トウメインよ、もう一度
私の名前は東明。
はっきり言ってぶっちぎりの天才だ。
そんな天才なわけだから私は透明人間になれる薬を開発することができたわけだ。
その名もトウメイン!
何、君たちもトウメインが欲しいって?うむ、その気持ちよくわかるぞ。
私だって、逆の立場ならそうだからな!しかし私は違った、無ければ作る、それが私のポリシーなのである!
…すまん。ここからは聞かなかったことにして欲しいが、トウメインの偶然生まれたのだ!
私もどうやって作ったのか皆目見当がつかない。私はこのトウメインを一度の偶然で終わらせたくないのだ。
これはトウメインの製造法を追い求める私の物語である……。
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私の名前は東明。
博士だ。私は今日も研究をしている。だが、最近の研究には行き詰まっている。
というのも、私がトウメインを発明した時は本当に偶然だったからだ。
本来、私が作ろうとしていたのは、イボジンという人為的にいぼ痔を生み出す成分だった。
そして、たまたまイボジンを作ろうとしていた時に、偶然トウメインが完成したのだ。
だが、これ以降トウメインを偶然に生み出す事はできなかった。
なぜなら、イボジンを作るために使った素材や道具などは全て破棄してしまったからである。
そもそもイボジンはいぼ痔用の軟膏を作っている製薬会社の依頼で開発したものだ。
依頼を聞いた時は「くだらねー」と思ったものの、依頼元は世界的な大企業だ。
しかも、その企業は私の研究を高く評価しており、
今回のイボジンの開発によって、さらに評価が上がることは間違いなかった。
しかし、どういう偶然かトウメインが出来てしまった。
もはやイボジンも大企業もどうでもいい、私にとって重要なのはこのトウメインだ。
なんとしてでも製造法を解明してやる。
実験は何度も失敗した、あれ以来、いぼ痔の数は七つに増えた。
取りあえず自分の体で試すのはもうやめよう。私はそう思った。
そして、トウメインの謎は解けない。やはり偶然できたものなのか……?
私は途方に暮れた。