報告
「え!大志君付き合い出したの!?」
「うん。涼風が告白して付き合いだしたかんじ。」
「なるほど。先をこされたか...。」
「私も春樹君と付き合いたいですのにぃ!」
大志が涼風(以後晴空)と付き合った事を真夏実、茜、ゆりに話した。
少しゆりの願望が聞こえたような気がしたが気にしないでおく。
もちろん大志と晴空の許可はもらって話している。
「涼風ってさ、めっちゃ可愛かったの知ってた?」
「春樹君春樹君!私はどうですか?」
「ん?ゆり?可愛いと思うよ。」
自分で聞いておいて満足していながらも顔を真っ赤にしている。
「何イチャイチャしているのよ。話を戻して!」
「そうだぞ。ゆりとイチャイチャするなら茜と真夏実も一緒にだぞ。」
「ん?よく分からないけどごめん。」
ゆりはニコニコと春樹の言葉を頭の中で何度も再生して、話を全く聞いていない。
「それよりも、晴空ちゃんってずっと俯いていたわよね?」
「確かに。茜もよく顔は見ていないぞ。」
「なんか嬉しさで顔を上げていて、それを見たってかんじなんだ。俺も驚いたよ。まあ、大志に後で文句言われたけど。」
「春樹らしいわね...。」
「思った事を言ってしまうあたり春樹ってかんじがするぞ。」
うんうんと二人はお互いの考えを共感している。
「なあ、ゆりそろそろ戻ってこい。」
「は!私は何を!」
ゆりの肩を揺らし意識を戻らせる。
あからさまに意識を取り戻したような反応をする。
ゆりを正気に戻した理由、それは時間だ。
真夏実の家で四人で話していたのだが、家が少し遠いゆりはそろそろ帰らないと本当に遅くなる。
「そろそろ帰ろうか。茜とゆりは送っていくよ。」
「本当ですか!」
「うん。嘘つく必要ないよね...。」
「真夏実、また明日。ちゃんとこれだぞ?」
「これ」と言った時に茜は自分の唇の前に人差し指を付けた。
「どういうこと?」
「ん?特に何も無いわよ。」
「そっか。じゃあ帰ろう。」
明らかに何かあるように見えるが春樹はそれを気づかない。
真夏実の事を変なところで信頼しているのだ。
「お邪魔しました。」
真夏実は家の中から手を振って三人を送った。
三人も真夏実に手を振った。
「春樹君!」
「何?ゆりって結構テンション上がりやすいタイプ?」
「はい。それよりも手を...繋いでくれませんか?」
ゆりの上目遣い。
許しそうになるが、背後の気配で自分を制止させた。
「悪いけど、ちょっと恥ずかしい...。」
「そうですか...。」
しゅんと見るからに落ち込んでいるゆり。
これは仕方ない判断だと自分に言い聞かせる。
「ゆり、抜けがけは許さないぞ。」
「では、これで。」
ゆりは春樹の腕に抱きつく。
手を繋いでくれないなら自分が掴まればいいのだと思った結果だ。
そして、目で茜に同じようにしろと合図する。
「ずるいぞ!」
茜も春樹の腕に抱きつく。
中学一年生とは思えないような大きさのものが春樹の腕にくっつく。
自制心自制心自制心それを忘れてはいけない。
「歩きにくい!」
「わっ!」
「きゃっ!」
二人の腕を振り払い先に歩いて行く。
「春樹君らしいですね。」
「そうだな。」
二人は春樹の元へと小走りで近づいた。
「春樹酷いぞ。」
「うるさい、あれは二人が場をわきまえないからだ。」
「では、違う場所ならいいということですか?」
「そうだけど違う!」
「どっちだぞ?」
「それくらい自分で考えろ。」
また春樹は無口になり足早に歩く。
そんな春樹の顔を覗き込みゆりが一言。
「春樹君、顔真っ赤ですよ。」
「なっ!」
クスクスと笑う二人に恥ずかしさのあまりに更に顔を赤くする春樹。
「春樹さんは正直ですね。」
「もういいよ、認めるよ。人が見ていない所だったらいいよ...。」
「知ってたぞ。」
「知ってて聞いてたの!?」
「勿論だぞ。春樹のこと何年知っていると思ってるんだ?」
「うーん十三年くらいだな。」
「そうだぞ。なんでも茜さんにかかればお見通しだぞ。」
茜がその豊満な胸をはる。
目のやり場に困る。
「あ、春樹君エッチです。」
「うるさいなぁ!」
「ゆり、春樹はこういう人だぞ。仕方がない。」
「どご見て喋っているんですか!」
「茜にはあってゆりにはない所だぞ。」
「く、悔しいです!」
茜はゆりの胸を見ながら嫌味のように言う。
それは現実であり受け止めなければいけない事実である。
だが、その価値観は二人にとっては春樹の判断しだいだ。
「春樹!」
「春樹君!」
「どっちがいいんですか?」
「どっちがいいんだそ?」
「俺に聞くな!」
二人の頭にゲンコツをくらわして先に進む。
「痛いぞ...。」
「痛いですぅ...。」
「はあ、もう茜の家に着いたよ。」
「早いな。じゃあまた明日。」
「ああ、バイバイ。」
「さよならです。」
茜が家の中へと消えていった。
「行こっか。」
「はい!」
またゆりは春樹の腕に抱きつく。
「だから、やめろって!」
「春樹君可愛いですね。」
「うるさいなぁ、もう送ってやらないぞ?」
「それは嫌ですぅ...。」
「まあ、心配だから送るけど。」
ぱっと顔が明るくなった。
「やっぱり春樹さんですね!」
「どういうこと?」
「いいんですよ。徐々に分かっていただければ。」
「そっか。じゃあ行こ。」
「はい!」
今度は抱きつかず、普通に歩いた。




