャが詰め寄る。しかし、それを睨みつけながらアイリスは答えた。
「相手は、私たちを殺す気。だったら、それなりの覚悟、してもらう。嫌なら、そこで見てて。」
「アイリス…。」
サーシャの呟きを聞き流しながら、アイリスは俺のほうへとやって来て言った。
「後ろ着いてく、そして、やる。」
「分かった、悪いな。」
「気にしないで。」
その言葉と共に、俺たちは相手魔法士へと向かって走り出した。俺が知覚限界突破で魔法を避け、それと同じ動きでアイリスがついてくる。ジェームスから一本取った時と同じ動きで相手に接近していく。
「グッ!!」
俺たちの接近を警戒してか、再び空いて魔法士は魔力壁を張り防御に入る。
「同じだ。」
俺はそれを霧雨で切り裂くと、そのまま一番手前にいた魔法士の頭にブラックホークを突きつける。
「悪いな。」
その言葉と共に引き金を引く。流石の魔法士でも、この至近距離から銃弾を防ぐ術は無かったようで、脳漿を撒き散らしながら倒れる。そして、その横にいた相手もアイリスが喉を切り裂き、心臓を刺して絶命させた。
しかしその瞬間、後ろにいた魔法士二人が俺とアイリス目掛けて魔法を発動しようとしていた。
(しまった!?)
「きゃっ!?」
俺は防御が間に合わないと思った瞬時にアイリスを抱き寄せて守る体勢に入った。しかし、彼らの魔法は発動する事はなかった。
「グバァァ!?」
「グガァァ!?」
相手魔法士の悲鳴が聞こえてきた。振り向くと、彼らの心臓の位置にぽっかりと穴が開いていた。
「ライアー君、大丈夫!?」
「アイリスも平気!?」
驚く俺にサリアとサーシャが駆け寄ってきた。
「まさか…」
「怖かったけど、アイリスが覚悟を決めたなら私たちも決めないとね!」
「あたしにも、ライアーの背中を任せて欲しいのよ!」
震えながら二人はそう言う。恐らく初めて人を殺したのだろうから無理もない。俺はそんな二人の肩に手を置き言った。
「二人ともありがとう、助かった。」
「ライアー君…」
「ライアー…」
すると、二人は安堵の表情を浮かべた。しかし、安心するのはまだ早い。結界の外にはまだ多数の魔法士がいる。
俺は武器を構えて結界の外に居る魔法士に目を向けた。その時だった。
ドガァァァァァァン!!!!
激しい爆音と衝撃が闘技場を襲った。それと同時に結界が解かれ、土煙が俺たちを襲う。
「くっ!?三人とも警戒しろ!!」
俺の言葉に、サリアとサーシャとアイリスは土煙から顔を守りながらも周囲を警戒する。そして土煙が晴れていくと、そこには驚きの光景が目に映った。
「こちらは終わりましたわ〜。」
そこに立っていたのは、十人を相手に一撃で無力化したリーネが立っていた。
「嘘でしょ…」
「あの人数を一人で倒したの…」
「もはや、人間凶器…」
流石の三人も言葉を失っている。すると、今度はリアスの居るほうから強力な魔力が迸るのが見えた。
「氷結の舞!!」
そちらを向くと同時に、リアスが魔法を放つのが見えた。その魔法はレヴィルを瞬時に凍りつかせていた。
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「有り得ん、有り得んぞ!!何をしておるのだこのボンクラどもめが!!」
その光景に、マルコは驚愕の表情をしていた。それもそうだろう、俺たちの倍以上の仲間が一瞬にしてやられたのだから気が気では無いのだろう。彼は氷漬けになったレヴィルを蹴りながら叫んだ。そんなマルコを見ながら俺は言った。
「諦めろ、お前の負けだ。」
「魔術士風情が何をほざく!!今すぐぶち殺してやるわい。」
その言葉に、マルコはこちらを睨みながら言ってきた。そして、懐から一つの指輪取り出した。
「これを使う羽目になるとはな!」
「それは!!」
俺が気づきブラックホークを抜くが、既に遅かった。マルコは指輪を指に嵌めると、体から魔力が爆発的に漏れだした。
「ハハハハハ!!!素晴らしい力だ!!!」
「マルコ、それを使ったらお前は終わりだ。」
高まった魔力に笑うマルコに俺はそう言う。しかし、彼はそんな事を気にしないかのようにこちらを見て笑い続けながら言った。
「例えそうだとしても、貴様を殺せるなら本望だわい!!」
そう叫ぶと、マルコは魔法を発動させた。彼の周りに黒い魔力が渦巻いたかと思うと、それが一気に解き放たれた。
「危ない!?鉄壁の氷結!!」
リアスがそう言うと、俺たちの前に出て氷魔法で防御を張る。しかし、マルコの魔法は俺たちを通り過ぎて闘技場の外へと飛んでいく。
「何をしておるのだ?そんな事をしても無意味だぞ。」
「それってどういう意味かしら?」
リアスの言葉にマルコはニヤケながら答えた。
「忘れたのか?儂の得意魔法は精神系統に作用する闇系統の魔法だと言うことを。」
「なんですって、まさか!?」
マルコの言葉にリアスが驚いた声をあげる。その瞬間、闘技場に四十名ほどの魔法士が入ってきた。その者は皆呪いの魔道具を使われたような状態で、理性を失ったような表情で体中から魔力を滲ませている。そんな彼らを見ながら、マルコは笑いながら言った。
「まだ終わらんよ、ライアー・ヴェルデグラン。この人数の魔術士至上主義の組織を相手にどうする?」
「くっ…」
俺はその言葉に唇を噛む。先程とは比較にならないほどの魔法士の量だ。俺たちだけで乗り越えられるのだろうか。そう思っていると、俺の肩を叩く者がいた。それはジェームスだった。
「ライアー君、どうするんだい?」
その言葉に俺は周りを見る。サリア、サーシャ、アイリス、リーネ、そしてリアス。全員俺を見て頷いた。それを確認してジェームスに言った。
「決まってる、戦って生きる。」
「じゃあ、僕も手伝おう。可愛い後輩の為だからね。」
そう言うと、ジェームスはソードを構える。それと同時に全員が戦闘態勢に入る。マルコはそれを見ながら笑いながら言った。
「あくまで逆らうのか、ライアー・ヴェルデグラン!!必ず息の根を止めてやる!!」
それと同時にマルコの周りに居た魔法士が襲いかかってきた。
「絶対に死なん!!」
俺はそう言うと、魔法士たちを迎えうった。
ありがとうございました。
今一度お知らせですが、繁忙期&体調不良で更新頻度が落ちると思います。
次回もよろしくお願いいたします。