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喧嘩の原因は私?

「それなら両方しない?」

メリッサの提案を聞いてみんなワクワクした顔で頷く。

「じゃあ、みんなで手分けしよう。その前に、これをみんなに渡すわ」

ミランダと2人で紙袋の中を開いて、中のエプロンを見せる。


「すごく素敵!」

「エプロンじゃなくてドレスみたい!」

「触ってみてよ。すごく肌触りがいいわ」

みんな大興奮だ。

使用人用の制服専門店の品物だけあって、いい生地で出来ている上に上品だ。

しかも、この淡いグリーンのエプロンをみんなでつけてみたが、すごく華やかだ。

隣のブースである詩の朗読クラブの子達が、「かわいい」とか、「羨ましいわ」と声をかけてくれる。


そこにオーランドがやってきた。

「おはよう、みんなお揃いの……ドレス?」

「エプロンよ」

ジュリーを見てオーランドは驚いたようだ。

「ジュリー、よかったね!数日前に入ったのに、エプロンをもらえたんだね。みんな、妹にも優しくしてくれてありがとう」

オーランドの言葉に、私達は口々に「当然よ」とか、「気にしないで」などと答えた。

「じゃあ、準備を手伝うよ。僕は、机を運ぶね」

「ありがとう!私も机を運ぶわ」

アンナはオーランドに気があるせいか、力仕事を一緒にしてくれるみたい。


そのとき、ナサニエルが大きな荷物を持ってやってきた。

毎年、アーネスト伯父さんの雑貨屋で材料を購入してくれるクラブの配達に来たようだ。

それから私達の所にやってきた。

「やあ、明日のチャリティーDAYの出し物は決まったの?」

ナサニエルが質問をした。

「ええ決まったわ。レモネードスタンドと、布のブローチにしようかと思って。材料にあてがあるんでしょ?リーザ?」

メリッサから、突然話を振られて困りうろたえてしまった。

どう返事をしよう?

さっき、そんな事考えてなかった!!

「布は、端切れを大量にもらったんだよね?確か……ミランダが倉庫に片付けていたよ。それに、レモネードの素は、賞味期限が切れそうなものがアーネストさんの倉庫にあって、それを寄付してもらえるんだよね?」

ナサニエルが私の代わりに返事をしてくれた。


「ええそうなの」

それに乗っかるように、慌てて返事をする。

「今から倉庫に撮りに来るかい?でも、重いから僕が今から取ってくるよ」

ナサニエルがそう言って、馬車に戻って行った。


よかった。

なんとかなりそう。

ちょうどその時、机を取りに行ったオーランドとアンナが戻ってきた。

いつの間にかジュリーも手伝っている。

3人で飾り付けの物や、机を持ってきてくれたので、早速、レモネードスタンドのポップを書いたり、絵を描いたりみんなで手分けをして準備を始めた。

みんなで、話し合いながら準備をしていくのは楽しくて、声を上げて笑っていた時だった。


「あら、そこにいるのは、会計クラブの方々じゃない!」

その声で顔を上げると、そこにいたのはヘイリー達、セクシー女子達だった。


「素敵なワンピースかと思いきや、エプロンでボロいドレスを隠しているのね。可愛いエプロンなのに……フフフ……エプロンが可哀想。あなた達に選ばれて。私達の方が似合うから、それ、買うわ。おいくら?」

「これは売らないわよ!」

メリッサが強い口調で反論する。

「あら!不細工が可愛らしい格好をしていても、誰も誉めてはくれないわよ!顔だけじゃなく、所作も不細工だから。メリッサの大きなお尻は余計目立つし、双子のハンナとアンナのガリガリ具合も強調されているわ」


「人の体型なんて関係ないじゃない」

私は言い返すが、ヘイリーに、なんて言い返したらダメージを与えられるか想像がつかない。

ヘイリーは、ぽってりとしたセクシーな唇に大きな胸、細いウエストをしていて、甘いようないい匂いの香水の香りがする。

今日は、ヘイリーの取り巻き達を含め、全員が胸の谷間が強調された、サーモンピンクのドレスを着ていて、みんなセクシーだ。

「あなた達、どんなに着飾っても、笑顔は引き攣ってて、態度はオドオドしていて、全く魅力的じゃないのよ。エプロンが可哀想」

ヘイリーの言葉で取り巻き達がクスクスと笑う。


「やっやめなよ。ひっ人の文句を言うのは」

オーランドがなんとか止めに入ろうとする。

「あら!オーランド。あんた、私に文句でもあるの?あんたが住んでいる地区一帯はお父様の持ち物なのよ。私に楯突くならどうなるかわかっているかしら?」

ヘイリーの言葉に、私は更に火がつく。

「横暴だわ!」

そう反論すると、またこちらを向いた。

「ブスが寄せ集まっても、相乗効果は生まれないわね。可哀想に」


「ヘイリー、そこまでにしておけよ」

その声の方を向くとダレルがいた。

「ダレル!私達がここにいる事によく気がついたわね」

ヘイリーの声がトゲトゲしい。

「…たまたま通りかかったんだよ。第一、そのピンクのドレスはどこにいても目立つだろう?」

「通りかかる用事なんてないじゃない?私達のブースはここから見えないんだから。知っているのよ?さっきからずっとリーザの事を目で追っていたでしょ?」

「ちがうよ!俺はシドを探していたんだ!」

「あら。シドなら今日はお休みよ。それ、さっき貴方に伝えたわよね?」


2人の口喧嘩がだんだん大きな声になっていく。

なんで喧嘩しているのだろうか?

「リーザが幼馴染だからって、気にかけすぎなのよ!この子を気にしている暇があったら、来月の王立学園の入試の勉強でもしたらどうなのよ!」

なんだか私の名前が出てきた。

つい今しがたまで感じていたヘイリーへの怒りより、気まずい気持ちの方が強くなってきた。

「ヘイリー。みんなで王立学園の勉強会を開いているのは知っているし、家の手伝いが忙しくて、なかなか参加できないから俺だけ遅れをとっているのも確かだ。君が勉強を頑張っていて、最近ストレスが溜まっているのもわかっている。君のストレス発散に付き合えていないのも申し訳ないけど、リーザは関係ない」

2人の口論は尚も続き、ヒートアップしていく。

私達はどうしたらいいかわからない。 


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