お嬢さま視点1。
短いです。
「早苗お嬢様、そろそろ起きてください。入学式に遅刻しますよ。」
頭の上にそんな声がかかってきて、はっと目を覚ます。
「おはようございます。お嬢様。」
「そ、そうね。で、起こしてくれたのはありがたいんだけれど、
も、もうちょっと離れて。」
至近距離で見つめられて、鼓動がはやる。
このメイド、円城透は優秀なメイドである。私ととても同じ年とは思えないほどだ。
いつも何があっても冷静で、表情一つも動かさない。
だから、いつもドキドキするのは私だけで、1人で透の言動に振り回されている。
..。いけない。考え事をしていたわ。早く準備をしなくちゃ。
いそいで服を脱いで、制服に手をかける。
「お嬢様。私は外に出ておりますゆえ。着替え終わったら教えてください」
「あっ..。うぁっ.…!!!!!」
私のあほ!!いくら寝ぼけてるとは言えども、さすがにこれはボケ過ぎている。
引かれたかな。引かれたよね.…。ま、まあでも透のことだから私の下着姿なんかみても
何も思いはしないか。で、でも。最近ちょっぴり太ってきたしやっぱり、恥ずかしい。
そんな思いを抱えながら、急いで制服に着替える。
「透、終わったわ。朝食を取りに行きましょうか。」
「はい、お嬢様」
やっぱり。透はいつも通りの感情の読めない顔をしている。
私はまだこんなに顔が赤くなって、まだまともに透の顔を見ることができないっていうのに。
分かってはいたことだけれど、それが、ちょっと悔しい。