大志と視線
楽しい時は早く過ぎ入学から既に三ヶ月が経っていた。
クラスはみんな仲が良くそれに春樹も真夏実しっかりと溶け込んでいる。
そんなある日春樹は親友である大志から相談を受けていた。
真夏実と茜、ゆりは用事があると言って先に帰り春樹も大志を誘って帰ろうとした時に相談を受けたのだ
「なあ、春樹。俺さなんか最近視線を感じるんだよ。」
「視線?何?自意識過剰なの?」
「いや、そういうのじゃなくて本当に誰かに見られている感じがするんだよ。」
「見られてるって...。」
「っ!」
もう二人以外誰もいないはずの教室にいるのだが、大志は何かに気づいたように振り返り廊下の方を見た。
誰もいない。
「誰もいないじゃん。」
「なんか見られてた感じがしたんだけどなぁ。」
「もしかしてお前の事が好きな奴が見ているとかか?」
そう冗談で言ったつもりだったのだが、廊下から人が転けるような音がしたので急いで廊下にでた。
「あの子って...」
「あ、待って!」
顔を見せないまますぐさま走り出して廊下の角へと消えていったため誰かは分からなかった。
「犯人は絶対にあいつだな。」
「そうだね。でもあの後ろ姿見たことあるんだよなぁ。」
「確かにそんな気がしなくもない。」
「うーん。」
考え込んだ。
手がかりとすればツインテールであったということと、背が低かった事くらいだろう。
「まあとりあえず今日は帰ろうぜ。」
「そーだな。帰ろう。」
次の日朝学校に来ると昨日見たことがあるような人物はすぐにわかった。
そもそもツインテールの人物は少なく低身長の女子を探せば直ぐに誰分かった。
春樹達と同じクラスの涼風 晴空だ。
観察してみるとバレたのが分かったのか挙動不審で顔が赤かった。
「なあ、大志って涼風と話したことあるか?」
「んー数える程しか無いな。」
「そっか。あいついつも一人でいるからなぁよくわかんないんだよな。」
完全に大勢でいることを嫌う人みたいだ。
常に一人でいて喋っても数回会話のキャッチボールをして終わり。
そんな涼風が大志の事を好きなのかもしれない。
不思議だ。
「まあ、動くとしたら今日辺りだよね。」
独り言を呟く。
大志はそれを聞こえたのか聞こえていないのかは分からないが、黒板を消していた涼風を手伝いに行った。
低身長のため一番上まで届かないのだ。
「こりゃ好きなっても仕方ないな。」
「どの口が言うのよ。」
「うっ!」
春樹の呟きを聞き真夏実が春樹の脇腹へと肘を入れた。
「それはどういうこと?」
「自分で考えなさい。」
ちょっと怒り気味に真夏実は茜達の元へと帰って行った。
なんだかよく分からないが気に食わなかったのであろう。
昼休みがきた。
少し校舎をブラついて戻って次の授業の準備をしようとしたその時だ。
「春樹、これなんだかわかる?」
大志が見せてきたそれは手紙だった。
「中読んでみたら?」
「おう。」
大志が書かれている事を読んで顔をしかめる。
「どうしたんだ」と手紙を受け取り春樹も読む。
「なになに、放課後屋上に来てください...ってこれ完全に告るから呼び出すための手紙だろ。」
「なんでそんな事が分かってもっと自分の事は分からないんだぞ。」
「うっ!」
今度は茜が春樹の脇腹に肘を入れた。
「だからどういうこと?」
「自分で考えるんだぞ。」
「ははは...。」
思わず大志も苦笑いだ。
茜はそのまま真夏実達の方へと行ってしまった。
「どういうことなんだ?」
「それは自分で考えた方がいいと俺は思うよ。」
「大志もそう言うのかよ...。」
どういう意味か分かっていないのは春樹だけのようだ。
「それはそうと大志、お前はこの呼び出しの場所に行くのか?」
「もちろん。人が頼んできていることは変な事以外は断らないからね。」
「お前は損する性格をしてるなぁ。」
「春樹程ではないよ。」
「?」
今の言い回し的に春樹はとても損をする性格をしているということになるが、当の本人はよくわかっていないらしい。
「まあ、放課後まで待つか。」
「うん。」
放課後がやってきた。
春樹は扉の前で待ち、大志は呼び出された屋上へと行った。
話し声が聞こえてきた。
そしてしばらくして扉が開いた。
大志はとてもニコニコとしていてその後ろには昨日と今日話題にあがっていた涼風 晴空、
その人がいた。
・・・
大志を屋上で待っていたのは涼風 晴空だった。
「どうしたの?」
「た、大志君!」
「ん?どうしたの?」
「私と...付き合ってください!」
告白だった。
「俺でいいの?」
「うん。大志君がいい。」
「なんで俺なの?」
「だって...大志はよく私を助けてくれたからそれで徐々に好きになったんだ...。」
少し思い出す。
大志自身助けたつもりなどはなかったのだが、クラスのプリントを職員室まで運んでいる途中の彼女がつまずいてプリントをぶちまけたのを一緒に拾ったり、ちょうどすれ違った時に彼女が転けそうになったので支えただけだ。
何も助けたつもりはないが彼女はそれを助けたと思っているのであろう。
「そっか。涼風さん顔を上げて。」
いつも俯いていて見えなかった顔を初めて見た。
その顔は...
「え?めっちゃ可愛いんだけど...。」
「!?」
その顔は大志が思わず可愛いと言ってしまった程のものだ。
童顔ではあるが目がくりくりとしていて二重タレ目でとても可愛い。
言ってしまえば大志のタイプだ。
「ごめん、顔で選んじゃうみたいだけどこれから涼風さんの事よく知っていきたいし、俺からもお願いするよ。俺と付き合ってください。」
「はい!」
彼女の喜んだ顔。
とても可愛く笑顔がこぼれる程だった。
「これからよろしくね。」
「はい!私の事は是非晴空と呼んでください。」
「分かった。晴空よろしくね。」
付き合った二人。
春樹の元へと行く。
そして春樹が晴空の顔を見て言った。
「涼風めっちゃ可愛いじゃん!」
大志は少しムッとした。
あけましておめでとうございます。
今年もこの物語をよろしくお願いします。




