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ウェイスト  作者: 甲ドM
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今日からは違う日常

オレが犬に襲われて2日ほど経って、オレは正式に百繚学園へと入学することができた。今が4月ということで入学の手続きは簡単にできたらしい。それもこれも茂列とかいうじいさんがやってくれたらしいが正直あの爺さんには感謝の言葉よりも、オレの事について全てを見通すような声がすごく不思議で仕方なかった。あの人からはそれ以外にもオレには異能という力があること。オレには目の前の危険から避ける異能があると教えられた。まわりの多くの学生と共に学園への一歩を踏み出して自分のクラスへと向かう。クラスは1の4。ドアの前に貼ってある座席表を確認して軽く深呼吸をする。ドアを開けるとそこにはクラスメイトになる人物たちが意外にも、楽しそうに話していた。

「ねぇ君、名前は?」

「名前?オレは牛越 旁(うしごえ つくり)

話しかけてきた男は学生服をキチっと着こなし、ぱっと見は社交的に見えた。

「ごめんね、僕は四条 連(しじょう れん)中等部からここにいるから何かあったら聞いて、よろしく。」

そのように言われ、自然と挨拶をした。その時ガラガラと音を立てて、扉が開き教室静かになる。

「席に着け。」

若い女性の声がした。

「あたしの名前は風見 輝(かざみ ひかる)。この世界を生きていくうえで言うことがある。」

部屋内に入ってきた教師と思える人物は自己紹介をササっと済ませて続ける。

「中等部では、自身の身の守り方をメインで教わっただろうが今日からは違う。生き抜くために殺す方法を教える。よって一秒ですら惜しいので今から授業をはじめていく。」

腰にまで伸びた艶のある髪の毛はすべての光を飲み込むような黒であり、スラっとしていて長身。オレのタイプではないものの誰が見てもきれい、またはカッコイイと言われていることは間違いないだろう。

「中等部からの人はもう一度聞くことになるが復習と思って聞いてほしい。」

そのように言って彼女は慣れた手つきでプリントを配りながら話を続けていく。

「まず、この世界には()()()()というのが根本にある。」

いきなり入ってくるのは教師だからギリ納得できるが初日から授業は少し堪えるな。

「渇力とは異能を使うために必要なものだ。基本的に一般人には存在せず、異能力者だけにある。それに比べ異能は超常的な力が使える能力の事だ。これも同様だな。」

教師から視線を外して空を眺める。ここだけを見れば普通の高校生だが、話している内容はぶっ飛んでる。と冷静になってしまう自分がいる。

「渇力は目には見えないので異能について深く説明しよう。」

「異能とは、そうだな。見てもらった方が早いな」

鳥は一羽も居らず、孤独に雲だけが流れている。多分空は自由があっても地上ほど楽しくは無さそうだ。

「授業中だぞ。どこを見てるんだ?」

「えっ?」

先ほどまで教卓で話していた彼女はオレの目の前の窓の縁に片足を乗せていた。彼女の髪は風に乗って流れている。急に現れた、オレの教師は最初からそこにいた。そう思うほどおかしな状況に驚いた。

「このようなものが異能だ。君、話を聞かないのはよくないぞ。」

これが異能。知ると見るとでは大きな違いがあることを今知った。

「異能には大きく分けて二つのプロセスを踏む。一つ目は条件、二つ目は異能の効果。」

「一つ目の条件とは例えば触れたらであったり、10m以内に入ると、などの異能を使うための前提条件となるものだ。」

「異能によってこの条件は固定化されているが、自ら条件を追加することもできる。あたしの場合は相手をあたしの視界内に入れる。」

「二つ目の効果はあたしで言うとテレポート。異能は条件を達成しない限り、効果へと移ることはない。」

空を見ていた分の遅れを取り返すために急いでメモを取る。

「異能には()()という考えがある。どれだけ強力な異能を持っていても使えなくさせればどうということはないという考え方だ。」

「例えば触れることで相手に電気を流す異能力者がいたとしよう。そうだな、いまさっき空を眺めていた君。君はメタるならどうする。」

「腕を縛るとか?」

「あぁ、それも正解だろう。後は電気を通さないような防具の装備なども正解だ。」

1ミリもわからないこの世界で自分の回答が当たった、そのことがとても嬉しかった。

「この学園はプリントにのってあるような化け物たちと対峙することが多くある。そのためこいつらを信仰している集団と敵対関係になっている。」

オレが唯一知っている犬がそこにはなく、魚のような生き物などが3つほど乗っていた。

「炎がすべての生物の原点と考えているクルガ教団や、世の中の出来事の本質すべては宇宙の外にあると信じているオグストス教団などとは敵対しているな。」

ふと疑問に思い手を挙げる。

「先生、この学園って人が多いじゃないですか。それなのになんでクルガ教団などを解体しないんですか?」

単純な疑問だが気になった。組織は量で壊せるのではないかと。それを聞いた教師はチョークを手に取り、漢字二文字だけを書く。

()()という集団がある。トップレベルの強さを持っている異能力者が選ばれたものだ。この学園からは2人、合計で6人いる。」

俺が会った一微(かずみ)さんは選ばれているのだろうか。強いイメージはあるがどうにも具体的な強さが分からない。俺といた時あまり戦っていなかったからな。

「戦華の人間という存在は、国で言うところの核などと同じ役割を果たす。どんな小国でも、核があると途端にその国への侵略などが止まるだろう。それと同じだ。わざと大々的に名前を出すことによって、お互いに不干渉を疑似的に約束しているんだ。」

つまり、その戦華に入っている人物がいることで教団には手が出せないと。

「いい時間だから、最後に一つだけ。この世界で唯一格上に勝ちうる力は異能だ。まぁだからといって、過信はしすぎるな。」

学校のチャイムが鳴る。思っていたよりも短かった初めての授業。情報量が多く頭が痛いので次の時間まで寝ようとする。

「話ばかりで疲れたろう。少し休憩したら、次はグラウンドで体を大きく使おうか」

どうやらオレに寝る時間は与えられなかったようだ。

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