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半妖の里  作者: 今田ナナシ
第一章
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 それからかれこれ一時間ほど。


 お面がずらりと並んでいる。

 出店だ。

 お面の出店だ。

 店主は無駄に図体のデカイ親父。

 折り畳み椅子の上に座って、鬼のお面で顔を隠している。

 よくある赤鬼のお面だ

 ヤクザのように筋張った体つきと、子供が付けるような鬼のお面は、よく似合ってるような、滑稽なような。


 何の変鉄もないお祭りの景色だったが、通りの向こうから母親に呼ばれた少女は、間の人だかりを無視し、一瞬のうちに相手の胸へ飛び込んだ。

 横を通り過ぎながら、くわえた煙草に火を点けた男は、火種らしきものは持っていない。

 友達連れの若い女が荷物を落とすと、手だけが伸びて掴み取った。

 そうした不思議な光景が、頻繁に目に飛び込んでくる。


 「おい、何か用か?」

 と、お面やの親父に詰問された。

 店の前で、注文するでもなく突っ立ち、時々キョロキョロと辺りを窺うだけの少年がいれば、声くらい掛けて当然だろう。


 「おい! 何か用かって聞いたんだよ!」

 何も答えられず、カッとなって叫ばれた。


 唇が震える。

 冷や汗が出る。

 ポケットに忍ばせている珠の感触を、再度確かめる。


 何故こんなことになったのか。

 不条理、理不尽。

 そんな単語が浮かんでくる。

 あの女の言葉が、脳裏を過った。


 ━━後悔することになるかと。ランさまに、下手な手をお出しになれば。


 その通りだった。

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