- 序章 -
ここは、ルーズベルクという異世界・・・
オレ「柳川遥翔」は高校を卒業したばかりの18歳の春、大学の入学式に向かう途中、交通事故で死亡し、異世界転生の定番をえて、「ルーズベルク」という異世界に転生した。
転生の際に、職業「賢者」という、どんな魔法でも使えるある意味チート職業を手にいれて、ホルミナル王国の召喚士によって、召喚された形となり、これまた定番の「魔王の討伐」を命じられた。
現世では、友達もおらず、人付き合いが苦手だったが、この世界では、イケメンの「勇者ラクル」、ちょっとおっとりした「治癒師ミーファ(女性)」、ザ・体育会系の「聖騎士ミランダ(女性)」、エルフ族の「召喚術師マール(女性)」という、なんとも典型的な仲間もでき、そして今、ラスボスの魔王の前に立った。
「ん?魔王は、、、女なのか?」
艶やかな容姿に、真っ白な髪、可愛いツノと、大きな羽。
魔王というより、サキュバスのような・・・。いやいや魅了されている場合ではない。
「魔王ハルナート!戦いをやめて人間と共にくらさないか?」
ラクルが問いかける。相変わらず優しずぎる。。。これまでも、戦う前に必ず問いかけ、必ず失敗に終わっている。多分、今回もそうだ・・・
「勇者よ。お前はバカなのか?そうなのか?まぁいい。」
「来るが良い!しかしなぁ〜私が倒されれば、お前ら全員異世界に転生されるようになっているから覚悟しておけ。」
・・・嫌だ。。。それはそれで実に嫌だ。やっとこの世界になれて色々な仲間ができたのに、またゼロからやり直しなんて嫌すぎる。
「わかった。仕方ない。それでは倒すほかない!魔王ハルナート!覚悟!」
ちょっと待て、という間もなく、ラクルの一声を皮切りに、一斉に攻撃を仕掛け、死闘を繰り広げた。
・・・
「いけ!ハルト!」
「これで最後だ! 究極覚醒魔法 クリムゾンバースト!」
オレが最後に放った魔法が決め手となり、倒すことに成功した。
「ふっ、これで最後だとは思うなよ・・・」
魔王ハルナートは最後の言葉を残し、パラパラと消えていった。
「みんな、やったぞ!これで、世界が平和になる!」
ラクルは心の底から喜び、仲間達と分かち合う。
「やったわ・・・」
ミーファは、体の力が抜けたように呟き、
「これで恩賞もらって自由に暮らせる」
ミランダらしいといえば、らしいが、これでも聖騎士なんだろ。
「私の役目もこれで終わりですね。。。」
マールは、何かを悟ったような言い方をする。
確かに、これで終わったのだ、あとはホルミナル王国に帰るだけだな。
転生してから、12年かぁ〜。オレはこれから何しようかな。。。
と思いつつ、その辺にあった、金銀財宝を異空庫へ入れ帰路に着いたのだった。
それから、ホルミナル王国に戻ったオレたちは、大いに歓迎され祝賀会が開催された。
「勇者様とその御一行が来場されます!」
と、その声と共に、オレたちは王への謁見をおこなった。
「勇者ラクルとその仲間たちよ!よくぞ魔王を倒してくれた!各々、望むものを褒美として与えよう!順番に言うが良い!」
国王ハルミルトン王がそう言うと、勇者ラクルから順番に申し出た。
「私は、王国内にいる、身寄りのない子供たちが安心して暮らせる施設の建設と運営と望みます!それだけで構いません!」
相変わらず、勇者らしい模範解答だ。。。少し困惑しつつも、国王は了承する。
次は、ミーファの番だ。
「私の生まれ故郷には教会がありません。できれば教会を建てていただきたく思います。」
これも優しいミーファらしい。これも国王は了承した。
次はオレだ。
「国王陛下、私は、、、、」
褒美を伝えようとした次の瞬間!オレを含む仲間たちの足元に召喚陣が輝き始めた。
「ん?なんだ?!」
そう思った次の瞬間、パーっと辺りが真っ白になった。
・・・・・
10秒くらいたったころ視界がだんだん溶け始めた・・・
しかし、そこは王の間ではなく、そこには鏡に映る見知らぬ男性の顔があった・・・