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蹴り飛ばしたイケメン不良男子と異世界トリップしたら、実は3年間私に片想いしていた人でした。  作者: ハラペコWASABI


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ソウタ・ド・ヤンキー

「旦那様、お客様をお連れ致しました」


 両開きの重厚な茶色いドアが開けられると、金髪に金色の瞳の男性が笑顔で迎えてくれた。背後に笑顔のピンクマンが立っている。


「遠い世界からようこそお越し下さいました。私の名前はグレッグ・クルーデンと申します。どうぞ、我が屋敷でゆったりとお過ごしください」


 伯爵は真っ白なシャツにグレーのベスト、黒いズボン姿。貴族ってもっと派手な服装を想像していたけど意外とシンプル。


「ありがとうございます。わたくしナナミ・オガワと申します」


「っと、俺はソウタ・ド・ヤンキー」


 あ。本気でド・ヤンキーになる気なんだな。

 蒼大に目を向けると嬉しそうに微笑まれたのでやっぱり黙る事にした。


「私達、地球という惑星の日本という国から来ました」


 シンプルに挨拶。するとクルーデン伯爵は目を見開いた。


「聞いたよ!初代サトウ王と同じ国の出身らしいね!」


「そうなんです!サトウ語は私たちの国の文字で、見た時は驚きました」


「ほう!実はサトウ人でも読めない文字で書かれた初代サトウ王の文献があるんだが、2人が読める可能性はあるかね?」


「見て見ないと分かりませんが可能性はあるかもしれません」


 漢字とか英語とかアルファベットかもしれない。


「それではサトウ国に手紙を送っておくから行ってみるかな?きっとサトウ王も大興奮されるだろう」


「はい。サトウ国にも行ってみたいです!」


「そのように手配するとも」


「よろしくお願いします」


 日本人が作った国、興味深過ぎる。どんな街並みで、どんな人達が住んでいて何があるのか。


 絶対行ってみたい。


 伯爵と談笑しているとドアがノックされ、20歳前後の背の高い若い男性が入って来た。


 堂々とした振る舞いと、襟と袖口にフリルの付いた質の良さそうなシャツに金髪金瞳がクルーデン伯爵のご令息だろうとすぐに思わせる。


「父上、異世界からお客様がいらっしゃったと聞きました」


「ああ、こちらのお2人だ。ナナミ・オガワ様とソウタ・ド・ヤンキー様だ」


 紹介され椅子から立ち上がるとご令息は私の前に来て手を取った。


「わたくしレノックス・クルーデンと申します。異世界からのお客様を歓迎致します」


 レノックスが頭を下げ手の甲に唇が……つく前に蒼大の手が私の手を覆っていた。大きな、暖かい手。


「あ~!すみません、その挨拶俺達の国では禁止されてるんですよ」

「ああ!うちの息子が申し訳ございません!聞いていなかったみたいで」


 レノックスは間髪入れず手を引いた。


「失礼をして申し訳ございません」


 蒼大は頭を下げたレノックスの手を握り握手をした。


「俺らの国では男同士の挨拶はこれで、異性への挨拶は手を触れちゃダメって決まりがあるんすよ……」


 蒼大が真剣な表情で話すので、レノックスもクルーデン伯爵も真剣な表情で頷いた。


 えと、異性でも握手くらい良いのでは?でも今更言いにくい。


「どうやってこの世界に来たのか覚えてますか?」


 レノックスの問いに蒼大が首を傾げて私に目線を向けてきた。


「トラックっつー大きくて硬い乗り物にぶつかってバーンと飛ばされた……のか?」


「多分……」


 としか言いようがない。


「とにかく気付いたらこの世界にいて——」


 この世界に着いてからの話を始めると伯爵もレノックスもピンクマンも夢中になって聞いてくれた。


 森の中で私達に突進して来たイノブタは、この世界では牙ブタと言うらしい。

 滅多に出ないが動きが早く人を襲うので、剣でもない限り普通は苦戦するとか。


「凄い!どうやって木の棒一本で倒したんですか?」


「そんなもん気合のフルスイングで一発だったけど」


 蒼大は身振り手振りで説明。確かにあのフルスイングはすごかった。


「凄い!ソウタは男らしいね!」


 ピンクマンは手帳を取り出しいそいそとメモをとった。

 今の流れで何を書いたんだろう?

 分からないけど騎士様にも蒼大の男らしさが伝わって満足。


 蒼大は凄いでしょう?私が得意気になっているとピンクマンは瞳を輝かせた。


「ソウタ、僕に気合いのフルスイングのやり方を教えてください!」


「いよ」

「ヤッタァ!」

「あ、じゃ俺に騎士団の入り方教えてよ」

「いですよソウタなら大歓迎」


 ピンクマンと蒼大は気が合うみたいでトントン話は進み、明日蒼大と私は兵舎にお邪魔することになった。


 そう、憧れの騎士団本拠地へ!


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