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全ては神の思し召し~神の使徒として転生してしまった俺の改善改革次第~  作者: 於田縫紀
第11章 学校仕事とその傍ら

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第55話 南部産業振興策

 皆で考えているとそのうち色々面白いものも出てくる。

「そう言えばその辺に咲いている白い花で、焚き火の中に入れると虫が死んだり近づかなくなったりするのって無かったっけ。この辺では見ないけれど」

 それってまさか除虫菊じゃないよな。

「大きい茶色い蛾がいるんだけれど、その蛹の繭が薄い緑色で綺麗でね。それから細い糸を取って遊んだりしたっけ。あれって一度茹でると糸が取りやすいんだよね」

 それって蚕とかヤママユガとかの仲間か。

 他にも色々出てきたけれど他には無くて俺が面白いと思ったのはその2つだった。


「どうやら校長先生が何かヒントを掴んだようなのですよ。皆さん意見ありがとうなのです。今聞いた事はちょっとの間秘密にして欲しいのです。ちょっと時間はかかるけれど面白い事になると思うのですよ」

 ここからはイザベルと相談だ。

「ところでうちの開発は当分やるなと言われているけれどさ。どうすればこの辺の産業化が出来ると思う?」

「別にうちの教団がやる必要は無いのですよ。他の処が産業化してくれればそれでいいのです」

 イザベルは自信ありげ。

 それでも俺は不安だ。


「南部にちゃんと利益を落として、かつ住民から搾取しないような相手。そんな都合がいい相手って教団以外にいるのか?」

「心当たりはあるのですよ」

 イザベルはこともなげに言う。

「だから使徒様がやるべきは今聞いたものをどうやれば産業化できるか、知識をまとめて私に教えてくれる事なのです。それだけしてくれればあとは自動的に色々話はすすむ筈なのです」


 どういう伝手があるのだろうか。

 わからないままに俺はイザベルに色々教える。

 蚊取り線香とはどういうものか。

 材料となる除虫菊の特徴と材料になる部位。

 おおまかな製造方法。

 蚊取り線香についてはそんな感じだ。

 ヤママユガの方はもう少し面倒。

 養蚕、それも天蚕関係の知識を色々詰め込んでやる。

 虫の特徴とか蚕棚とかから糸の紬ぎ方まで。

 ある程度は現状認識能力で虫の習性等知識を確認出来る。

 だからとにかく参考になりそうな事を色々書きまくる。 

 どうせイザベルがまとめてくれるだろう。

 俺のやる事は知識出しだ。


 俺やイザベルがその辺をまとめるのを何人かの生徒が見ている。

「凄い。何でそんな事まで校長先生が知っているんだろう」

「こう見えても校長先生は生命の神(セドナ)の使徒なので、私達が知らない知識を色々持っているのですよ」

「そういえば宇宙がただひとつの爆発からはじまった話、あれは面白かったよね」

「地面がゆっくり動いているとか地面のずっと下の方に液体の層がある話とかも聞いたよな」

 その辺はイザベルの無茶ぶりでビッグバン宇宙論とかプレートテクトニクスを説明させられた時の話だ。


「宗教の親玉の筈なのに何故か神とあまり関係無い話をするよね」

「その辺が使徒でもある校長先生の知識の奥深さなのですよ」

 そんな会話の中で色々書き連ねた紙をイザベルに渡す。

「だいたいこんなものだな。片方は便利な虫除け、もう片方は着心地のいい高級な布の製法だ。手間はかかるけれどな」

 イザベルはざっと読んで頷く。


「確かにこれは一大産業になる可能性が高いのです。布の方は色々面倒なのですがその分他の場所で真似しにくいのです。そんな訳で早速私もお手紙を書かせて貰うのですよ。なおこっちのお手紙は色々秘密が多いのでこっそり書かして貰うのです」

 そう言ってイザベルは俺が書いた紙を持って立ち上がる。

「そんな訳で少しばかり失礼するのですよ。手紙を書いたら戻ってくるのです。あと今回の件は誰にも話さないでいて欲しいのです。秘密が漏れるとせっかくの件が台無しになる可能性があるのですよ」

「わかりました」

「では失礼なのです」

 イザベルは姿を消す。


 それにしてもどういう伝手があるのだろう。

 特に天蚕を産業化するにはそれなりの資本なり人員なり場所なり必要な筈だ。

 でも下手な商人に話して食い物にされてはまずいだろう。

 糸関係だと女工哀史とか俺は思い出してしまうくらいだし。

 イザベルの作戦が俺にはわからない。

 あいつのやる事に間違いは無いと思うけれどさ。


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