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フリー・ワールド  作者: あお
~院上 千夏編~
2/11

2 夢

翌日。

「ちーなつっ!」

「院上~!」

男子と女子が、私を呼ぶ。私は、黙ったままだ。

「あ、またなんか書いてる~」

こう言ったのは、女子。

「院上の趣味は、いつまでたってもおかしいよな~」

からかうように言ったのは、男子。

「ねえ、言ったよね?あたしたち、こう言ったよね?あんたには、どっかに行ってほしいって・・・」

「それなのに、何で今日来たの?」

私は、下を向く。

「何か言ったら~?」

「あんた、日本語話せるよね~?」

みんなが、どっと笑う。

「あ、そうそう。あたしたち、あんたに伝えたいことがあったんだよね」

「あたしたち、本当はね。あんたにキエテホシイんだよ!!」

「アハハハ!!言えてる~!!」

みんなは、すごく笑っていた。

そんなの、分かってる。

でも、何が面白いの・・・?何が楽しいの・・・?

私は、ものすごく、つらいんだよ。

それなのに、みんなは分かってない。

こんなのもう、イヤだ。

早く、願いをかなえて。誰か・・・。


夜。

私は、あっという間に眠りについた。


・・・?あれは、何?

ボンヤリと見えてくる建物。あれは・・・。

ま、まさか、学校!?

イヤ!行きたくないっ!!

あわてて引き返そうとする。でも、足が動かない。

・・・ううん。足が勝手に学校の方へと、歩いていく。

「イヤだ!いやだよぉっ!!」

あんな目に、あうのだけは、もうイヤ!!

「そんなに怖がらなくても、いいのに」

「え・・・?」

どこかで、声がしたような・・・。

ボン!

目の前に、女の子が現れた。

「あ、あなたは・・・?」

「あたしは、増﨑 離々亜。『ここ』の案内人よ」

「案内人?じゃあ、『ここ』は、いったい・・・?」

「『ここ』は、フリー・ワールド。名前の通り、自由な世界よ」

「どうしてそんな世界に、私を?」

「だって・・・怖いんでしょ?教室に行くのが・・・」

「うん・・・」

「あたし、知ってるんだ。あなたが、教室に行けない理由」

「えっ・・・」

この人、なんだか不思議。

初めて会った感じがしない。

「みんなにどこかに行ってほしいって言われているから。でも、正確には消えてほしいって言われているからでしょ?」

「なっ・・・!!そんなにハッキリ言わなくてもいいじゃない!!私は、今の言葉言われて、苦しんでるんだからねっ!!」

すると、その子は笑った。

「へぇ~。そんなこと言われて、苦しんでるんだ。世の中には、あなたなんかより、もっと苦しんでる人が、いるのに。弱いな~、あなたって」

私は、涙が溢れた。

「だって、もう、限界なんだもん・・・」

「フ~ン・・・。っていうかさ、ここは自由だから。教室には、誰もいないからね。好きに遊んできなよ、千夏」

「えっ、あ・・・。私の名前、どうして知って・・・」

「そのうち、分かるよ。じゃ、あたしちょっと用事だから」

「あ・・・!待って・・・」

・・・行っちゃった。

それにしても、ここは本当に夢?

何もかもそっくり。まるで現実。

それに、さっきの人・・・何者なんだろう。

案内人とか言ってたけど。

そもそも、「フリー・ワールド」ってなんだろう。

謎が謎を呼ぶとは、このことだ。

とにかく・・・教室にでも行ってみようか。

私は、学校の方へと歩いて行った。

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