第8章:コアと次なる段階
勝利の代償は大きかった。ケンゴは仮設の制御室の床に横たわり、エーテルタレットを具現化したことによる極度の疲労に苛まれていた。純粋なエネルギーの操作を必要とするレベル4のアーティファクトの起動は、彼の精神的・生命力の貯蔵をほぼ完全に使い果たしていた。
ライラは、ミトラスから受けた恐怖以上の恐怖を感じながら、彼の世話に駆けつけた。
「ケンジ様、鼻血が!体が…」
「大丈夫だ」ケンゴは無理に体を起こしながら囁いた。この力は魔法ではなく、彼の幼い体に負担をかける精神的な作業の一種だった。「ただの疲労だ。食事と三日間の睡眠が必要だ。だが…あれを見てくれ」
ケンゴはエーテルタレットを指さした。それは玄武岩の台座の上にそびえ立ち、静かに唸りを上げ、青い砲身からわずかに煙を上げていた。
「あれが」ライラは畏敬の念をもってタレットに近づいた。彼女はミトラスという副官が、たった一本の青い光線に怯えて逃げるのを目撃したのだ。「太陽騎士団のどんな武器も…神官のどんな呪文も、あれほどのことはできなかった」
「あれは技術だ、ライラ。ミトラスに対する回答だ」ケンゴは説明した。「影は純粋なエーテルエネルギーを喰らうことはできない。これで、永遠の巫女が知識を宗教の形で隠した理由が分かっただろう。魔法の武器は、本質的に反魔法である脅威には役に立たないのだ」
ライラは残りの一日をケンゴの看護に費やし、しぶしぶタレットの分析を行った。ケンゴは彼女に水晶、銅、そして力のエネルギーの仕組みを教えた。ゆっくりと、戦士の心に工学への魅了が芽生え始めた。最も熱心な戦士だったライラは、新時代の最初の科学者になりつつあった。
「ケンジ様」ケンゴが回復し始めた時、ライラはついに尋ねる勇気を持った。「この『タレット』をもっと造ることはできますか?」
「まだだ」ケンゴは首を横に振った。「あのタレットの具現化で、俺が持っていた精製水晶の備蓄は全て尽きた。次の段階に進むには、手作業での採掘に頼るわけにはいかない。大規模で安定したエネルギー源、そして何よりも触媒が必要だ。G-3コアが必要だ」
ケンゴは時間が限られていることを知っていた。ミトラスは増援を連れて戻ってくるだろうし、次はタレットの発生源や壁の最弱点を攻撃してくるだろう。彼らは基地のレベルを上げる必要があった。
「ライラ、優先順位が変わる」ケンゴは翌日宣言した。「太陽神殿へ行き、G-3リアクター・コアを回収しなければならない。要塞が難攻不落だと知った今、彼らは我々の生命線を攻撃してくるだろう。コアは無防備だ」
この任務には、スピード、ステルス性、そしてライラの力が必要だった。
「馬車では遅すぎます」ライラは指摘した。「そして道は今、斥候で溢れているでしょう。コアを運ぶ方法と、高速の乗り物が必要です」
ケンゴは頷いた。彼は素早く動くことはできないが、彼女に装備を与えることはできる。
ケンゴは最後の精神力の備蓄を使って、ライラのための新しいアーティファクトの創造に集中した。
[未来の断片を具現化中。目標:運動能力ハーネス、パターンR701-ガンマ。要求:炭素繊維、軽量ポリマー補強。]
ケンゴはライラの革鎧の内部構造を変形させた。肩、背中、膝に微細な炭素繊維のラインが現れた。それは重い鎧ではなく、軽量な動作補助外骨格だった。
「これを着ろ、ライラ。これはミトラスの直接攻撃からは守れないが、君の速度を五倍にする。既知のどの星喰らいよりも速く走れるだろう」ケンゴは説明した。
ライラはハーネスを身に着け、即座に力の増大を感じた。彼女はこれまでに経験したことのない速度と軽やかさで動くことができた。
G-3コアのために、ケンゴは内部に緩衝材を備えた、軽量チタン製の非常に頑丈でバランスの取れた運搬用そりを造った。
「G-3コアは何トンもある」ケンゴは言った。「そりは君が高速で牽引できるように設計されている。だが、コアは安全に確保されなければならない。安全に輸送する方法は一つしかない」
ケンゴはまだセメントに固められたままの二体の星喰らいを見た。
「そりは偽装する必要がある」彼は続けた。「あの二体の星喰らいを解体し、硬化セメントを使ってコアの周りに保護カバーを作り、普通の大きな川石に見せかける。そうすれば、星喰らいがそれを見つけても無視するだろう」
星喰らいの解体は迅速かつ不気味だった。ケンゴは材料を回収し、硬化セメントを精製し、キチン質の装甲板(ライラが自分の鎧を補強するために使う予定)を保管した。
材料の準備が整い、ケンゴは壁の門でライラに別れを告げた。
「ライラ、急げ。コアはバベルの心臓だ。それがここにあれば、建設の次の段階が始まる。高温精製所や部品工場を建設できる。もはや欠乏に依存することはない」ケンゴは、戦争の将軍のような真剣さで指示した。
「必ず持ち帰ります、ケンジ様」ライラは猛烈な決意をもって約束した。彼女の信仰は今や科学に基づき、彼女の使命は人類の未来のための力を確保することだった。
ライラは、動力ハーネスを起動させ、チタン製のそりを引きずりながら、夜へと飛び出した。彼女の過去の信仰の遺跡へ、そして彼女の新たな未来を確保するために南へ向かう、高速の影だった。
ケンゴは彼女が遠ざかるのを見守り、それから制御室に戻った。彼の仕事は、待つこと、力を回復すること、そしてG-3コアのための固定コードを準備することだった。世界の運命は、彼の守護者が忘れられた技術の心臓をどれだけ速く持ち帰るかにかかっていた。




