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蹴り飛ばしたイケメン不良男子と異世界トリップしたら、実は3年間私に片想いしていた人でした。  作者: ハラペコWASABI


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世界で1番

 内壁の中は特別地域なのか、道は綺麗に舗装されているが民家らしき建物は見当たらず人も歩いていない。


 殺伐とした風景の中左手に大きな建物が見えてきた。


「ナナミ見えますか!?あれが僕達騎士団の兵舎でーす」


 ハンスの隣に座っているピンクマンが振り向き案内してくれる。


「そうなんですね!今度是非見学させてください」


「ナナミならいつ来てもいいよ!」


「俺も行くけど」


「ソウタも遊びに来ていいよ!そのカッコイイ服を皆に見せて欲しいしね」


 ピンクマンはとてもフレンドリーで人懐こい。ハンスもとっても良い人だし、異世界に来てから対人運が良好だ。


 騎士様の兵舎を通り過ぎ更に進むと、奥に見えて来た鉄製の柵。

 近づくと手入れされた広大な庭が見えて来る。鉄製の柵にも勿論門があり騎士様が立っていた。


 ピンクマンが居るからか顔パスで中へ。

 広大な庭の中央には白く大きな噴水があり、対の巨大な女神像も飾られている。


「ここがクルーデン伯爵のお屋敷だよ」


 ピンクマンが笑顔で教えてくれたけど、クルーデン伯爵のお屋敷は見た目がまるで宮殿。3階建てで日本では考えられない程大きい。

 一体何部屋あるのか想像もつかないレベル。


 窓の数を数えようとしてすぐ断念。部屋数を数えるのすら大変そう。


 圧倒されているとハンスとピンクマンは「少し待っててね」と屋敷の中に入って行ってしまった。


 私は今の内と蒼大に声を掛ける。話題は勿論挨拶について。


「そんなにカルチャーショックだったの?」

「まぁね。有り得ねー!と思った。信じらんねぇ!……軟派すぎだろ」


 一緒に過ごして思ったんだけど、蒼大は女嫌いと言うよりとても根が真面目なんだと思う。

 だから受け入れられない挨拶なのかも。


「さっき蒼大が言ったからもうされないと思うよ」

「ん。言って良かった」


 そう言うと蒼大は私の手を取り、ラッキーアイテムバッグから除菌シートを取り出すと、真剣な表情で私の手の甲を拭いてくれた。


「ありがとう」


「これは俺のため」


 俺のため?

 考えかけて、やめた。なんか、考えたら負けな気がして。

 蒼大って時々意味がわからない事……勘違いしそうな事を平気で言うんだもん。


  ハンスとピンクマンを待っていると、屋敷から銀髪の執事服を着た30歳くらいの男性が出て来た。


 これまた容姿端麗。異世界凄すぎる。


「素敵……」


 執事様への本音を呟くと蒼大がバッと私を見た。


「また!?騎士じゃないのに!?」


「騎士様に続いて執事様も素敵だよね!日本で普通に暮らしていると出会う事はない執事様が今、目の前に……!しかもカフェじゃなく本物!」


 ウキウキしていると蒼大が大真面目な顔で口を開いた。


「……七海、俺は騎士と執事どっちが似合うと思う?」

 

「制服的には断然騎士様!でも蒼大の執事服姿も見てみたい。七海お嬢様……なんてお世話されてみたいかも!」


 冗談ぽく笑うと蒼大は深く頷いた。

 顔が真剣だけど何だろう?


「お話中失礼します。異世界からのお客様ですね。お待たせして申し訳ございません。わたくしがご案内いたします」


 目の前に来た執事は左手を腹部に当て、スッと右足を下げ綺麗に礼をした。教育が行き届いているのできっと素敵な伯爵様に違いないとワクワクしてくる。


「お願いします」


 案内されるまま玄関を入るといきなり広がる大広間。

 白い壁は当たり前のように白く一点の汚れもなさそうにピカピカ。


 天井からは大きなシャンデリアが吊り下がり、床は歩くたびにフカフカと沈み込む赤いじゅうたんが敷かれ、2階へ続く階段が曲線を描いている。


「凄い!まさに異世界漫画で見ていた世界なんだけど!」


「確かにすげーな」


 広い空間に、私たちの声が響く。


「ワクワクするね!」


「ハハ。嬉しそうな顔」


 蒼大が時々見せてくれる優しい笑顔に心がくすぐられる。


「だって、一緒に凄いって感動出来るの嬉しくない?」

「そうだな」


 蒼大の優し気な笑顔に、そっと頭を撫でられて、胸の高鳴りが止まらない。


 執事様も騎士様も蒼大には勝てないよ。

 蒼大が世界で一番カッコイイ。

 



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