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フリー・ワールド  作者: あお
~院上 千夏編~
8/11

8 真実

何か、すごくすごく、長くなりました・・・。

「あの・・・さ。千夏、昨日はごめんね。急に叫んだりして・・・」

「ううん。気にしてないよ」

「あ・・・うん・・・」

離々亜ちゃん・・・昨日からおかしい。

「・・・あの、やっぱり『リリクズ』は、離々亜ちゃんなんじゃ・・・?」

おそおそる聞いてみる。

「・・・」

離々亜ちゃんは、無言だ。

「教えて。私、あなたのこと何も分からないの。このままじゃ、イヤだ。だから、教えて・・・」

「・・・昨日、信じるって言ってくれたのは、ウソだったんだね」

「そ、そんなつもりじゃなくて、私は、ただ・・・」

思いがけない離々亜ちゃんの言葉に、動揺どうようしてしまう。

「いいわ。教えてあげる。私の、真実を・・・」

離々亜ちゃんは、話し始めた。


・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

あたしは、小学校の時、零里のグループで遊ばれていた。

『リリクズ』という、あだ名を付けられて・・・。

毎日毎日、『消えろ』って言われて、どうすればいいのか分からなかった。

友達って言ってた人まで、私から離れて行って・・・。

誰も・・・誰も、信じられなかったの・・・。

中学に行ったら、クラスは分かれて、遊ばれることもなくなった。

そして、1人でいるあなた・・・千夏に話しかけたの。

「どうしたの?」ってね。

話は、すぐに途絶えると思ったのに、気が付けば、話すことに夢中になっていた。

こんな風に、笑いながら誰かと話してみたかった。

そんな人が見つかって、嬉しかったのに・・・。

翌日。

教室で、仲良しグループが話しているのを聞いたの。

となりのクラスの、院上 千夏って人、零里のグループに目を付けられたんだって・・・」

「らしいね」

「かわいそうだね」

あたしは、その瞬間千夏のクラスに直行した。

あたしが見た光景は・・・まるで地獄じごくだった。

千夏は、泣いていた。ずっとずっと。

みんなが、笑っている。

悪意に満ちた目で、千夏を笑っている。

不意に、千夏が1年前のあたしと、重なった。

そうだ。みんなに笑われて、とてもつらいのは、あたしもよく知っている。

誰一人、あたしに手を差しのばしてくれた人はいなかった。

でも、違う。

あの時のあたしと、今の千夏は、全く違う。

だから、あたしが助けなきゃ・・・!

そう思ったけど、あたしの足は、動かなかった。

それどころか、どんどん後ずさりしている。

助けなきゃいけないのに。

助けたいって、思ったのに。

それでも、あたしの足は、正反対のことを考えていたんだ。

あたしは・・・その意思に負けて、自分の教室に戻った。

結局、あたしは弱かったんだ。

そんな意思に負けちゃうような、弱い人・・・それが、あたしの真実。

そうなんだよ、千夏。


・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

「・・・」

「・・・」

私たちは、しばらく無言だった。

でも、これで多くの謎が解けたのは、確か。

だけど・・・。

「離々亜ちゃんは、どうして、夢の中にいるの?」

「・・・」

「夢の中にいたって、何もいいことなんかないのに。どうして・・・」

「・・・もう、話したくない。帰って、千夏」

「え・・・ちょっと、離々亜ちゃ・・・」

「これが、全てよ。あたしの、全て・・・。話すことなんて、何も残っていないの。それに・・・」

離々亜ちゃんは、後ろを向いた。

「少しは、こっちの気持ちも、分かってよ!ここまで話すのに、あたしが、どんな気持ちだったか、知らないでしょ!?ホントは・・・イヤだったのに。それなのに、あたしは一生懸命、話したんだよ!これ以上、あたしにイヤな思い出を話させる気!?」

「あ・・・ごめ・・・」

「もう、いいよ。じゃあね、千夏」

離々亜ちゃんが、そう言ったとたん、目の前が暗くなった。


「ハッ!」

目が覚めて、時計を見ると針はまだ4時を指していた。

結構長く、フリー・ワールドにいたと思ったんだけど・・・。

どうしてかな?

「あ・・・リボン、また変わってる」

今度は、レースもついて、大きいリボンになっている。

「あれ?これは・・・何?」

真ん中にある、小さくて、丸いくぼみ・・・。何か、はめるのかな?

「何か、眠くなってきた・・・」

二度寝、しよっと・・・。

私は、再び眠りについた。

でも、もう一度フリー・ワールドに行くことは、できなかった。

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