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台本  作者: 月雨はる
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第2部『春の路地』3- 無力

[ねぇみて、めっちゃ掃除機かけた。もうホテルじゃね?]

[ホテルなめんなよ]


 透峰はどうやら掃除に精が出ているようで、机の上やらキッチンやら本棚やら、本人曰く綺麗になった写真がポンポン送られてくる。透峰には申し訳ないが、正直あんまり変わっていない。今度行って掃除し直してやろう。

 そんなことを思いながら、透峰から貸してもらった開き癖のついた画集を、ウイスキー片手に眺める。まだ良さがあまり分かっていないけれど。


[また今度部屋行ったときに隅々まで見たげるから楽しみにしてな]

[姑かよ]

[あら?あなた、窓の桟のここ…憑いてるわよ]

[急に雲行き怪しくするのやめれる?]


 透峰の家にある小さめの本棚は小説と画集が半々で、彼女の家に行くたびに「へぇ~」と二人くっついて鑑賞している。しょっちゅう本棚の模様替えをするので、博物館の音声案内みたく解説してくれるのを毎回楽しみにしていた。

 僕も透峰も、題名のない絵が好きだった。「額縁の無い、どこへでも行ける自由な絵」みたいな感じがしたから。同時に、一瞬目を離したらどこかへ消えて行ってしまいそうな儚さや危うさも感じられた。それに心酔する彼女に対しても、たまに同じ感情を抱くことがある。 


[薬で眠くなってきたからそろそろ寝るね。おやすみ]

[ん、おやすみ。また明日]

[また明日!]


 それから、透峰から返事が来ることは一度もなかった。

 何度もアパートに足を運んだが、案の定応じてくれなかった。インターホンの音が僕にしか聞こえていないのではないかと思うくらいに反応がなかった。大声で呼びかけても同じだった。何も返ってこない。あまりにもしつこく部屋を訪ねるものだから、隣人などに変な目を向けられた。通報されるのも時間の問題かもしれない。


 やがて既読すらつかなくなり、電話もできなくなっていた。ブロックされたのだろう。

 また透峰の家を訪ねた帰り道にふと岩田さんの事を思い出して、スマホを取りだす。


「もしもし?」

『後藤君?』


 心配と緊張と悲しさをにじませた声で彼女が応える。


「岩田さん、あの、」

『もしかして』

「はい、そのことで」


 今まで電話をするという選択肢を忘れていたことで、自分がいかに動揺しているかが分かった。


『うん、あのね‥‥』


 そう言った後、彼女は深呼吸をした。自分から連絡しておいて、その先を聞きたくないと思っている自分がいる。電話をしなくても答えは分かっているはずなのに。


『あのね、聞いて』


 彼女は優しく、一切の埃も立てないような静かな声で、そのことを伝えてくれた。

 その時僕は何故だか安心を覚えた。誰かがそう言ってくれるのを待っていたのだと思う。探している人はもう居ないよ。もういいよ、無駄なんだよ。そういう証拠が欲しかったのだと思う。

 一切の理性を失った「そんなはずがない」とプラカードを掲げて一人で行進している自分の首をへし折る手に、不思議なくらい力が入らなかったから。


 それから彼女は何も言わなかった。しばらく静寂と会話をした後、示し合わせたかのように「じゃあ」と電話を切った。

 じんわりと汗ばむ体に、路地から一筋の一月らしい風が僕を冷やかしきた。そのせいで、僕の目から透明な花びらがほろほろと舞い落ちた。


 冷静に考えてみろ。透峰からしたら知らないやつからLINE とか電話がひっきりなしにきて、さらには住所特定されて何回もインターホン鳴らされて。

 嫌われたかな。もう赤の他人なのに。陽菜元透峰の中に「後藤彩里」はもう居ないのに。


 僕たちはいつだって縋るものを必要とする。形は問わず、自分以外の何か信じられるものを。そうしないと生きられないのに、あらゆる理不尽や暴力、過度な人間との摩擦に痛めつけられて、蝕まれて、心が取り返しのつかないくらい荒み、膿を垂れ流して、遂には「自分以外は信じられない」という思想を信仰し始める。


「透峰‥‥ 」


 しかし唯一信じられるはずのそれを無意識に疑ってしまい、気付かないうちに心が黒く凍り付いてしまう。「他人の価値観との適度な摩擦があって、ようやく人の形を保っていられる」と気付いた時にはもう手遅れなのに。

