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罰を下さい!

 『【罰】を下さい!』、とお願いしたハズが、何故か昇進の知らせのような良く分からない命令? を下された俺は、正直言って絶賛困惑中です。


 でも俺からすると仕事が増えるからこの提案は罰なのか?

 でも予算使えるし、他に仕える権限も増えるだろうから、そう考えると褒美?

 そもそも形式上はフローレス辺境伯夫君なんだから当然の権利?

 でも本来なら招かざる人間なんだから実は越権行為? 

 この提案がどれに当てはまるのか分からなくて益々困惑している俺の様子を、エステラ様はこれまた愉快そうかつ、不思議そうに眺めながら、先程の話の続きを始める。


「もしかして予算の心配でもしているのかしら?

 そこはちゃんと屋敷の管理費としてお前が自由に使える分を組んでおくから、心配する必要ないわよ?」

「いえ、そうじゃなくてですね!

 どうして俺が罰で管理職のトップに就く、って話になるんでしょうか?」

「正直に言うけど、私って屋敷の管理の事に関しては疎いというか、全然興味が無いのよね。

 そんな私の代わりに、屋敷が周囲から貧相に見えないようにしつつ、節度を持った予算で管理してくれるの人間がいると、非常に助かるんだけど……なんて考えていた時に、丁度良く屋敷の管理が出来そうな人間が現れたんだから、そんな人材を放っておくのって、勿体無い事だと思わないかしら?」

 言ってる事は分かるんですけどね。家門の家格を表す象徴の一つでもある屋敷。その屋敷に関して最も権威を持つご当主が、「屋敷の管理がめんどくさいからやりたくない」ってハッキリ言い放っちゃうのもどうかと思いますよ……

 まぁ、確かにこの屋敷って綺麗してるけど、華やかさがほとんど無かった状況を直に見てしまっているから、そんな事思うのも今更なんだろうけど。


「だったら今まで通り、屋敷の管理は使用人さん達に任せたらいいのでは?」

「その結果がどうなったのかは、お前が見た通りの結果よ。

 そもそもお前はその状況を見かねたから、この屋敷を変えようと色々動き出したたんじゃないのかしら?」

「そうですね!」ってハッキリ答えたい気分だったけど、さきほど下手な言動は己の命を捨てる事に繋がると学んだばかりだし、だからと言って「使用人の皆が嘆いてましたよ?」なんて言う訳にもいかないので、こうゆう時は「ハハハ……」とスマイルで誤魔化すに限るよね!

 ほら、俺の爽やかスマイルを見ればエステラ様だって全く気にしてる様子を見せていない……ハズ?

 ごめんなさい、嘘です。あのエステラ様の顔は「全て察してるぞ! この阿呆め☆」って顔ですね、ハイ


「ココに来る前に、私もお前のアイディアを元に改装を始めた庭園に目を通してきたけど、内装同様悪くなかったわ。

 いえ、むしろコストを掛けないであれだけの事をやってのけたとなると、十二分と言えるの成果を出している、と言っていいぐらいね」

 おお!これは意外。まさか庭園までそれなりの評価を頂けるなんてね。

 エステラ様の好みを重視して色々と設計と提案はしてみたものの、当人からのじゃなくて第三者からの意見を元にした設計だったから、受け入れられるのは良くて全体の半分でも評価をもらえたらいい方だろう、と思っていただったけど、思った以上に屋敷の手入れが評価されたのは素直に嬉しいね。

 そして当主直々に、お褒めにの言葉を頂いたとなれば、使用人の皆と頑張った事が報われた感も半端ないから、後で祝勝会でもあげたいぐらいだね。


「それにお前に『屋敷の管理を任せてみてはどうか?』と進言してきたのは、ミゲル、ローラ、シエロの3人よ」

「え! そうなんですか?」

「ええ。

 たったの3週間で、この屋敷の主要部門統括者とも言える3人から、それなりに認められる成果を上げた人間なんて始めてじゃないかしら?

 自分で言うのも何だけど、この屋敷に住んでる人間って、基本自分にも他人にも厳しい目を向けるタイプの人間が多いから、中々新入りって認められないのよ。

 そんな中、使用人達に短い期間で認められた実績を生んだお前になら、屋敷の総合管理を任せてもいい、と私も思ったわ。

 私、口だけの人間は大嫌いだけど、ちゃんと実績を残せる人間であれば、それなりに信頼に値すると人間だと思っているわよ?」

「そう言ってもらえるのは嬉しいことなんですけどね……」

 エステラ様にまで自分の仕事を評価された事は、素直に嬉しく思うんだけどね。

 だけど本格的に【この屋敷を管理しろ】と言われたとなると、昨日までやってた”リフォーム”作業とは話が全く違ってくるんだよな。

 期待されるのは嬉しいけど、その期待値が自分の思っている以上に大きいと思うと、承諾の返事をどうも簡単には出せないだよね。

 

「それとお前は、私と離婚が成立した後の事はどう考えているの?」

「とりあえず貰った報酬で小さな店でも開いて、ほそぼそと商売でもやってみようかと考えてます」

「もしかして、以前住んでいたエンクエントロに戻って、何か始めようとでも思ってる訳?」

「はい。離婚成功の報酬で何とかなるなら、ナルバエス侯爵家が母さんの痕跡を可能な限り消すために買い取った後に、跡形もなく潰されてしまった母さんの洋裁店を、俺が復活させてみようかと考えています」

