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登校

今日から真夏実を起こしに行くことになったため早く起きなくてはいけない。

ただでさえ遠い学校のため早起きをしなくてはいけないのに。


「なんで引き受けたんだろ俺...。」


後悔をつい口にしてしまうほどに眠い。

これから計十年間この生活が続くのかと思うとただただ軽く考えていたころの自分を殴ってやりたいくらいに。

そんな春樹は眠い目を擦りながらベットから出る。


「流石に皆起きてないか。」


とても早起きの母親と妹の雪。

雪に関しては元気過ぎて朝早くに学校にいって遊んでいる。

その影響を受けたのか今では学校全体がそうなっているくらいに。

それは春樹とは無縁だったが。

ささっと着替え家族の分のご飯を用意し自分もご飯を食べて家を出た。


「合鍵渡されたけど入っていいものか...。」


人の家に勝手に入るほど勇気がいることはない。

少し空き巣に入るような気持ちになる。

そんな気持ちを振り払い勢いよく扉を開けた。


「真夏実、起きてるか?」


靴を脱ぎながら一応そんなことを聞く。

もちろん反応はない。

昨日真夏実が春樹から逃げた時に逃げ込んだ部屋へと行きドアをノックした。

これも返事はない。

少し緊張しながらもドアノブを握りドアを開けた。


「なんてアホみたいな顔してんだよ...。」


自分の葛藤に対してこの爆睡。

今まで緊張していたことご馬鹿らしくなってくるほどに。


「おい、真夏実起きろ。」


身体を揺らしながら春樹はあることに気づいた。

春樹に気づき起き上がろうとする真夏実を見てそれは確信に変わった。

瞬時に部屋を出ていき息を整える。


「春樹?本当に起こしに来てくれたんだ。」

「うん。それよりもお前寝る時にその格好はやめとけよ...。」


春樹が見たものそれは真夏実もすぐに気づいたであろう。

ドアの向こう側で真夏実が顔を赤くしているのが春樹に想像できる。

そして現実もそうなっている。


「は、は、は、は、春樹!?見てないでしょうね!?」

「見てない!見てない!肩までしか見てない!」

「ほんとうに!?」

「本当だって!」

「ちょっと服着るから待ってて!」

「お、おう。」


春樹が見たものそれは真夏実の裸だ(肩まで)。

なぜ裸で寝ていたのかが謎である。

春樹が起こしに来るってわかっているならば普通はしない。

そんな事を考えているうちに真夏実が着替え終わった。


「春樹本当に見てないのよね?」

「見てない...てかお前可愛いな。」


顔を赤らめる真夏実の顔見て春樹は心の声が漏れた。

それに対して真夏実は春樹をキッと睨み顔面を殴った。


「いってぇ!何すんだよ!?」

「春樹が今のは悪い!」

「え、俺?」

「そうよ。春樹が悪い。」


検討がつかない。

なぜ殴られたのか春樹には理不尽に思えて仕方がない。

そんな春樹を置いていって真夏実はリビングの方へと消えていった。


「なあ、真夏実許してくれよ。」

「ふん!じゃあ美味しい朝ごはん作ってよね!」


ラノベのメインヒロインのような反応とただのお願いに春樹はつい苦笑してしまう。


「了解。」


それをそもそもその気でいた春樹は了承し朝ごはんを作り始めた。

作るものは鯖の味噌煮と味噌汁だ。

ご飯は昨日家に帰る前に炊いておいた。

包丁ほないが炊飯器はあったのだ。


「春樹、ごはんは和食?それとも洋食?」

「朝から洋食ってちょっと重たくないか?和食だよ。」

「そっか。ちゃんとした朝ごはんなんて久々だからちょっと楽しみ。」


真夏実の声と顔は「ちょっと楽しみ」所ではない。

比較的に簡単なご飯を作っている春樹を近くでキラキラと輝いた目で見つめている。

そして、声もすごく嬉しそうなかんじがする。


「もうすぐ出来るから机の上綺麗にして箸とか準備して。」

「はーい。」


テキパキと準備を進める春樹と真夏実。

春樹は朝ごはんのついでに二人分の昼食を作った。

弁当箱は真夏実の分はなかったので春樹の家から持ってきたものだ。

弁当も簡単にしかも美味しく作った。

そして同時に朝ごはんも出来上がった。


「はい、真夏実。」

「ん。ありがと。」


朝ごはんを受け取り机に並べる。

昨日と同じように向かい合うようにして置く。

二人とも席についた。


「いただきます。」

「いただきます。」


春樹が先に言いそれに真夏実も続く。


「んまっ!」


鯖の味噌煮を食べた真夏実の純粋な反応に春樹はとても嬉しそうな笑顔を浮かべる。


「だろ。これを毎日食えるんだぞ。」

「やった!なんか悔しいけど美味しいのは事実だし。これで今日のことも...無しにしてあげる...。」

「自分で言って思い出して赤くなってどうすんだよ...。」

「うるさいな!」


再び顔を赤くする真夏実に対して少し呆れる。

真夏実が本当にアホなのだと確信した瞬間だ。


「それよりも!この味噌汁も美味しいわね。」

「だろ。俺が作ったからな。母さんより美味いって妹も言ってたしな。」

「中一で春樹すごいね。」

「知ってる。」


真夏実に褒められ鼻が高い春樹。

ただし、春樹の妹、雪はとてもブラコンなのだ。

お兄ちゃん大好きすぎて常に一緒に居たいと思うほどに。

それで兄である春樹を贔屓しているかもしれない。

だが、真夏実がここまで褒める以上本当に春樹のご飯は美味しいのだ。

本人は普通に作っているつもりなのだが。


「ふう。美味しかった。」

「それは何よりだ。」


食べ終わり感想を言う真夏実に少し照れる春樹。


「ご馳走様でした。」

「お粗末まさでした。」


今日も朝の準備が終わり学校へ行く時間が来た。


「真夏実緊張してる?」

「少しね。」

「なんとかなるよ。俺がついてるしな。」

「それはありがたいわね。」


今日も二人にとって苦い思い出がある学校へと歩を進めた

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