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「真夏実、俺帰るけど今日飯どうすんの?」

「カップラーメンかな...?」

「アホか。」

「アホってなんだし!アホって。」

「そのまんまなんだけどね...。あのさ、家くる?」

「え?春樹の家で飯食べさせてもらえるの?」

「うん。」

「でもなぁ、迷惑だしなぁ...。」

「んじゃわかった。俺が作りに来るよ。ちょっと材料取ってくるから待ってて。」

「何勝手なこと言って...って行っちゃったよ。」


真夏実のこたえを聞かずに飛び出していった春樹に少し呆れる真夏実。

それと同時に久々のちゃんとしたご飯に胸が高鳴る。


「早く帰って来ないかな...って何今日初めて会った男に新婚の嫁みたいなこと言ってんのよ!私どうしたのかな...?」


場所は春樹の家に移る


「ただいま。」

「おかえり春兄〜。」

「ただいま雪。遅くなってごめんね。」

「ほんとだよぉ。雪寂しくて寂して...。」

「アホなこと言わないの。母さんいるよね?」

「いるよ。」

「ん、ありがと。」


雪に抱きつかれたまま母親を探す。

そろそろ兄離れしてもらいたいところだが。


「あら、おかえり春樹。」

「ただいま。母さん悪いんだけどさ、近くに引っ越して来た吉中っていう人に飯作りに行ってくるから食材ちょうだい。」

「了解。何を作るか決めてるの?」

「んー簡単なカレーでいいや。」

「わかったちょっと待ってて。」


春樹の頼みを素直に聞く母親。

普通の家庭では、見ず知らずの人のところにご飯を作りに行くって言ったら止められるものだが、渡辺家は普通とは常識が外れているためこんなことでも大丈夫なのだ。

それが原因で小学校生活がダメになったのも少しはあるが。


「ちゃんと美味しいの作ってあげるんだよ?」

「もちろん。母さんありがとね。」

「どういたしまして。行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」

「春兄どこ行くの?」

「ご近所さんの家だよ。」

「さっき帰って来たばっかりなのに?」

「ごめんな。また構ってやるから。」

「約束だよ。」

「ああ、約束だ。」


そう言い二人はお互いの小指同士を絡みあわせて約束をした。


「行ってきます。」

「行ってらっしゃい〜。」


何故か雪が満足気だったのが気になり後ろ髪を引かれながら吉中家へと戻った。


「真夏実、帰ってきたぞ。」

「入って。」

「お邪魔します。」


部屋の中は...まだ綺麗なまんまだな。

真夏美の部屋を汚すもはや才能と言えるものの発動をまだしていない事を確かめながらキッチンへと向かう。

そして、どれだけ探してもあれがない。

あれがだ。


「真夏実、もしかして包丁ってないかんじかな?そんなわけないよね?」

「包丁?そーいえばないわね。」

「嘘、だろ...。いくら何でもそれは酷すぎないか?」

「うるさいな!私は料理なんかに興味ないの!」


料理をしたくないの限度を超えている。

もはや料理をする気はないだ。

まあ、それに備えて包丁も持ってきたが。


「そう思って包丁持ってきたよ。」

「さすが!」

「真夏実はこの短時間で俺の何がわかったんだよ...。」

「なんか言った?」

「何も言ってないよ...。」


驚きを通り越しもはや呆れる。

真夏実は正直可愛い。

春樹が今日学校で見た人の中で一番になるほどに。

それを打ち消しているのが真夏実の女子力のなさ。

家事を全くしない女子などなかなかいない。

親の手伝いくらいで少しはやるものだが、真夏実にはそれすらない。

実に勿体無い。


「すぐに作り終わるし席についてて。」

「春樹、あんた顔のわりに料理上手ね...!」

「君だけにはいわれたくないよ!」


真夏実の笑顔。

今日何度目だろうか。

今まで笑うことがあまりなかったかのように下手くそな笑顔。

だが、心のそこから笑っている。

不思議だ。

やはり初めて会った気がしない。


「ねぇまだ?」

「はやいよ!まだ三分も経ってないのよ!」

「早く作ってよね!私お腹ぺこぺこ。」

「う、うぜぇ。」


真夏実の態度に対して言った言葉に敏感に跳ねるように反応する真夏実。

そのすぐ後キッと春樹を睨みすぐに別の方向を見た。

なにか地雷を踏んだのであろうか。


そしてカレーが完成する。

未だに真夏実は気分を悪くしたままだ。


「はいどうぞ。」

「...」


反応がない。


「なあ、真夏実。俺がなんか気に触るような事言ったんならさ言ってくれよ。人の気持ちが分かるような凄いやつじゃないんだからさ...。」

「うざい。」

「?」

「春樹がうざいって言ったことに対して怒ってんの!」

「それだけ?」

「それだけよ!私の過去を抉らないでよ!」

「過去...と言いますと?」

「私いじめられていたのよ。だから今日も学校が怖くて行けなかったのよ...。」


明かされる真夏実が今日学校を休んだ理由。

それを聞き春樹は笑う。

笑って笑って笑って笑う。


「何がそんなにおかしいのよ!」

「いやさ、俺と同じだったんだなって思うと面白くてさ。」

「春樹も同じ?」

「そそ、俺もいじめられてたんだよ。すげー小さな事でね。」

「あ、それわかる。私も謎にハブられた初めてびっくりしたもん。」

「それでさ、俺は今日だけだけど、クラスの奴らは良い奴多いぞ。俺もみんなと仲良く慣れたしさ。真夏実明日学校一緒に行こうな?」

「...楽しい?」

「もちろん!」

「ん、わかった行ってみる。」

「そうか。んじゃ飯食うか。冷めちゃうし。」

「そうね。いただきます。」

「いただきます。」

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