2 夢
翌日。
「ちーなつっ!」
「院上~!」
男子と女子が、私を呼ぶ。私は、黙ったままだ。
「あ、またなんか書いてる~」
こう言ったのは、女子。
「院上の趣味は、いつまでたってもおかしいよな~」
からかうように言ったのは、男子。
「ねえ、言ったよね?あたしたち、こう言ったよね?あんたには、どっかに行ってほしいって・・・」
「それなのに、何で今日来たの?」
私は、下を向く。
「何か言ったら~?」
「あんた、日本語話せるよね~?」
みんなが、どっと笑う。
「あ、そうそう。あたしたち、あんたに伝えたいことがあったんだよね」
「あたしたち、本当はね。あんたにキエテホシイんだよ!!」
「アハハハ!!言えてる~!!」
みんなは、すごく笑っていた。
そんなの、分かってる。
でも、何が面白いの・・・?何が楽しいの・・・?
私は、ものすごく、つらいんだよ。
それなのに、みんなは分かってない。
こんなのもう、イヤだ。
早く、願いをかなえて。誰か・・・。
夜。
私は、あっという間に眠りについた。
・・・?あれは、何?
ボンヤリと見えてくる建物。あれは・・・。
ま、まさか、学校!?
イヤ!行きたくないっ!!
あわてて引き返そうとする。でも、足が動かない。
・・・ううん。足が勝手に学校の方へと、歩いていく。
「イヤだ!いやだよぉっ!!」
あんな目に、あうのだけは、もうイヤ!!
「そんなに怖がらなくても、いいのに」
「え・・・?」
どこかで、声がしたような・・・。
ボン!
目の前に、女の子が現れた。
「あ、あなたは・・・?」
「あたしは、増﨑 離々亜。『ここ』の案内人よ」
「案内人?じゃあ、『ここ』は、いったい・・・?」
「『ここ』は、フリー・ワールド。名前の通り、自由な世界よ」
「どうしてそんな世界に、私を?」
「だって・・・怖いんでしょ?教室に行くのが・・・」
「うん・・・」
「あたし、知ってるんだ。あなたが、教室に行けない理由」
「えっ・・・」
この人、なんだか不思議。
初めて会った感じがしない。
「みんなにどこかに行ってほしいって言われているから。でも、正確には消えてほしいって言われているからでしょ?」
「なっ・・・!!そんなにハッキリ言わなくてもいいじゃない!!私は、今の言葉言われて、苦しんでるんだからねっ!!」
すると、その子は笑った。
「へぇ~。そんなこと言われて、苦しんでるんだ。世の中には、あなたなんかより、もっと苦しんでる人が、いるのに。弱いな~、あなたって」
私は、涙が溢れた。
「だって、もう、限界なんだもん・・・」
「フ~ン・・・。っていうかさ、ここは自由だから。教室には、誰もいないからね。好きに遊んできなよ、千夏」
「えっ、あ・・・。私の名前、どうして知って・・・」
「そのうち、分かるよ。じゃ、あたしちょっと用事だから」
「あ・・・!待って・・・」
・・・行っちゃった。
それにしても、ここは本当に夢?
何もかもそっくり。まるで現実。
それに、さっきの人・・・何者なんだろう。
案内人とか言ってたけど。
そもそも、「フリー・ワールド」ってなんだろう。
謎が謎を呼ぶとは、このことだ。
とにかく・・・教室にでも行ってみようか。
私は、学校の方へと歩いて行った。




