電球を身につける僕
ぷっぎょおおおおおおおおおおんんんんん
僕は奇声を上げて草原を疾走した。
もうホント草と原しかないみたいな。あれ、なんかデジャヴだ。
まあいい。僕は要介護レーベル67だ。アレ?67?もう良く分からん。まあ、見ての通り僕は認知症だ。あれ?アルツハイマーだっけ?もう良く分か(以下略)
そして…うん、なんかアレだ。結局、美女は見失った。まあ、顔を見ていないので美女かどうかは分からんが、僕の欲望というやつだ。ん?願望?もう良く(以下略)
なんかさっきから嫌な感じがする。いくら作者で権限を持っているとはいえ、主人公の僕の台詞を無断で割愛するのは良くないと思う。愛もへったくれもない。
と、いうわけで今からはノンクレジット版でお届けしようと思う。あれ?クレジット?もう良く分からん。
おお、今度はちゃんと言えたぞ!愛をありがと~ぅ♪優しさをあ(以下略)
僕は辺りを改めて見渡してみた。草と原いかないと思っていたが、目の前になにやら建物がうっすらと見えてきた。
その建物は何やら突起物のようなバナナのような卑猥な形をしていた。一秒ごとに開いたり閉ったりしている自動ドアが『ホラ、こっちよ…』と誘っているようだった。
僕は盛大におもらしした。辺りの草も嬉しいのか、僕が出したものを取り込むと、一斉に「ぎょああああああ」と素晴らしい大合唱を披露してくれた。僕は「まあまあ」と某ヌカのように華麗に言った。
まあなんだかんだで僕は建物の中に侵入した。一秒ごとに開閉を繰り返す自動ドアにミンチにされながらも、かろうじて原型を留めている。
でも、それでも嬉しかった。
なぜならいつも僕を人間と認識していないのか、何の反応も示さない自動ドアが、始めて僕の希望の光をミンチしたからだ!ふふ☆ちょっぴりハゲシかったけど☆
まあ自動ドアの希望粉砕は乙女なら誰でも通る道だ。僕は誇らしげにムーンウォークした。鼻が取れた。
でも、某マイケルでジャクソンな人も、ダンスの練習中に鼻が取れたと言っていたし……僕はまた一歩二分の一成人式に近づいた。
ところで風呂で凍ったままのマミーは大丈夫なのだろうか。誰かが介抱しなければ、ずっとあのまま故人になってしまう。
ハッ、マミーは今裸だ。ならば、介抱するヤツはマミーの裸をMOKUGEKIすることになる。それはマズイ。
マミーの裸体を見ていいのは、この世で僕1人と決まっているのだ。
「ウヴヴヴヴォオオオオオオオオオ、出せぇぇぇえええええええええ!!ここから出せぇぇぇぇえええええええ!!」
僕は再び自動ドアに向かって突進した。だが、僕のステキパンチを駆使しても、あんなに誘っていたドア(※誘ってません)はビクともしなかった。
ドアが開かないことには外に出れない。これでは、僕以外の男がマミーの裸体を見ることになってしまう!
「嫌…ッ、そんなこと…そんなこと絶対にさせない!!アムロ、いっきま――――――――――――す!!」
じゅびばれいしょおおおおおおおん、足元が爆発した。
「うっぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
僕は華麗に背中を床に打ちつけた。そして1人でムクリと起き上がると、わなわなと唇を震わせる。
「グアムパウダ・チャ・バワムダラが……立ったあああああああああああああああああ」
だからなんだというのだ。全く意味が分からない。
…おっとイケナイ。この物語は一応一人称で話が進んでいるハズだ。
もはや思考回路が焼き切れているグアムパウダ・チャ・バワムダラ君に解説してもらおう。
そして僕は立った。立ったのだ!嗚呼、なんと喜ばしい瞬間だろう。この栄誉を後世に語り継ぐのだ!
もはや僕は僕が立っていたことも忘れていた。ん?なんかおかし(以下略)
と、1人で立ったり座ったり丸まったり股を開いていると、誰かが奥からやってきた。
だが僕はこれしきのことで立つことを止めはしない。
堂々と『ミルクムナリ』のキメポーズでパーランクをフィニッシュの形にすると、その人物はまるで汚物を見るかのような視線を僕にげかけた。初対面のクセに失礼なクソ野郎だ。
だが、その人物はこういう事態に慣れているのか、すぐにニッコリと人のいい笑みを浮かべた。
僕がいつまでも「その人物」といってるのは、そいつが男か女か分からないからだ。
ためしに僕の極太ジャーマニーを笑顔で見せつけてやると、すかさずモザイクを投げてきたので、女だと推測する。
僕は投げつけられたモザイクでしっかりとジャーマニーを隠すと「へ、へへ」と笑ってみた。再びその女(仮)もニッコリ笑顔。
女(仮)はおもむろに口を開いた。
「初めまして。俺は男です」
…これはこいつの名前が『男』なのか、自分の性別が『男』なのか分からない。
ためしにもう一度ジャーマニーを披露して『hey!お前のも見せてみろヨー!』と卑猥な手つきをして相手を挑発すると、先ほどよりも大きなモザイクを投げつけられた。
しかし今度はモザイクがペケペケではなく発光しているのがポイントだ。丸くて大きな電球を想像してくれればいい。
「見た目だけでは女と間違われやすいですが、俺はれっきとした男で、名をゼフェリスと言います」
そう、礼儀正しく言ったので、僕は「フ~ン?」と言って体中をなめまわそうとしたが、電球を投げつけられて四度目の気絶をした。
最後に目にしたものは、さらっさらで恐ろしいほど透き通った長い金髪に、澄んだ湖のように綺麗な青い瞳に、整い過ぎた顔だった…
僕の要介護度は、148にまで跳ね上がった。
暑いデス。