表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの子は決まってあの場所に

作者: 柏木 柚葉

「あ、またいる...。」


 学校からの帰りにいつも見かけるあの少女。

悲しげな瞳をして、僕の家の目の前の公園のベンチを眺めている。

それも毎日。

雨の日だろうが、猛暑日の日だろうが、風が強い日だろうが。


 そんな名前も年齢も知らないあの少女に、僕は恋をしてしまった。

いわゆる一目惚れ。

たいして可愛いわけでもスタイルがいいわけでもない。

なんで好きになったのかもわからない。

きっかけだってないし、話したこともない。

もちろん話しかけるわけにもいかず、僕は自分の部屋の窓から彼女を眺めているだけ。

彼女は一度も笑わなかった。

少なくとも、僕が見ているなかでは。

それどころか、泣いているときだって何回かあった。

それでも僕は何もできない。

好きな子が目の前で悲しんでるのに、何もできない。

仕方のないことなのに、それがなんだか悲しくて、切なくて、悔しくて。


 彼女に話しかけたくても、チャンスがない。

急に話しかけたって、不審がられるだけだ。

そんなとき、思わぬチャンスが訪れた。

梅雨の季節だけあって、ずっと雨が降っている。

もちろん今日も。

いつも通り自分の部屋から彼女を眺めていると、急に彼女が倒れた。

雨が降っていたため、公園に人はおらず、彼女を今助けられるのは自分しかいない、と思った。

自意識過剰っていうのかな、こういうの。

それでも彼女を助けたいってことに必死だった。

両親が共働きで幸い家には誰もいなかったため、僕は急いで彼女のもとへ駆け出した。

たどり着いたときにはもう彼女は気を失っていて、ひとまず自分の部屋へ運ぶことに。

ある意味変態行為かもしれない。

友達や知り合いに見られていたら、学年中に変な噂がたっていたかもしれない。

でも、そんなことよりも彼女を助けたいという想いの方が強かった。


 自分のベッドに寝かせたあと、しばらく様子を見た。

どうやら熱があるらしく、とても苦しそうだった。

できる限りのことはした。

と言っても、保冷剤とかを持ってきて冷やしただけだけど...。


 2時間ほどして、彼女は目を覚ました。


「気がついた?良かった。」

「っ?!」

「あ、ごめん。びっくりするよね。ここは僕の家。君、そこの公園で倒れたんだよ。」

「え、えっと...?」


どうやら今起こっていることについていけないらしい。

それもまぁ当たり前か。

目を覚ましたら、見ぬ知らぬ男の部屋のベッドにいるんだから。

誰だって驚くだろう。


「僕は谷村 真斗(たにむら まさと)。△○中学の3年。」

「あ、助けてくれてありがとうございました。えっと、□△中学3年の花村 華穂(はなむら かほ)です...私、倒れたんですか?」

「え、覚えてないの?」

「はい...すいません。」


これ、聞いても大丈夫なのかな...。


「...花村さんは何でいつもあそこの公園にいるの?」

「......ちょっと色々あって...ごめんなさい、あんまり離したくないんです。」

「そっか...。」


そりゃそうか。

彼女にとっては僕はただの初対面の男だし。

それにしても、同い年だったんだ。

てっきり彼女の方が年下かと思ったのに。


「あ、あのさ...よかったら、これからも僕の家に来ない?」

「えっ...?」

「あ、いや、変な意味じゃなくて。」


何言ってんだ僕!?

やばい...変人って思われたに違いない...。


「えっとその、事情はよく知らないけど、外でずっとあのベンチ見てるより、僕の家から見たほうがいいと思うんだ。」

「...?」

「ずっと外にいたら健康的にもよくないし...。」

「なんか谷村くんって不思議だね。あの人にそっくり。」

「...あの人?」

「あ、え、ご、ごめんなさい。気にしないで。えっと、谷村くんがいいならまた来てもいいかな?って言っても、毎日になっちゃうんだけど...。」

「全然いいよwどうせ親は夜遅くにしか帰ってこないし、いっつも1人でつまらないしねw」

「ありがとう!すっごく嬉しい!」


あぁ。やっぱり彼女は笑ってるほうがいい。

なんにもわからないけど、せめて僕は彼女を笑顔にしてあげよう。

それが、今の僕にできることだから。


 それからというもの、彼女は毎日僕の家に来るようになった。

お互いのメアドや携帯番号などはもちろんのこと、彼女の方も僕に色々話してくれるようになった。

「なぜベンチを見ているのか。」「あの人とは誰なのか。」ってこと以外は。

彼女はどうしても、そのことだけは話してくれなかった。

僕から聞くこともできない。

たぶん、一生聞くことはないだろう。そう考えていた。


「真斗。」

「ん?」

「やっぱり、話すね。私が毎日ベンチを見てる理由。」

「え、いいの?」

「うん...真斗になら、話してもいいかなって思って。」

「...ありがとう。」

「私には、中1の9月から中3の5月まで付き合ってた幼馴染がいた。別に、別れたわけじゃない。でも、付き合ってるってことにはならない。」

「な、何で?」

「...付き合ってた彼が、自殺したからっ...部活と塾でね...いじめられてた...それに全然気付かなかった...。」

「っ...。」

「私の前では明るく振舞ってくれて。いじめられてるなんて思いもしなかった...それから今の9月までず-っと未練残ってるの...。」

「...。」

「その彼との一番の想い出の場所が、ここの公園のあのベンチ。デートで休憩するとき。幼い時に彼と遊んでた時に使ってた。あのベンチ見てたら、その人がいる気がしてね......っ...。」


彼女の瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ちていた。

きっと今まで、ずっとその人のことを想っていたんだろう。

もう会えない愛しい相手を想い続けてきて。


「うっ...あっ...うぅ...ご、ごめんね泣いたりしてっ...。」

「華穂、無理しないで?」


僕は彼女の腕をつかみ、自分の方へ引き寄せていた。

そして、そのまま自分の腕の中へ抱きしめて。

今の彼女には、誰か心の支えとなる人物が必要だ。

そう思ったら、考えるより早く体が動いた。


「ま、真斗...?」

「華穂が背負ってる過去とか、辛い想いとか、僕には全然わからないけど。それでも、華穂が辛いなら僕にもその辛いこと背負わせて。」

「なんでっ...。」

「僕は君が好きだよ、華穂...ずっと前から好きだった。君が背負う重荷は僕も背負う。」

「...。」

「僕と付き合ってください...。」

「...私も真斗が好き。真斗と話しているうちに、あの人のことが楽になってきた。だけど、あの人のことまだちゃんと忘れられてない。あの人への想いは。」

「それでもいいよ。それでも僕は、華穂を幸せにするから。華穂を笑顔にさせるから...。」

「...ありがとう真斗...大好き...。」


そうして僕たちは、そっと唇を重ね合わせた。

そこからどれくらい時間が経ったかはわからない。

だけどひとつだけわかること。

それは、今僕の目の前に、幸せそうに僕に笑ってくれている君がいること。

約束するよ。

絶対、君を幸せにします...。


 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪


なんだか不自然なところが多々ありますが...w

思いついたことをそのまま書いているようなものなので、かなり変だと思いますw



感想等いただけると嬉しいです*

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