 今こうして紺中夢が全世界で広がっているのは、忘れることで心に無理やり心に隙間を作って、耐えるために進化しようとして失敗した結果なのかもしれない。


 透峰と連絡が取れなくなって、二週間が経とうとしていた。

 岩田さんはあれからずっと透峰の家に泊まって、仕事も休んで付きっきりで面倒を見ている。一歩も外に出ようとしない彼女に何かできないか、危ないことをしないか。

 最初は混乱して怒鳴ったりしていたようだが、今は憔悴してすっかり話さなくなってしまったという。

 そして食事もまともに食べられない。夜になると眠るのが怖くて部屋の中をぐるぐる歩き回っているから、粉末状にした睡眠薬をぬるま湯に溶かして飲ませるのだと言っていた。そんな岩田さんの事も、透峰は遂に忘れてしまった。


 そんなLINE の文面を、ベッドに死体のように横たわりながら眺めている。

 視界に入るものすべてがのっぺりとしている。空気清浄機の音や、トラックの走行音、浅い呼吸音。すべての音という音が僕の事を嘲笑うが、苛立つ気力さえ湧かなかった。


 透峰にとって赤の他人である僕にはもう何もできない。僕は干渉してはいけない。いや、この現実から逃げるために、向き合うことを拒んでいるのか?向き合えば解決するのか?透峰はよくなるのか?透峰は僕を、忘れた人間を前にして何か変わるのか?考えがまとまらずにいると、気付いたら10時半を回ろうとしていた。カップ麺だけを食べて、彼女の好きだった画集を手に取る。開き癖のついたページを眺める。

 画集に付随した記憶と少し微睡んでいると、小さく流している音楽の向こう側からサイレンが聞こえてきた。それに気付いたのと同時にスマホがやかましく僕を呼びつけた。岩田さんからだった。嫌な予感は体中を駆け抜けて、汗としてにじみ出る。


「もしもし」

『後藤君!と、透峰の、透峰の部屋が!透峰の── 』


 岩田さんが言い終わるのを待たずに、僕は車のキーを乱暴に掴んで部屋着のまま靴も履かずに外へ飛び出した。ずっと寝ていたせいで体がふらつき、体のあちこちをぶつける。透峰のアパートへの道に一つしかない夜10時半の信号の色も燃え盛っていたが、すべて無視して猛スピードで団地の入り口までたどり着く。


 近くの公園の駐車場に車を雑に停めて、裸足で団地を縫っていく。急に巡りだした血液に心臓が動転して息が乱れる。次第に喧騒に近づき、動悸が激しくなる。黄色いテープが目に入る。

 赤、赤、赤、赤、赤。パニックになりながら避難している他の部屋の住人。放水の音、消防員の大声、警察官、救急隊員、ゴミのような野次馬の声。


 勢いを増すばかりの炎が星空に映える。収まらない動悸と上がり続ける息が、あの炎とリンクしている様だった。


「透峰」


 あまりにも小さすぎる呼びかけは、誰にも、僕にも聞き取ってもらえずに虚しく蒸発

した。


透峰


 今度は口しか動かなかった。

 まるで喘息のように涙が溢れ出し、顔も覆わずに、ただ暴れ狂う炎を眺めていた。

 僕も岩田さんみたいに、忘れられたことなど恐れずに傍にいてやればよかったのか。今でも分からない。

 でも怖くて仕方がなかった。ある朝起きたら僕との全てが消え去った透峰がいる、そのことを受け止める覚悟がなかった。自分勝手な酷い言い訳だ。

 すべて僕の所為だ。

 僕の所為だ。


「後藤君!」


 岩田さんが野次馬をかき分けてこちらに向かってきた。


「昨夜、急に用事が出来てしまって一人にさせ‥‥て 今日は大分症、状が落ち着いてた、から多分大、丈夫、かなっ、て‥‥‥ それで帰ってくる時に‥‥ これがきて‥‥ っ」


