始業式
「今日はみんな来ているな!今から始業式が始まるからみんな廊下に名簿順で並んでくれ!」
常に変わらない担任の熱血っぷりに驚きつつ春樹達は廊下に並んだ。
春樹の苗字は渡辺のため名簿順になると一番後ろになる。
そして、その前が吉中である真夏実である。
飯塚は名簿番号が一のため一番前に並んでいる。
竹之内である茜はちょうど真ん中らへんだ。
「真夏実、校長先生の話は長いから覚悟しろよ。」
「どこの学校でも校長先生の話は長いものよ。ただ立つだけなら簡単よ。」
「そうか?俺は辛いけどな。」
校長の話が長いのはお約束であり、この学校も例外ではなく話が長い。
立つことより座っていることがいい春樹に対して真夏実はどっちでも変わらないため立っていても座っていても一緒であるため長く話を聞くだけで変わりがない。
そんな真夏実がただただ羨ましい。
ゾロゾロと全校生徒が体育館に入り担任の指示に従ってクラスの位置へと移動し座りだした。
そんな中で春樹達は一番に座り人数点呼まで終わらせた程だ。
その理由は
「あの担任熱血すぎてやること早すぎるよ。」
「そうね。私も熱血だとは分かっていたけど、他のクラスが来る前に並ばせるなんて気合い入りすぎだと思うわ。」
「だよなぁ。」
担任の熱血っぷりに原因があった。
どこのクラスよりも早くつくようにして、生徒に早くすることはいいことだということを教えようとする教師としては素晴らしいが、少し生徒から早速うざがられている。
だが、持ち前の熱血で生徒を笑わせて失ったポイントを倍くらいにして戻している。
「でもさ、あの熱血っぷりが面白くて俺はあの先生好きだな。」
「私もよ。なんか笑いが絶えないクラスになりそうで楽しみ。」
「こんなに学校が楽しいって感じたのは三年ぶりだ。」
「私は初めてよ。学校なんてそんなに行ってなかったし。」
「だから、今まで楽しくなかったぶん取り戻そうな。」
「もちろんよ。」
つまらなく空白だった学校生活それが色づき始めた瞬間である。
春樹は新しい学校に出会い、友達ができ、近所の何故か仲良くなった真夏実がいる。
真夏実は春樹が友達として初めてでき、クラスに馴染めた。
空白だったところを埋めるのが楽しみで楽しみでたまらない。
ただ一つ言えることは...
「授業はつまらない!」
見事にハモった瞬間である。
すぐに笑いがこみ上げ一緒に笑う。
「ははは、なんか真夏実と一緒にいるようになってすごく笑うようになったよ。」
「ふふふ、私もよ春樹。前はこんなに笑わなかったのに春樹と一緒にいると楽しい。」
「そこ!」
同時に笑った二人。
そして思っていることが一緒になった。
だが担任が二人を指差し声を上げる。
二人の間で張りついた空気が流れる。
「笑うことはいいことだ!健康になる!もっとみんなで笑おうではないか!はっはっは!」
叱られる...と思ったが予想外の反応と言えばそうかもしれない。
だが担任が担任だ。
百八十度違った応えが返ってきてクラスのみんなが笑う。
このクラスは笑いが絶えない。
なんといいことだろうか。
「お、他のクラスはも来たな。みんな、私はここから離れるが全クラスが揃うまで話していていいぞ。」
その言葉を聞き各々が自分が座っている場所の前後で楽しくお喋りを始めた。
「なあ真夏実。」
「ん?なに?」
「俺さ真夏実の家の鍵どうしたらいい?今になって結構やばいことになっていることにきづいたんだが。」
「んーそのままでいいんじゃない?私朝起きれないし。」
「真夏実、俺の何がそこまでの信頼になるのか教えてくれないか?」
「勘かな。」
即答。
重要な事を勘だと応えるあたり真夏実らしいがそれで終わらしてはいけない問題な気がする。
「勘なんだけど確信に近いの。春樹は確実に悪行を働く人間じゃないって。」
「だから、それがこの二日間でどうやって確信にらなったのかが知りたい。」
「昨日春樹言ってたよね?」
「何を?」
「私と初めてあった気がしないって。」
「うん言ったな。」
「私も初めてあったとは思うんだけど昔から春樹の事を知っている気がするの。」
「それで俺は何もしないって思ったのか?」
「うん。そーゆーこと。あ、そろそろ式が始まるよ。」
二人の謎の共感で信頼にあたいした理由が分かった。
そしてそんな話をしているうちに他の学年などが全て揃った。
「起立!礼!」
静かになった瞬間に昨日の入学式で司会をしていた者がマイクを使い挨拶を指示する。
一年生は二年生、三年生を真似した。
「学校長から挨拶があります。その場でしっかりと聞きましょう。」
昨日も思ったがなんとも校長らしい校長である。
輝くように禿げた頭。
「皆さんおはようございます。最初に一年生の皆さんご入学おめでとうございます。そして二年生、三年生の皆さんは進級おめでとうございます。」
これから校長の長い話が始まる。
そして始業式などのお約束は起こらないようにして欲しいと願っていたがそんな願いが叶わないのが現実である。
嫌な予感がした。
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