勃起不全と新手の親父
私は東明。
博士として沢山の便利な薬を研究してきた。
例えばこれなんかどうだ?私は親父にそう言って、薬を見せた。
へぇ、博士!それはどんな薬なんです?
これは博士になれる薬さ。
ほほう!そんな薬があったなんて! 親父は驚いていた。
あんたの店にはこういう本物は置いてないのか?いや、うちの薬は全て本物ですよ。
じゃあ、私の薬は偽物なのか?
いや、そんなことはないと思ってますよ!
だったら、この薬を1万円で買ってくれないか?
うーむ、困りましたねぇ……。
あなたの店ではこういう薬は需要がないのか?
はい、そういうわけです。何しろ副作用がありそうですからね。
そうか、分かった。じゃあ、もういい。
****
俺は東明。
親父を名乗る男に薬を売ってみたが断られた。
しかし、親父の店で扱っていないだけで、他の親父なら買い取ってくれる可能性は十分にある。
だったら、他の薬局も試してみよう。
俺は別の薬局の扉を開いた。
こんにちは。今日は何をお探しで? 俺が懐から取り出したのはカラスウリ。
お客さん、それを飲むのかい?
いや、これは違う。
じゃあ、何を? これは透明になる薬だ。
透明な薬だって!? そんなものが作れるはずないだろう!
ところが作れたんだよ。信じられるか?
まあいい。それで何か用か?
ここにある全ての薬を売ってくれないか?
おいおい、いくらなんでもそりゃ無理ってもんですよ。
じゃあ、どれでもいいから安くしてくれ。
仕方がねえなぁ。少しだけだぞ。
やったぜ! 親父の態度が一変した。
***
私は博士。
親父との交渉の結果、薬を手に入れた。
しかし、それはただの勃起薬ではなかったのだ。
それは透明になる薬だったのだ。
私の名前は東明。
私の勃起薬はトウメインではなかったのだ!
ウメインではないのに、トウメインはトウメインである。
勃起薬は万能薬なのだ。
しかし、本当にそうだろうか? 本当にそうだろうか?
そう言えば妻に意見を聞いてなかったな。
ちょっと!聞きたいんだけど!
あら、どうしたの?
私ってさ、いつの間にか勃起しなくなったんだよね。
え?勃起?
うん、勃起。
どうして?
どうしてだ?どうしてだろ?
分からない。でも、あなたは勃起しない方が可愛いわ。
ありがとう。
ところで最近、夫の様子がおかしいの。
勃起の話?
そうじゃないの。夫はトウメインを飲んでいるの。
トウメイン? トウメインは勃起する薬。
へぇー。