 彼女は泣きながら、震える手で僕に画面を見せた。透峰とのLINE の文面だ。


『友達の岩田さん、恋人の後藤さん、いままでお世話になりました。』


 それだけだった。

 時刻は10時31分、岩田さんが電話をかけてくる直前だ。

 彼女が駆けつけて階段を昇っている途中に刺すような爆発音が聞こえて、すぐに通報したらしい。


「あっ、みて、あれ‥‥あれ! ねぇ、ねぇ!」


 急に岩田さんが走り出す。数人の救助隊員が、誰かを担架で運びながら階段を降りてくる。

 僕も彼女を追う。


「おい透峰、透峰!‥‥すみません通してください!通して!おい透峰!」


 迷わず立ち入り禁止テープをくぐって、担架を運んでいる隊員に駆け寄った。当然近くの警察官に止められる。


「彼女の、陽菜元透峰の恋人です、彼女は無事なんですか!教えてください!透峰は!!」


 僕は現場から出てきた救助隊員の男性に叫んだ。


「落ち着いてください!そちらは、ご友人ですか!」

「はい!通報した岩田です!!」


しばらくして彼はこちらに駆け寄ってきた。


「通報ありがとうございます。今はとても危険な状態ですが、まだ息はあります。今から病院へ搬送しますので───」



◇ ◇ ◇



2月


 警察の捜査が終わってしばらく経ち、修繕工事が始まった。近くの公園のベンチに座って、今日も透峰の部屋だったところを眺めている。

 少年らが水道の蛇口を上抜きにして水を勢いよく出してはしゃいでいる。

 あれから町は二週間程ずっと快晴。最高気温は四十度らしい。


 救命医の迅速な処置も空しく、透峰は救急車の中で命を空に返した。

 お酒で睡眠薬を大量に服用した後、灯油を部屋に撒いて火を点けて首を吊ろうとしたが、首に縄の痕がついていないことから、失敗してそのまま気絶、一酸化炭素中毒によって死亡したと結論付けられた。消防の到着が早かったおかげか、遺体の損傷は激しくなかった。


『後藤君大丈夫?何かあったら連絡してくださいね』


 岩田さんからの連絡もろくに返さず、ただ抜け殻のように毎日を過ごしている。

 仕事にも身が入らず、しばらくの間休職させてもらうことにした。


 首を吊る前、透峰には何が見えていたのだろう。最後に縋ったものは何だったのだろう。

 もし彼女がその時崇拝したものが死であったのなら、幸せだったのだろうか。


 僕の右薬指のぺアリングとライブの電子チケット、透峰の画集、置きっぱなしの彼女の好きなライブDVD や着替え。面影は一欠片も減っていない。死に化粧の施された透峰をこの目で確かに見たはずなのに、そのうち帰ってくると思ってる自分が何人もいる。

 陽炎と一緒に眩暈がしたので、公園を後にして車に乗り込む。ごみを放置した車内にはひどい悪臭が充満していた。

 コンビニで購入したお酒を冷蔵庫に仕舞っている時に、透峰の分まで買っていたことに気付き、途端に悲しみが押し寄せてその場にうずくまる。


 2月の夏が四季を壊そうと、近所で殺人事件が起きようと、透峰が死のうと、現実は現実離れしたスピードで押し付けられる。平等に訪れる全ては留まる僕の心の肩を優しくねじ切り、片手を上げて何もなかったかのように微笑む。そいつに何でもなかったような顔をして必死でついていき、馴染めなくても馴染んだふりをする。

 笑い飛ばしてくれよ、透峰。


 ベランダに出て透峰の好きなビールを飲んでいると、今日もスマホから緊急アラートが鳴って、その数分後に黒い流れ星が星座をめちゃくちゃにしに来た。最近は昼間や夕方にも流れるようになって、スマホの通知欄が速報でごった返すことが多々ある。ただでさえ参ってるのにアラートもあって一日中気が休まらないが、これはミュート出来ないので腹が立つ。

 正に轟音と呼ぶにふさわしい奴は、後片付けもせずそのまま東京の空に向かっていった。


「治安わりぃなぁ‥‥ 」

「ほんとですよね」

「んおあぁあびっっくりしたぁ!」


 気付いたら左隣のベランダに月雨少年がジュースを持って立っていた。


「え、ずっと居ましたけど」

「居るなら『いますよ』って言ってよ‥‥ 挨拶とかさぁ‥‥ 」

「居ますよ報告とか後藤さんじゃあるまいし‥‥ 。あと挨拶しました。とりあえず乾杯しますか」

「んお、準備いいじゃん月雨」

「じゃ、流れ星に」

「流れ星に」


 僕たちはいつからか、黒い流れ星が来る時間に、最大限の皮肉を込めて乾杯をするようになった。この乾杯をしなくなる日はきっと来ない。


「っっっかあああ!!‥‥ ほんで最近どう、春野ちゃん」

「おお 久しぶりに後藤さんのいっき見ました。そうですね、なーんかここ一週間学校サボっ

てます。明日からまた行くらしいですけど」

「曽部先生の事?」

「だと思いますけどね。あんま話したがらないので、詳しくは聞いてないです」

「そっか」

「後藤さんはなんか面白い話あります?」

「振りが雑過ぎんだよ。さてはモテねぇな」


 茶化し合いながら二本目のビールをカシュリと開ける。笑いを堪えられずに吹きだしている僕等みたいだ。


「あれ、ウイスキーじゃないんですね今日」

「うん。たまにはね」


 右隣にいる気がする彼女にそっと乾杯する。透峰、今日からリニューアルしてたぞこのビール。意外とこれ美味いぞ。そう肩を落とすなって、どんまい。


 遠くから消防車のサイレンが聞こえて、ドクンと脈が飛んだ。体が思わず反応してしまう癖が、あの日からずっと取れない。汗が酷い、息も苦しい。


「どうかしました?」

「いや大丈夫、不摂生で動悸が‥‥ 」

「ざまぁないですね」

「今からそっち飛び乗ってどうにかするぞ」

「ほんとごめんなさ──」

「謝って済むと思うなよ」

「どうすりゃ?」

「飲め」

「うーわ通報します」


 「ちょっと」と用事があるふりをしていったん部屋に戻った。頓服薬を飲んで呼吸を整え、症状が治まるまで何とか耐える。熱帯夜でただでさえ暑いのに、変な汗でべとべとして気持ち悪い。

