連続放火犯!?
「うん、別盛りでいいよ」
良く見ると恭子さんは、昨日から5箱目のみかんを完食しようとしていた、いかにも「ぱくっ」と効果音が付くような食べ方で、今日だけで2箱食ってるよ。
「どーぞ、マシュマロコーヒーとココアです」
2人の前に飲み物を置くとほぼ同時に、無線が入る。
__○○県警から本部!例の連続放火犯、西野恭一、確保!!
「やっほっ!!やっと捕まえた」
「恭華さん、恭弥さん行きましょう」
例のと言うのは前から追っていた連続放火事件の犯人の事だ。
本当はここからは、刑事部の仕事だが我々も総力戦で捕まえたので面会、取り調べが可能となったのだ。
「こんにちは、捜査官の緑川です」
俺は、軽く挨拶をすると「あー、どうも刑事部の浅川 です、取り調べですよね」と軽く会釈をした。
ガチャと鍵で取り調べ室を開け、「どうぞ」と言うと、恭子さんが先に部屋に入る、続いて恭華さん、俺も部屋に入る。
案の定犯人は、むすっとした様子でパイプ椅子に浅く腰掛けながら超高速貧乏揺すりをしていた、耳をすませば、時折舌打ちも聞こえる。
「あーね、そんなにむっすりしないでくれる?こっちも仕事なんだよ」
仕事か、でも望んでなったんだが…まあ今は恭華さんに全く同感だ、仕事だし。
それから5分後、ようやく犯人は口を開いた、
「なぁ、姉貴はどうして“そっち側”に行ったんですか」
俺も、恭子さんも皆、理解に苦しんだ、姉貴だと? 普通「お姉さん」なら、姉さんとかそう呼ぶだろう、でも犯人は「姉貴」と言ったのだ、「姉貴」と呼ぶのは恐らく…何かのグループで自分より目上の人それも女を指すだろう、しかし今は状況が状況だ、この部屋の中の女性が、犯人との繋がりを深く疑われる。