ずるいずるいといつも口癖の妹が私の婚約者である王太子殿下を前世の恋人で運命の人だから、お前が婚約者というのは間違いだ譲れと言い出したので、お望み通り譲ってやった姉の愚痴。
「私には運命の人がいるのですわ!」
これが私の妹の口癖の一つでした。
私は侯爵の長女、そして妹は次女。
妹は甘え上手で、いつも両親にほしいものをねだり、姉のものである私のものを欲しがり、取り上げました。
両親はお姉ちゃんだからあげなさいといつも言ったのです。
そんな彼女の口癖はずるいずるいと、そして運命の人がいるでした。
ばかばかしいと切り捨てるとまた怒り出すので、適当に合わせてました。
だけど、私が十五で王太子殿下の婚約者となったとき、一つ下の妹がこれに異議ありを唱えたのです。
「どうしたっていうのミリア?」
「彼が、彼が、王太子殿下が私の運命の人の生まれ変わりなのですわ!」
確か妹のミリアの妄想によると、前世ミリアは聖女であり、勇者が運命の人で、彼は魔王から聖女をかばって死んで、そして聖女は彼を生涯想い、独身を貫き、最後病気で死んだとかなんとか。
生まれ変わって幸せになろうねとか誓い合ったとか。
でもねえ、聖女様のお話なんてこの国の子供でも知ってまわよ。
三百年も前のおとぎ話ですわ。
聖女様の証拠の癒しの光の魔法もミリアは使えません。
どうして聖女様という妄想をするのでしょうかね? 憧れでしょうか。私と妹の属性は闇、正反対なのですわ。
なんて思ってましたが、その妄想を現実に当てはめるとは……。
でも私も王太子殿下のことはあまり好きではないというか、苦手な部類だったのですよねえ。
妹がしつこくずるいずるいいというので、仕方なしに私はこの妄想を殿下にお話ししてみました。
するとそんな妄想をする妹を持つ姉なんてややこしい人間と婚約は嫌だと言い出したのです。前世とか生まれ変わりとかいわれても、勇者様の自分が生まれ変わりなんて覚えてないと。
まあそうなりますわね。だってはっきり言って証拠もないですものねえ。
妄想話を聞かされても、殿下はあきれるばかりでしたもの。
私は殿下から婚約を破棄され、妹は勇者とやらの生まれ変わりの殿下に猛烈にアピールし。
ああ、妄想話を現実にするという頭がお花畑の子として、呆れられ、両親にも見捨てられ修道院送りになりました。
まあ聖女様が建てたという修道院だからよかったのではないでしょうか?
私は陛下のとりなしで、王族の一人と婚約し、それなりに幸せに暮らしました。
妄想お花畑の妹がどうなったのかはあえて知ろうとはしませんでした……。
いえ生まれ変わりが本当だとしてもですよ? 相手が思い出さない限り立証は無理ですわよ。
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