 隣にいる透峰は、こんな僕を見て今どんな顔をしているだろうか。「だーいじょうぶだよ」と呆れて笑っているだろうか。彼女の事だからきっと許してくれると思うけれど、いっそ臆病者だと呪ってくれた方が楽なのかもしれない。


「ごめんごめんおまたせ。通報した?」


 彼が何か言おうとすると、「ねぇ、はるー!きてー!」と、月雨少年の部屋から春野ちゃんの声が聞こえてくる。


「今酔っ払いと話してるんだけどー!」

「おい」


 あの酔っぱらいー?と春野ちゃん。だからおいってば。


「僕の事酔っ払いで通ってんだ?」

「え、はい」

「なにこれ俺が変なのか?」


 いくつもの“他愛ない”を交わして、おやすみで区切る。

 窓を閉めて、クーラーをつける。明日も変わらず夏日らしい。

 ため息も、食器を洗う音も、缶を潰す音も、全部がやけに大きく聞こえる。

 歯磨きをしながら、透峰が大好きな映画のお気に入りシーンを観返す。

 彼女は『ここ、ここ!ここ大好きなの!んっふふ』と、観る度にくしゃっと笑って言っていた。


 時間が経つにつれて、彼女の声や匂い、仕草などが確実に薄れていくのが分かる。彼女の事を忘れてしまう時も必ず来る。

 だからせめて、遺された「さよなら」を小さく切り刻んで、毎日少しずつ頂く。


◇ ◇ ◇


8月28日


 今日は月雨少年の部屋の大掃除を手伝いに来ていちゃんる。なんとまぁ汚いこと。何週間掃除してないんだよ。散らかしの天才なのは透峰とそっくりだな。

 彼はあれから、少しずつ春野ちゃんの死から立ち直りつつあるようだ。顔色も大分よくなった。

 彼が言うには、春野ちゃんの遺体は東尋坊で見つかり、既に葬儀も身内だけで済ませ、部屋も引き払っているらしい。


「ちゃんと警察から家族に連絡がいってよかったですよほんと。よいしょっ‥‥ 春野、紺中夢になってから電話出なくなったので、もし繋がらなくても『またか』ってなって終わりで‥‥ よっ‥‥ と。僕もその時は春野の事忘れてたし」


 月雨少年の紺中夢は軽度で、運よく症状もあれから悪化することなく、周りの協力も得て何とかやっているそうだ。


「後藤さん、次ベッドの端持ってもらえますか、はいそこです。せーのっ」


 ほんで俺はなんで模様替え手伝わされてるんや。掃除だけのはずだろ。


「もう一本酒奢りだからな月雨」

「やな大人なんですか?」

「実はね。よい‥‥ っしょ。で、なんで模様替え?」

「夏なので」

「もう季節とかないじゃん」

「まぁそうですけど‥‥ 昔の名残ですかね」

「そっか」

「そうです」

「酒な」

「いやです」

「え?」

「え?」


 開け放った窓から飛び込んできた暦通りの風が、網戸をかいくぐったあとに埃を弄ぶ。


「春野ちゃんの持ち物とかはどうすんの」

「どうしましょう‥‥ 一応ダンボールとかにまとめときます。学校に春野の両親の連絡先教えてもらえ‥‥ いや無理かな、ん~」

「シェアハウスみたいになってた事みんな知らないの」

「知らないですね‥‥ 紛らわしいですし、春野のストーカーの先生にバレたら多分殺されますし」

「ずっとつけられてたら見つかりそうだけどな」

「すごい早朝とか、その先生が授業してる時間見計らってとか、色々作戦立ててましたから、多分それはないと信じたいですね」

「とっととクビになっちまえ曽部っち」

「ほんっとに曽部っち‥‥ 。ま、とりあえずこれお願いします。僕はあっちを」


 月雨少年が食器棚から出してくれた春野ちゃんの食器を、一つひとつ丁寧に緩衝材で包んで段ボールに入れる。彼は春野ちゃんの部屋に行って片付けを始めた。

 小さく聞こえる泣き声とカーテンがさらさら擦れる音が重なる。慰めているようにも聴こえた。


 今日は朝から快晴が続いている。太陽が必死に光を蒔いている。記憶の路地にひゅうと吹き溜まる透峰との想い出がほんのり光り、それは若葉の間を縫ってきた春風のような香りがした。

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