現実
「咲、お前のことが好きだ。付き合ってくれ」
「ごめんなさい、好きな人がいるの」
そう言って彼女は屋上から去った。
「また、こっぴどく振られたな笑」
翔は笑いながらそう言って肩を叩いてきた。
「るっせー。笑いながら言う事かよ。今度は行けると思ったんだけどなー アドレスも交換したし」
「それだけでいけると?笑 やっぱ童貞だな。ラーメンでも食べに行くか」
「お前のおごりでな」
「今日ぐらい奢ってやるよ」
「さすが我が親友」
雲が紅に染まり始めていた。
暖簾をくぐる。
「何名様ですか?」
「二人で」と翔は店員に言った。
「こちらにどうぞー」
席に座り、注文を済ませ談笑に浸る。
「なんでダメだったと思う?」おれは翔に聞いた。
「まず、相手に好きな人がいる時点でアウトだな。
すでに対象がいる娘の気を自分に向けさせるには骨が折れるぜ」
「やっぱりそうか。あとは?」
「告白するのが早すぎる。お前はバカか?一回飯行っただけでなんとかなると?」
「ぐうの音も出ません…」
「まあ、要するに努力が足りないってことだな」
翔が言い終えたと同時にラーメンが来る。
「醤油ラーメン二丁お待ち。ごゆっくりどうぞ」店員はラーメンを置き、言っていった。
二人でラーメンを足早に平らげ、会計を済ませて帰る。
「また明日な」「おう」
振られた理由を考えながら家へと足を進める。
「ただいまー」
「あ、バカ兄貴が帰ってきた。その様子じゃまた振られたな」夏蓮は笑いながら言った。
「るっせー。まな板」
「はあ?まな板じゃないですぅ Bあるもん」
「やはり、まな板だ」
「死ねー、童貞」とみぞおちに強烈なボディブローをお見舞いしてきた。もろに入り思わず咳き込む。
やはり、妹はロクなもんじゃない。
夕飯を済ませ、お風呂に入りベッドにダイブした。
眠気に抗えず目を閉じた。
小鳥の鳴く声が聞こえる。カーテンの隙間から射す光が眩しい。
「お兄ちゃん、起きて。起きないとチューするよ」
甘い声で囁き朝からおれに馬乗りになっているこの子は誰だろう。
「わかった、起きる。だからそこをどいてくれ」
いつもと変わらぬおれの部屋。別段変わったところもない。
まだおれはこの時知る由もなかった。寝ている間にパラレルワールドの自分と入れ替わっていることに。
まず、この小説を読んでくださりありがとうございます。拙い部分も多く、描写や文章構成などもまだまだですが、温かく見守ってくれると幸いです。指摘やアドバイスなどたくさんお願いします。