心の支え&始まり
ちゃんとした学校生活が書ける展開に持ち込みました。
「春兄!」
扉を開けた瞬間雪が抱きついてきた。
これはいつもあることだから特にその瞬間は気にしなかった。
ただ雪の顔を見てそんな考えは吹き飛んだ。
「雪どうしたの?」
「春...兄...。」
雪は頬を赤くし目に涙を溜めて春樹を上目遣いで見ていたのだ。
上目遣いならばいつものことなのだが今日の雪の雰囲気は少しおかしい。
「雪とりあえず座るよ。」
ベッドに座りその隣にちょこんと雪も座る。
「春兄私ね...」
「分かってるよ。不安なんだろう?」
「うん。春兄は小学校に頑張って行っていたけど、中学になるとみんな賢くなって...。」
「大丈夫だよ。今日はうまくいったよ。だか溢れるようにたくさんの涙がら第一印象は完璧だ。」
「春兄は真夏実姉や茜姉がそばにいるから大丈夫とは思う。だけど!雪は春兄がどんどん遠くに行ってしまっているような気がして...。」
雪の頬を一粒の涙が流れる。
それに続いてたくさん涙がが溢れるようにして流れる。
そんな雪を春樹は自分の方に寄せ自分の胸に顔寄せた。
そして雪の頭を撫でる。
「雪、兄ちゃんが雪を置いてどこかに行ったことはあったか?」
「あった。」
「おお、そうか。でも帰ってこなかったか?」
ふるふると横に首を振る。
「だろ。兄ちゃんは絶対に雪を置いて行ったりしない。ずっと一緒だ。」
「ずっと?」
「ああ、ずっとだ。」
雪をもっと強く抱き締め離れない事を証明した。
そんな春樹の胸で雪は涙をたくさん流す。
普通は逆何だけどなぁ。
「雪、泣きたい時は泣けばいい。喜びたい時は喜べばいい。怒りたい時は怒ればいい。そんな時に兄ちゃんは雪のそばに絶対にいるから。」
「...ありがとう春兄。」
「ずっと兄ちゃんは雪の兄ちゃんだからな。」
しばらくすると雪も落ち着き春樹の胸から顔を離した。
目を真っ赤にして腫れている。
「今日は兄ちゃんと一緒に寝るか?」
「うん!」
元気な返事が聞こえたとほぼ同時に雪はまくらを持ち春樹の腕に抱きつき春樹とともに春樹の部屋へと移動した。
「こうやって雪と一緒の布団で寝るなんて久しぶりだな。」
「そうだね〜。私はずっとこうやって寝たいけどね。」
「いつでも来てくれていいぞ。」
「ほんと!やった!」
「ああ、だけどほどほどにな。」
「うん!」
布団の中でもぞもぞとしながらそんな会話をする。
雪が春樹と寝たいのはただの願望であるのが五割だが、春樹の性格上自分でストレスを溜め込みそれを解消せずに更に大きなものへと進化させる。
それを分かっている雪は心配してその心を癒そうとしているのだ。
「雪、寝にくいんだけど。」
「大丈夫気にしないで。」
春樹にがっしりと抱きつき離さない雪は春樹の講義の声を無理矢理かき消す。
これも先と同じように半分欲望、半分心配だ。
だてに兄妹しているわけではない。
それは春樹も分かっており素直に受け入れたのだ。
「じゃあ俺も雪のに抱きつこうかな。」
「!?」
春樹も雪に応えるように抱きつき抱き合っている状態へと変わった。
そしてこの安心感である。
「なんか雪を抱き枕カバーにしているとぐっすり眠れそうだよ。」
「ならよかった。私も眠れそう...。」
既に眠たそうな声で応える雪のの頭を撫でているうちに雪は眠ってしまった。
そして春樹も徐々に瞼が重くなり意識を手放した。
意識が覚醒する。
昨日の事を思い出し隣の雪を見た。
年相応の可愛い寝顔を浮かべている。
「雪、おはよう。」
「おはよ〜春兄〜。」
相変わらず雪は春樹に抱きつく。
「おはようのハグ〜。」
「ありがと。でも起きなくちゃいけないから雪も着替えておいで。」
「分かった!」
朝の用意を済ませて家族の分の食事を作って雪に食べさせて家を出た。
「真夏実。起きろー。」
「んん〜。」
おはようからおやすみまで一緒にいるなんてどこぞのカップルみたいだ。
決定的に違うのは恋人関係ではないということ。
「おはよう真夏実。」
「ん、おはよう春樹。もういい匂いするけどご飯作ったの?」
「うん、俺の家でつくってそれを持ってきたかんじだ。」
「なるほどね。じゃあ着替えるから下で待ってて。」
「りょーかい。」
真夏実の部屋をでてリビングに置いていたご飯を電子レンジで温め直した
「あれ、春樹の分は?」
「んあ、俺は今日雪と一緒に食べたからいいんだよ。」
「そっか。」
少し残念そうな顔をする真夏実。
真夏実が座った向かいに春樹も座る。
「春樹の顔、なんか元気がとてもありそうなかんじだよ。」
「逆に真夏実の顔はムスッとしてるけどな。」
「うるさいなぁ。私の事はいいから。なんかあったの?」
春樹は真夏実に昨日真夏実の家を出てからの事を話した。
「つまり、精神的に疲れているのを雪ちゃんに気づかれてそれで慰められたってことね?」
「まあ、簡単に言えばそういうことだな。」
「ロリコンじゃないの...。」
「はあ?俺は雪にそんな感情は抱いていないよ!ただ可愛い妹が心の支えになっている事は事実だけど。」
「...。変態シスコン...。もしもし警察ですか?今目の前に小学生に欲情してい」
「なぁー!やめて!」
春樹の話を聞きゴミでも見るような目を向けながら真夏実は自身のスマホで電話をかけた。
直ぐにそのスマホを取り上げて弁解しようと画面を見ると、
「って嘘嘘じゃねえかぁ!」
「ごめんごめん。つい楽しくて。」
今の顔を見るあたりさっきの冷ややかな目は嘘だろう。
本当に怖かったが。
「よしご飯食べ終わったね。」
「うん。片付けどうする?」
「俺がしとくよ真夏実はゆっくりしといて。」
弁当箱を洗うだけの簡単な作業だ。
洗い終わり真夏実に声をかけた。
「行こっか。」
「うん!」
真夏実は春樹の横に並び一緒に歩き出す。
春樹の心のモヤも晴れ真の日常が今スタートした。
次回からはしっかりと学校生活を書いていくつもりです。