8 真実
何か、すごくすごく、長くなりました・・・。
「あの・・・さ。千夏、昨日はごめんね。急に叫んだりして・・・」
「ううん。気にしてないよ」
「あ・・・うん・・・」
離々亜ちゃん・・・昨日からおかしい。
「・・・あの、やっぱり『リリクズ』は、離々亜ちゃんなんじゃ・・・?」
恐る恐る聞いてみる。
「・・・」
離々亜ちゃんは、無言だ。
「教えて。私、あなたのこと何も分からないの。このままじゃ、イヤだ。だから、教えて・・・」
「・・・昨日、信じるって言ってくれたのは、ウソだったんだね」
「そ、そんなつもりじゃなくて、私は、ただ・・・」
思いがけない離々亜ちゃんの言葉に、動揺してしまう。
「いいわ。教えてあげる。私の、真実を・・・」
離々亜ちゃんは、話し始めた。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
あたしは、小学校の時、零里のグループで遊ばれていた。
『リリクズ』という、あだ名を付けられて・・・。
毎日毎日、『消えろ』って言われて、どうすればいいのか分からなかった。
友達って言ってた人まで、私から離れて行って・・・。
誰も・・・誰も、信じられなかったの・・・。
中学に行ったら、クラスは分かれて、遊ばれることもなくなった。
そして、1人でいるあなた・・・千夏に話しかけたの。
「どうしたの?」ってね。
話は、すぐに途絶えると思ったのに、気が付けば、話すことに夢中になっていた。
こんな風に、笑いながら誰かと話してみたかった。
そんな人が見つかって、嬉しかったのに・・・。
翌日。
教室で、仲良しグループが話しているのを聞いたの。
「隣のクラスの、院上 千夏って人、零里のグループに目を付けられたんだって・・・」
「らしいね」
「かわいそうだね」
あたしは、その瞬間千夏のクラスに直行した。
あたしが見た光景は・・・まるで地獄だった。
千夏は、泣いていた。ずっとずっと。
みんなが、笑っている。
悪意に満ちた目で、千夏を笑っている。
不意に、千夏が1年前のあたしと、重なった。
そうだ。みんなに笑われて、とてもつらいのは、あたしもよく知っている。
誰一人、あたしに手を差しのばしてくれた人はいなかった。
でも、違う。
あの時のあたしと、今の千夏は、全く違う。
だから、あたしが助けなきゃ・・・!
そう思ったけど、あたしの足は、動かなかった。
それどころか、どんどん後ずさりしている。
助けなきゃいけないのに。
助けたいって、思ったのに。
それでも、あたしの足は、正反対のことを考えていたんだ。
あたしは・・・その意思に負けて、自分の教室に戻った。
結局、あたしは弱かったんだ。
そんな意思に負けちゃうような、弱い人・・・それが、あたしの真実。
そうなんだよ、千夏。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
「・・・」
「・・・」
私たちは、しばらく無言だった。
でも、これで多くの謎が解けたのは、確か。
だけど・・・。
「離々亜ちゃんは、どうして、夢の中にいるの?」
「・・・」
「夢の中にいたって、何もいいことなんかないのに。どうして・・・」
「・・・もう、話したくない。帰って、千夏」
「え・・・ちょっと、離々亜ちゃ・・・」
「これが、全てよ。あたしの、全て・・・。話すことなんて、何も残っていないの。それに・・・」
離々亜ちゃんは、後ろを向いた。
「少しは、こっちの気持ちも、分かってよ!ここまで話すのに、あたしが、どんな気持ちだったか、知らないでしょ!?ホントは・・・イヤだったのに。それなのに、あたしは一生懸命、話したんだよ!これ以上、あたしにイヤな思い出を話させる気!?」
「あ・・・ごめ・・・」
「もう、いいよ。じゃあね、千夏」
離々亜ちゃんが、そう言ったとたん、目の前が暗くなった。
「ハッ!」
目が覚めて、時計を見ると針はまだ4時を指していた。
結構長く、フリー・ワールドにいたと思ったんだけど・・・。
どうしてかな?
「あ・・・リボン、また変わってる」
今度は、レースもついて、大きいリボンになっている。
「あれ?これは・・・何?」
真ん中にある、小さくて、丸いくぼみ・・・。何か、はめるのかな?
「何か、眠くなってきた・・・」
二度寝、しよっと・・・。
私は、再び眠りについた。
でも、もう一度フリー・ワールドに行くことは、できなかった。




