33.章完
今回は少し短いです。
「アルは英雄だ! すごい!」
「長年世界を困らせていた盲目の薔薇を倒してしまうなんて!」
こんどは村ではなく、街の人々からも褒められた。
「いやぁ、たまたまですよ」
アルを取り囲む中には街の若い娘たちも含まれる。彼女たちから熱い視線が注がれているのは気のせいではないはずだ。しかしアルは気づかないふりをする。
「いやあ今回は大手柄だぞ? 国から報酬がでてもおかしくないくらいだ」
カイドがアルの手柄の大きさを正当に評価する。
「え、そんなに!?」
「ま、考えておくんだな」
アルにはまえまえから成し遂げたいことがあった。それが脳裏をよぎる。
「でもこんなことができるのはアルだけね」
ミュレットが言う。
「みんな褒めすぎだよ」
「さすが私の息子だわ。ま、直接産んだわけじゃないけど」
ミレーユがアルを抱きしめて言う。
「ちょ、みんなの前でやめてよ」
思わずアルは照れてしまう。ミレーユの過剰なスキンシップは、いまだに慣れない。
「あははははは」
そしてみんなで笑いあった。
◇
後日、ほんとうにアルに国から報酬がもたらされることになった。
「アル・バーナモントくん。国を長年悩ませてきた大災害、盲目の薔薇をよくぞ討ち取ってくれた。その年で君は英雄並みの活躍だぞ。家族のみなも誇りに思うだろう。なんでも好きなことを言いたまえ」
えらそうに髭をたくわえた役人が言う。報酬を与える権限を持つ立場からして、実際に偉いのだろう。
「そうですねぇ、僕の実家を取り戻すことはできますか?」
「よかろう。そのくらいお安い御用だ。でもそんなことでいいのかい? もっと酒池肉林とかそういうの、あるじゃろ」
アルの要求が思ってたよりも低いものだったから、役人は思わず面食らう。
「いいんです。これが僕の望みです」
◇
こうして、アルは実家を取り戻した。
実家の裏には母の墓が立っており、それはなんとしても死守したかったのだ。
「母さん……」
墓の前でアルは一人涙する。
もはや天涯孤独の身となってしまった。
だがアルは一人ではない。
「アルー! ごはんできたわよ!」
ミュレットとミレーユが呼んでいる。
「はぁい!」
屋敷には、彼女らも住むことになったのだ。
なにせ彼らはもはや正真正銘の家族なのだから。
アルは新しいバーナモント家を手に入れた。
そして物語はここから始まっていく――。
――第一部、完。
1章完結までお読みいただきありがとうございます。読者様みなさんのおかげです。沢山の応援をどうも!
物語第2部である「学園編」もすぐに始まりますのでどうぞ引き続きよろしくお願いします。
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もし少しでもそう思っていただければ、うれしいです。そして、まだの方はぜひ――
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