フリーズからの夜露死苦!
蒼大は騎士を目指すと決まったところで、2人で街並みを眺めこの世界について話していると、目線の先にまた壁が出て来た。
外壁より全然低いけど、門にはさっきよりも多い4人の騎士様のお姿が……!
当たり前のように上がるテンション。異世界ってイケメンしかいないの?って聞きたくなるほどスタイルが良く、見た目も整った騎士様達がズラリと並んでいる。
髪色がゴールド、シルバー、ピンク、ブルー、の騎士様達だ。髪色、なんでもありなの大好物です!
思わずスマホを取り出し写真を撮った。充電切れたら終了だけど記念にね。
キラキラオーラの騎士様達をうっとり見つめていると、蒼大が私に聞こえる程大きな溜息を吐いた。
「どうしたの?」
「俺も早く騎士になりてぇ」
あの4人の仲間に入りたくなったのかな?
でも気持ち分かる。そのくらいかっこいいもん。
「そんなになりたいなら今騎士様になる方法聞いてみたら?」
「ん」
蒼大が頷いた時、騎士様から声をかけられた。
「お二人とも、すみませんが一度馬車を降りて下さいますか」
はい!一度と言わず何度でも!
張り切って馬車から下りたけど、蒼大と少し離れさせられてしまった。
外壁と違い内壁は厳しいのかも。少し緊張していると金髪碧眼の騎士様が目の前に立ち微笑んだ。
カッコいいしか言葉が出ない。
緊張何処かへ飛びました。とにかく眼福です!
まずは名前を聞かれ自己紹介。
「ナナミ・オガワと申します」
「ナナミ様、ようこそいらっしゃいました。わたくしはアンディ・ドルメンと申します」
アンディは私の手の甲に軽くキスを落とした。
キャー!騎士様にこの挨拶をされるなんて!殺す気かぁぁ!
舞い上がり照れていると、蒼大の相手をしていたピンク髪に赤い瞳の騎士様がこちらに近付き目を細めた。
「美しいレディーに僕もご挨拶を。僕の事は気軽にピンクマンと呼んで下さい」
そう言って手を取ると、これまたスマートに手の甲に唇を落とした。
動きの所作が自然。流れるような美しさ。こんなのうっとりしない女子がいる?うっとりしかけた瞬間——
「はあぁぁぁ!?」
突然聞こえた声に我に返り目を向けると蒼大は口と目を大きく開けたまま動かない。
まるで表情が固まり張り付いてしまっているみたい。
「蒼大?蒼大!」
何度か呼びかけても蒼大はフリーズしたみたいに固まっている。
再起動しないと動かないかも。そう思わせるほど蒼大は完全フリーズ。
でもまだ挨拶を済ませていない銀髪と青髪の騎士様は蒼大を気にする事なく私の手の甲にそれぞれ口付けた。
ピンクマンの真似をして自分達もシルバーマンとブルーマンと呼んで下さいなんて軽口を言いながら。
先に挨拶を済ませていた金髪のアンディが「なら僕の事もゴールドマンと呼んでよ」と笑う和やかな空気。
ピンクマン、シルバーマン、ブルーマン、ゴールドマン……。
これはもう、騎士様戦隊っ!
そんな中フリーズしていた蒼大がふらりと揺れた。
倒れる?!
「え!?大丈夫!?意識何処に行ってんの?蒼大早く戻って来て!」
咄嗟に蒼大を支え叫ぶと蒼大は小刻みに頷いた。
「わり、カルチャーショックが……」
「私もハンスに挨拶された時は驚いたよ」
「ハ、ハンスまで!」
蒼大はギッとハンスを見ると軽く頭を押さえた。
「……皆とんでもねー事してくれたな。俺らの世界じゃ手だろうが女性に口付けて良いのは恋人だけって決まってんだよねぇぇえ!だからこの挨拶は今後しないように!って言うか……本気で2度とするんじゃねーぞ!日本人としてガチで!っ…… 夜露死苦」
よほど強いカルチャーショックを受けたのか、ヤンキーを隠しきれていない蒼大の顔は鬼気迫るものがあって。
皆黙って頷いたのだった。




