始業式には裏がある!? 前編
僕は朝が嫌いだ。何故なら夢のような時間から同じ事の繰り返しで退屈な日々に戻されるからだ。そして朝が来ると女の子が起こしに来る。
「悠くん起きて。朝だよ」
顔をぺちぺち叩いてくるのは双子姉妹の妹の真奈の方である。
「起きる...」
「もう時間だよ、今日の始業式楽しみにしてたの悠くんなんだから起きて学校行くよ」
「うぅ...朝嫌だ...」
真奈は呆れて頭を抱える。
「もう...起きないから先行くね」
「待って...起きる...」
寝ぼけ眼だが意識がだんだんはっきりしてくる。悠は10分で用意し家の外で待ってる真菜に声をかける。
「おまたせ、学校行くか」
学校まではそこそこ遠い。最寄り駅まで歩いて行き、電車に乗って3駅、そしてまたそこから少し歩き緩やかな坂を登ると学校に着く。
よく学校まで幼なじみで双子の叶奈と真奈と行くが、叶奈の方はクラス替えが楽しみすぎて朝早くに家を飛び出したらしい。そんな他愛も無い話をしながらいつも通り学校へ向かう。
学校へ向かう緩やかな坂に差し掛かると、目の前に黒髪ポニーテールの学年一の美少女が見える。名前は如月希、俺がこの坂で一目惚れした初恋の相手である。
「如月さん!」
俺の呼び声に気が付き如月が振り向き挨拶を返してくる。
「おはよう」
すぐに、悠は挨拶を返す
「おはようございます!」
「なんで、いつも挨拶だけ敬語なの?」
「いきなり学校一の美少女に急に声をかけられると心の準備ができてなくて...つい...」
如月は、クスクス笑いながらこちらを見る。
「そうなのね、可愛いわね」
満面の笑みで放たれた自分の心を満たす一言はすぐに俺を天国へ連れていこうとしたが、横にいる真奈が脇腹を抓ったせいで、現実世界に引き戻される。
「人が天国行きそうになったんだから、邪魔すんなよ」
「何訳の分からない事いってんの」
ムッとした表情を見せる真奈と嫌そうな顔をしてる俺との会話を聞いて、如月はもっと笑う。
「あなた達ってほんとにおもしろいよね、お似合いカップルになりそう」
これを聞いた真奈は顔を赤くしながら言い返す。
「バッカじゃないの!こんな頭おかしい寝起き悪いやつと恋人になんてごめんよ!希ちゃん、こんな冴えない悠なんて置いて早くクラス発表を見に行こ」
「という事だから、悠くんまた後でね」
そう言い残し、2人は颯爽と緩やかな坂道を駆け上ったのを確認して小声で悠は文句を言う。
「なんで俺の邪魔をするんだ」
坂道を上りきり校門へ入ろうとするも、人が溢れかえっている。張り出されてる紙を見ようとするも前へ進めない。
「クラス分かるのまだまだ先かな...」
「クラス教えてあげる」
そう言い前から現れたのは、双子の姉の叶奈である。
「そう言えば朝早くに家出たんだったな。俺クラスどこだった?」
「2組」
「あと誰と一緒?」
「希と私達」
その言葉を聞いて心の中で嬉しいような悲しいような感情になる。
「(如月と同じクラスなのは嬉しいが、なんで神代たちと一緒なんだ。何故か俺の好きな人を知ってる2人に俺の恋を邪魔されるのは間違えない、てか双子くらいクラス分けろ)はぁ最悪だ...」
口から無意識に出た言葉を聞いた叶奈は少し悲しそうな顔をする。
「そんなに私達と一緒になりたくなかったのね...」
悠はこの言葉に驚き、咄嗟に言い訳を言う。
「だってさ、如月さんがいたら如月さんがクラスの人気者じゃん?俺実はクラスの人気者になりたかったんだよだから最悪だなって...はは...」
「そんなに人気者になりたいなら、今日のHRで学級委員やれば?」
「嫌だよ、めんどくさ...」
俺の言葉を遮って叶奈が小声で言う。
「さっき希が学級委員やろうかなって言ってたよ」
その言葉を聞いた俺はすぐさま言い改める。
「はい!僕、学級委員やって人気者になります」
悠はそう言い残しその場を後にする。
新しいクラスへ着くととてもガヤガヤしている。ドアの前で屯してる女子の集団を掻き分けて中へ入り黒板に張り出されている座席表を見た。
壁際の前から3列目に名前が書いてある。名前を確認し席へ座ると同時にスマホをいじろうとするが、横から声をかけられる。
「あ、悠くん私の隣なんだ。よろしくね」
如月に声をかけられた悠はすぐさま緊張して思うように喋れない。
「あっ...よろしつお願いしまつ」
「そんなに緊張しないでよ!同い歳なんだから」
「はい!分かりました」
好きな人が隣にいるのに緊張しないでなんて無理な話だと思った矢先、聞き馴染みのある声が如月の席の前から聞こえる。
「一応言っておくけど、私もいるから」
声の正体が真奈だと分かった悠はとても不満そうな顔になる
「げっお前もいるのかよ、みたいな顔をするな!神代と如月は名前順だと前後になるんだからしょうがないでしょ」
「そしたら...」
言葉の続きを言おうとすると叶奈が横槍を入れる。
「そうね、私もちょっと遠いけど近くにいるわね」
「はぁマジか...」
悠はこれ以上考える事をやめた。