買い物には裏がある!?
今日は真奈と如月の誕生日プレゼント選びをする予定だったのだが、集合時間の12時になっても来る気配がない。真奈も叶奈のように俺の事を捨てたのではないのか?と不安が募る。LINEをしても既読がつかないので、あと5分して来なかったら帰ろうと思った矢先、前からベージュのトレンチコートにボブカットの頭の上にベレー帽を被った真奈が手を振りながら現れる。
「おーい、お待たせ」
「待った?」
「10分以上待ったわ。LINEしても既読つかないし」
「ごめんごめん」
時間もだいぶ押してるので、買い物に行こうとするが真奈に引き止められる。
「私に何か言うことない訳?」
悠は全く検討がつかないので、適当に言ってみるのが一番だと思い言ってみる。
「今度から遅刻するなよ?」
「確かに、悠の言ってることは正しいけど、私の事をよく見て言うことあるでしょ?」
頭の中ハテナだらけで、何を言えばいいのか分からない。首を傾げると真奈はため息をつき怒り気味の口調で訴えかけてくる。
「普通は容姿とか褒めるでしょ、真奈の私服可愛いねとか、いつもよりキレイだよとか、アンタの口からはそういう言葉が一切でないの?」
「えっ...あぁ...可愛いな」
棒読みで言ったのがバレ、真奈は肩を凄い勢いで肩を叩く。
「痛、何すんだよ!」
「うっさいドン助」
「ドン助...」
「悠は鈍感だからドン助!」
真奈の暴言集が増えたのであった。少しすると真奈は悠の手を引き、イオンモールの中へ入っていく。
「どこのお店から見ていく?」
「んー...無難に服とか貰えば嬉しいんじゃない?」
「そうだな」
少し歩くと目の前に少し高そうな雰囲気を出している洋服店があったので2人はそこへ入る。真奈は少し前を歩き悠はその後ろからついて行き、店内を見て回るがさっぱりわからない。
「真奈?」
「何?」
「俺服とかさっぱりわからないし、大前提として覚えておいて欲しいんだけど、如月が何が欲しくて何が好みとか分からないんですが...」
それを聞いた真奈は得意げな顔をして悠の方を見る。
「私に任せなさい。希ちゃんとは友達歴そこそこ長いんだから」
「大丈夫なのか...?」
悠には不安しかないが、頼れる相手が真奈しかいないので信じて着いていくことにした。
真奈があれこれと選びながら、店を一緒に回っていると1人の陽気そうな女性店員が声をかけてきた?
「何かお困りですか?」
「いや...特には困ってないんですけど服選びって難しいなって思いまして...」
店員に話しかけられている悠を見て真奈も会話に参加する。
「悠どうかした?」
すると、店員が真奈に向けて営業スマイルで話し始める。
「こちらの彼氏さんが服について困ってる様でしたので、話しかけただけですよ」
この店員の言葉を聞いた2人は指を指しながら口を揃えて言う。
「こんな奴、彼氏じゃありません!」
「こんな奴、彼女じゃありません!」
店員はこれを聞きクスクスと笑いにっこりしている。
「2人とお似合いですよ、それより彼女さんの持ってる服試着してみてはどうですか?スタイルいいですし、その服似合うと思いますよ」
「そうですかね...」
真奈がモジモジしながら返答するのを聞き悠は心の中で『こいつこの服絶対買わされるぞ』と確信する。
試着室へ向かう2人について行く。試着室の前に着き靴を脱ぎ入ろうとする真奈がこちらを見る。
「中覗いたらぶっ飛ばすからね」
「見ないわ」
真奈はそれを聞き黒いカーテンを閉めるが、直ぐに着替え終わり、カーテンが開く。
「どう?」
「とても似合ってます」
と店員が、言うと真奈はとても恥ずかしそうにしている。すると店員は悠に同意を求めてくる。
「彼氏さん彼氏さん!彼女さんの服似合ってますよね?」
「えっ...?まあ...似合ってると思います」
悠が動揺しながら真奈の事を褒めると、真奈は顔を赤くすると小さな声でお礼の言葉を返す。
「ありがとうって言っておいてあげる」
「何?なんか言った?」
「うっさい、聞き返してくんな」
今日はいつもに増して、当たりが強い気がするが気にしないのが一番だと思いそっとしておく。すると店員は微笑みながらこちらを向く。
「服どうなさいます?」
「買います」
真奈は二つ返事で言葉を返す、『やっぱり買ったよ』と心の中で思うと、直ぐに会計の所へ向かう。
「お会計は2点で10,800円です」
「私も半分出すから、悠も出して」
これを聞き、悠はこれが如月の誕プレになるのかと自己解決しお金を払う。
「ありがとうございました、またお越しください」
そう言われ店を後にすると、真奈に衝撃な一言を言われる。
「その紙袋頂戴」
「いや、なんでだよ」
「それ私のだから」
真奈に騙された。男に半分払わせておいて凄い上から目線の態度これが真奈じゃなかったら普通に顔面ぶん殴ってる。今日の真奈は当たりがや強いので、潔く紙袋を渡す。
「これは私の誕プレだから、さっさと如月さんの選ぼ」
「お前の過ぎ去った誕生日のプレゼント選びをしに来たんじゃないわ...貴重なバイト代を返せ...」
「まあ気にしてても仕方ないし、ドンマイ」
なんの慰めにもならない言葉を言われこれ以上は気にしたら負ける気がして、言い返す事をやめた。