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父さんが持ってきた箱には…?

ダレルが帰った後、父さんが帰って来た。

「アーネスト、手伝って」

「わかりましたよ」

馬車から沢山の荷物を下ろし、リビングに運び込む。


いつもなら手伝えと言われるのに、今日は何も言われない。

荷物を下ろし終えると馬を片付けに行った。

いつもよりすごい量だ。

「リーザ。触ってはいけませんよ」

なんでかわからないが、言われた通り荷物には触らなかった。


「今から声を出してはいけないよ」

何故そんな事を言われるのかわからないが、頷いた。


それを見た父さんはリビングの鍵を閉めると、ソファーの下に手を入れる。


すると、リビングの真ん中だけが何故か下に動き出した!

どうなっているの?父さんの背丈まで下に動いた後、どこから出て来たのか天板を閉めた。


これって地下室?

ウチにこんな仕掛けがあったなんて!

ワクワクする気持ちを抑えて、次に何が起こるのかを待つ。


蝋燭の火がついて、中が見えるようになった。

そこは単なる地下室だ……と思ったが違った。

壁一面には、弓、剣など、多種多様なサイズのありとあらゆる武器が整然と並んでいる!


周りを見回している間に、父さんとアーネスト伯父さんは、木箱をゆっくりと開けた。


「大変窮屈な思いをさせて申し訳ありません」

まるで騎士のように片膝をついて父さんが木箱に向かって礼をした。アーネスト伯父さんも同じように膝をついて礼をしている。

すると、木箱から手が見えた。

びっくりして声を出さないように口を押さえる。


箱の中で立ち上がったのは、私と同じ年くらいの女の子だった。

「ありがとう、アーサー」

父さんを呼び捨てした女の子は、光沢のある絹のドレスを纏い、木箱に入っていたはずなのに綺麗に結われた髪は乱れひとつない。

きっと身分の高い人なんだろうけど、なんか釈然としない。

ブスッとした顔の私を皆無視して、父と伯父さんは立ち上がり、女の子が箱から出るのを手伝った。


「アーサーに今回、貴方に受けた恩は一生心に刻みます。ところで、これから私はどこで過ごせばいいのかしら?」

お高くとまった女の子の言葉に父さんと伯父さんは何も言わずにっこりと笑うばかりだ。


何なのかしらこの子!

女の子の態度に怒りが沸々と湧いてくるが、そんな私の様子に誰も気が付かない。


「王女殿下。こちらは我が娘、リーザでございます」

突然、私が呼ばれた。

この同じ年くらいの女の子は王女様なの?


「こちらはフランカ王国のミランダ王女殿下でするよ」

アーネスト伯父さんに紹介されてびっくりする。

王女様?何のことか頭が混乱してどうしていいかわからない。


「まあ!という事は、しばらくの間、私の侍女をしてくれるのね」

何を言っているの?

侍女?

私、今からそんな事しなきゃいけないの?

聞いてないわ!


そもそも、なぜ他国の王女様が我が家にいるのか検討がつかない。


そんな私の様子に気がついた父さんがこちらを向いた。


「リーザ、昨日、フランカ王国でクーデターが起きた。主犯は宰相だ。王城の中で起きた出来事だから、一般市民は知らない。私は、王女殿下が国外に出るために手助けに行ったんだ」

想像だにしない事だった。


「何で父さんが他国の王女様を助けないといけないの?父さんはただの牧場主でしょ?」

すると、王女様が驚いた顔をしている。


「まあ!家族なのにお仕事は知らないのですか?」

何で『貴方より私の方が知ってますよ』と言わんばかりの口調で我が家の事を問いただされなきゃいけないの?


「知ってるわよ。父さんは牧場を買って、そこから牧場主として働いているのよ」

我が家はただの平民。しかも、由緒ある牧場とかそんなのですらない。


「本当に何もご存じないのですね?プロテクトプロのアーサーって、世界中で有名ですのよ。ただし、本物に会ったことがある人はごくわずかですが」


私の動きが止まる。

なにそれ?

あまりに驚きすぎて父さんと伯父さんを交互に見る。


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