「そうなの。でも残念な話だけど、恐らくその土地は既に他の誰かの手に渡っているだろうし、今エンクエントロはお前が住んでいた頃より栄えているから、物価も上昇しているわ。

 それにその土地に別の建物が既に立てられている可能性がある事を考えたら、金貨40枚程度でお前の野望を実現するというのは、少し難しいかもしれないわね」

「そうですか……」

 どうやら俺がエンクエントロから離れて10年近く立てば、当時と状況も大きく変わってしまっているようだね。

 だからと言って元々母さんの洋裁店があったあの場所で、再び母さんの洋裁店を復活させる夢を諦める気にはなれないんだよね。

 まぁ、そこはここから出た時に別の仕事を探して、ボチボチ稼いでいくしかないかな。


「屋敷の総合管理を引き受けてくれたら、離婚成立とは別で報酬を出すわよ。

 そうね……毎月金貨3枚。と言った所かしら」

「金貨3枚ですか! ちょっと待遇良すぎじゃありません?」

「そうかしら? フローレンス辺境伯に関する業務に携わると考えれば、月の報酬が金貨3枚でも安いと思うのだけど、お前が罰を望んでいる以上相場の金額より下げてはいるわ」

 コレで相場より少ない?いやいや、金貨3枚を2年だから24カ月貰ったとなると金貨72枚。

 それに離婚成立時の報酬金貨40枚を合わせたら金貨112枚....…これだけあれば帝都の一流の立地に家を建てても、下手したら余裕で死ぬまで生活できるレベルの資金になるんじゃないのか?

 

「それにお前、貴族の生活に興味ないでしょ?」

「ありませんね。正直身ニコラスの代わりで結婚していなかったら、貴族の方とは結婚したいとすら思わなかったので」

「目の前に書類上の妻が居るというのに、随分な言いぐさね!」

「そこはハッキリさせておいた方がいいかと思いまして」

 エステラ様だって『結婚するつもりはなかった』ってハッキリこの耳で聞いてるから、そこはハッキリ言わせてもらいますよ。


「それもそうね。その件に関しては、私も『結婚に興味すら持っていなかった』って公言しているし。

 話を戻すけど、貴族として生きるのは嫌だとしても、貴族に雇われて生活する分には、貴族の生活を強いられる事もないわよ。

 それに安定した収入も約束されるし、お前は自分の野望を達成する為の資金も調達出来る。

 もっとも離婚が成立する二年間の間だけは、形式上フローレス辺境伯夫君として生活してもらわないといけないけど、だからと言って夫君として生活する間に、お前が社交に出る必要は一切ない事を約束するわ。

 そう考えたら、お前にとってもこの条件、悪くない条件だと思わない?」


 確かにエステラ様の言う通り、俺とエステラ様の間でもう婚姻が成立してしまっている以上、離婚が成立するまでは、どうしても辺境伯夫君の肩書は付いて回るんだよね。

 だからどうごねようが、俺はその役割から逃げようがないのは確かなんだけど、社交に出なくていいなら、俺の生活は今と大差なさそうだし、今の所フローレス家の敷地内に関しては、特に不満を感じていないんだよね。

 これも10年近くナルバエス侯爵家で使用人同然の仕事を熟し続けた結果だと思うと、侯爵家で得た経験も意外と役に立つ時があるもんだね。


 それに俺からすれば離婚後破格過ぎる報酬が手元に入るって考えたら、エステラ様の提案って案外悪くない所か、破格の待遇な気がしてきた。

 俺が離婚してフローレス家から出て行った事まで考えてくれるなんて、ホント俺は一生エステラ様に頭が上がんない状況がますます完成されている気がするね。

 この借りを返そうと思ったら、少なくとも離婚までは、今まで以上に誠心誠意働くしかないや。


「分かりました。とりえずその方向で今後もこの家で頑張らさせて頂きます」

「前向きに検討してくれてありがとう。

 じゃあ、新たに屋敷の総合管理を一任する事を契約を追加ね。

 これから屋敷の事をお前によろしくお願いする以上、良い働きを期待しているわ」

 こうして俺とエステラ様は離婚後の契約を新たに結び直した俺とエステラ様は、2度目の契約成立の握手を交わした。

 まぁ、結び直した言ってもまだ正式な書面で結んだ訳ではないので、以前書面で結んだ契約内容に変更はないし、やってみてやっぱりこの屋敷の管理何て大それた事無理だと思ったなら、「やっぱり俺には荷が重かったです」って言って止めればいいだけだよね。


 そして契約成立の握手をエステラ様と交わした際、その様子を遠巻きに見ていたミゲルさんとローラさんの表情が一瞬緩んだように見えたのは気のせいでしょうかね?

 まぁ、色々と不安な事もあるけど、先の事なんて考えたって誰にも分かんないんだから、今は無事に当面の目標である「問題なく離婚が成立するための結婚生活を続ける」というミッションを、無事完遂する事に、俺は全力を尽くすだけなんだけどさ。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


そして新たにブクマ登録してくれた方ありがとうございました。


牛歩のように遅い展開かもしれませんが、次回から少しずつ二人の関係は進展をみせ始める

ハズですw

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