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ミランダの買い物

投稿に時間がかかり、申し訳ありませんでした

気がつくと、蚤の市が終わりの時間に近づいてきた。

露店の片付けがあるからというアーネスト伯父さんとナサニエルと別れ、ウインドウショッピングをしながら馬車へと向かう。

途中、父さんにおねだりしてフルーツジュースを買ってもらう。


そこは目の前で作ってくれるところで、ミランダは驚いていた。

「ジュースってフルーツを絞るのですね!初めて知りましたわ!それにお仕事って楽しいですわね」

無邪気に笑うと、すぐに他の物に興味が移ったようで、隣にある露店を見た。


「まぁ!これって?」

隣のお店は化粧品が売っている。

しかも、手書きの値札は朝からの販売価格よりも大幅に値引きされているのが目に入ってきた。


その値札につられて、女の子達が近づいてくるが、すぐに他所に行ってしまう。

それは大きな街で売れなかった売れ残りを売っているお店で、色が微妙なものばかり扱っていた。

だから誰も手に取らないんだわ。


売っているのは不用品回収業のロブだ。

綺麗な容器に入っているが、中身は黄色のチークや、真っ青なパウダー。それに黒い口紅など、誰も買わない物ばかり。


もう蚤の市が終わりに近づいている。にもかかわらず、値引きをしているのに誰も買わない。


「綺麗な容器ですわね」

ミランダがロブに話しかける。

「お嬢さん、もしよかったら何か買って行かないか?安くするよ?」

「ええ。検討しますわ」

そう言って露店の中に入っていくので父さんと2人でミランダの後を追った。


すると、そこには赤や青のブーツ。普通は、黒か茶色よね。

それから、不思議な飾りがついた帽子など、誰が買うかわからない物が並んでいた。


きっとなんとか我慢して使えると判断できるような、『ちょっと残念だけど安いなら我慢するわ』という品物は売れたんだろう。

後に残っているのは奇抜なものばかりだった。


「やあロブ」

「アーサー!久しぶりだな。リーザもいるのか。じゃあこちらのお嬢さんは?」

「親戚の子だよ。当面預かる事になったんだ。子供達は君の店に興味津々のようだ。私はその間に馬車を停車場に持ってくるよ」

そう言って父さんは先に行ってしまった。

でも、ミランダは露店を楽しそうに見ている。


「もう閉店の時間ですわね。もう片付けてしまわれるのですか?」

「ああ。片付けるよ。君はアーサーの親戚だからこっそり教えるが、一部は捨てるよ。大きな街の蚤の市から順番に商売をしながらこの街に戻ってきたんだがね。ここまで来て売れ残った物の一部は捨てて、また買い出しに大きな街に行くのさ」


「そうなんですね。では、リーザ。私は、あと、どれくらいお買い物ができるかしら?欲しいものがございますの」

その話口調を聞いて、ロブは笑った。


「面白い話し方のお嬢さんだ。じゃあ、古い知り合いのアーサーの姪っ子だからね。おじさんが特別大サービス。この籠に好きなものを、どれだけでも詰めていいよ。代金は、そうだな、ジュース一杯分でどうかな?」

「ええ。それでよろしくてよ。交渉成立ですわ」


ミランダは籠を受け取ると、そこに並んでいる奇抜な靴やコート、帽子などを次々と入れていった。それから不思議な色の化粧品も全種類入れると、満足したように笑った。


「こちらでお願いしますわ」

溢れんばかりになっている籠を見て、ロブは驚く。

「沢山詰めたね、しかもかなり派手な物ばかり」

「わたくし、派手好きですの」 


「ハハハハ!じゃあ約束通りでいいよ」

ロブさんはお金を受け取ると笑った。

「またなお嬢さん」


ロブの店を後にする。

あまりにもその籠が重そうなので、ミランダと2人で運んでいた時だった。


「あら、また会いましたわね、リーザさん。まぁ!センスが感じられない大量の荷物をお持ちね。それは……粗大ゴミ?重くて大変ではないかしら?誰かに手伝ってもらっては?」

ヘイリーとダレルに出会ってしまった。

しかもヘイリーから嫌味なのか、本気で私達を心配しているのか分からないことを言われている。


「リーザ。こちらの方はどなたかしら?」

ミランダは背筋を伸ばして立つとヘイリーを見た。

その姿は、私の古着とボロボロの靴でも、高貴さが感じられる。それって正体を知っているからかな?


「えっと、ヘイリーとダレルよ」

そう紹介してから2人を見た。

「こちらはミランダ。従姉妹なの」


「従姉妹?という事は、貴女の家族も牧場主?」

「そうですわ」

堂々と答えた!

身分を偽っているつもりかもしれないけど、なんだか嘘くさい。


「なのに、その話し方?貴族のつもりなの?フフフ。貴女達みたいな小さくて貧乏な牧場主の家族では、貴族になるのは難しいわね。ダレルの牧場みたいに、競走馬の飼育に力を入れていて、毎年のように表彰されていれば、いつか貴族になれるでしょうけど」


「それは言い過ぎだよ。向こうに行こう」

ダレルはそれを聞いて、優しく制止して、違う場所に連れて行こうとする。

父さんの牧場を馬鹿にするのは許せないけど、私と王女様を一括りにするのもなんだか違和感があって、うまく反論できない。


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