十八年前の婚約破棄を引きずっている、ヘタレな私
新作を投稿します。
十八年前の婚約破棄を未だに引きずっている、ヘタレな女性の話です。
「アヤメ、偽聖女の貴様とは婚約破棄する。そして国外追放とする」
「はぁ、またあの時の夢か」
私は元聖女のアヤメ。
十八年前に婚約者のバンク王子に婚約破棄を言い渡されて、国外追放となった三十六歳のオバサンだ。
現在は隣国に帰化して、辺境の村で、子供達に魔法を教えている。
「アヤメ先生、おはようございます」
「先生、おはよう」
「カガリ、ホムラ、おはよう」
カガリとホムラは姉弟で、両親が流行り病により、病死してしまい、私と一緒に暮らしている。
カガリは地属性と水属性の魔法が得意な可愛い少女で、将来の夢は母親のような女性になる事だ。
ホムラは火属性と風属性の魔法が得意な生意気な少年で、将来の夢は冒険者になる事だ。
私は婚約破棄されてから、夢が無いので、とても羨ましい。
「私と結婚して欲しい」
いきなり村長のコネルさんからプロポーズされた。
彼は四十二歳の働き盛りで、息子さんが結婚して、独立するので、私との結婚を決心したそうだ。
「少し考えさせて下さい」
返事は暫く保留させてもらった。
「どうしよう」
私は未だに十八年前の婚約破棄を引きずっているので、結婚には躊躇してしまう。
「アヤメ、久し振りだな」
「バンク殿下?」
突然バンク王子が兵士達を引き連れて、訪ねてきた。
「何の用ですか」
「婚約者が訪ねてきたのに、ずいぶん冷たいじゃないか」
「何を言っているんです。十八年前に貴方の方から婚約破棄をしたのを、お忘れになったのですか」
「実は我が国では聖女が不在で、とても困っている。それでアヤメに戻って欲しいんだ」
「お断りします。私を偽聖女と断定したのは、貴方ですよ」
速攻で頼みを拒否した。
「王子である私の頼みなんだぞ。我が国の民として、従う義務がある」
「私は既に帰化しています。貴方の国の民ではありませんので、従う義務などありません」
「仕方ない。無理にでも連れ帰る。お前達、アヤメを捕縛しろ」
「何をするんですか。離して下さい」
バンク王子が兵士達に命じて、私を無理やり連れ帰ろうとした。
「アヤメ先生を離して下さい」
「先生から離れろ」
「カガリ、ホムラ」
カガリとホムラが私を助けようと、乱入した。
「邪魔をするな」
「きゃあ」
「うわぁ」
しかしバンク王子が二人を殴り付けた。
「何の騒ぎだ」
「アヤメ先生、どうしたのですか」
「何があったのですか」
「アヤメ先生、この男は誰なんです」
「お前、アヤメ先生達に何をした」
騒ぎを聞き付けて、コネルさんと近所の人達が駆け付けてくれた。
「助けて下さい。この男が私を拉致しようとするんです」
「何だと」
「アヤメ先生を拉致しようとしただと」
「この野郎、ふざけるな」
「お前、どういうつもりだ」
「事と次第によっては、許さないぞ」
皆がバンク王子を取り囲み、問い詰めた。
「貴様達、私は隣国の王子だぞ。不敬罪で処罰されたいか」
「隣国の王子だと」
「それがどうした」
「俺達には関係無い」
「この不埒者」
「さっさと帰れ」
「畜生。このままでは済まさないぞ」
バンク王子は不利なのを悟って、兵士と共に引き上げた。
「アヤメ先生、事情を話してくれませんか」
「‥‥‥実は私は十八年前まで、隣国で聖女を務めていました。そしてあの男と婚約していました。しかし突然に偽聖女の汚名を着せられて、国外追放されたのです。それなのに隣国で聖女が不在だからと、私を無理やりに連れ帰ろうとしたのです」
暫く躊躇いましたが、コネルさんに全ての事情を話しました。
「事情は分かりました。しかしアヤメ先生が隣国の聖女だったとは驚きました」
「今まで黙っていて、すみませんでした」
「取り敢えず領主様に相談して、助けを求めましょう」
「ご迷惑になりませんか」
「領主様は優しいお方ですから、大丈夫です」
こうして領主様に助けを求める事になった。
「事情は分かった。しかし私の手に余る問題だな。国王陛下の指示を仰ぐ必要がある」
更に国王陛下の指示を仰ぐ事になった。
段々と大事になっていくので、不安に襲われた。
「隣国の聖女が我が国に帰化していたとは、思わなかった」
何故か国王陛下に謁見する事になってしまった。
「事情は把握しておる。余に任せておくが良い」
「宜しくお願い致します」
国王陛下にお礼を述べた。
「隣国から使者が来訪した。バンク王子がそなたにした狼藉に対しての謝罪の為だ」
隣国から謝罪の使者が来訪して、私の問題は解決した。
バンク王子は王籍を剥奪されて、牢獄に入れられたそうだ。
「ふつつか者ですが、宜しくお願いします」
私はコネルさんのプロポーズを受けた。
読んでもらえれば嬉しいです。




