美少女との下校&真田
「ねぇゆり歩きにくいんだけど...。」
「気にしないでください。」
場所は校門前、ゆりが春樹の腕を抱いて春樹に寄り添う様にして歩いているのだ。
「ほんとよ、近いわよ。」
「そうだぞ。」
後ろから批判の声が聞こえる。
その声の主は真夏実と茜だ。
茜は叔母の家に引っ越してわざわざ春樹の家の近くに住んでいるらしい。
そして、ゆりは電車の途中までは一緒と帰るルートが一緒なのだ。
ゆりに何故か春樹は懐かれ困り果てている途中だ。
なにせ、美少女三人を連れて歩いているのだ。
一年生の少数しか男子はいないがその男子からの視線が痛い。
「なんで俺はこんなに懐かれてんだよ...。」
「わかりません。だけどなんか春樹さんは私を助けてくださって、なんというか言うのが恥ずかしいんですが一目惚れをしたと言いますか...。」
「そ、そうか。嬉しいんだけど、見た目だけで人を判断しない方がいいよ?」
「大丈夫です!春樹さんは本能的に大丈夫な気がしますので。」
「それは私も同感。春樹はなんか落ち着く感じがするって言うか一緒にいて飽きないのよ。」
「分かるぞ。茜も春樹と一緒にいて楽しいぞ。」
「そりゃあ俺も嬉しいよ...。」
三人からのべた褒めに対して春樹は言葉ではクールを装いながらも内心は嬉しい。
茜が春樹に懐いていることは長い付き合いだから知っているが、まだ出会ったばかりの真夏実とゆりにまでそこまで言われるとそれは嬉しいに決まっている。
「こんだけ懐かれる要素持っててなんで俺は小学校の頃にいじめられたんだよ...。」
ここまで人に好印象を与える春樹ならば普通はいじめられるなんてありえない。
この好印象がいじめられたことによって育ったのだとしたらいじめられて良かったのか、悪かったのかがよく分からない。
ただ一つ言えることは
「今が楽しいな。」
「そうね。私も春樹と出会って楽しいわよ。」
「茜は再会出来て喜びに浸っているぞ。」
「私は春樹さんと出会えて何故か勇気を貰ったように人と話せるようになって楽しいです!」
「そうか、でもそれはゆりの力だから誇っていいことだ。」
「は、はい...ありがとうごじゃいます...。」
噛んだ。
自分から春樹に対してのアピールなどは恥ずかしくないのに春樹から褒め言葉を言われると途端に赤くなって恥ずかしがるのは謎である。
後ろの二人を見ても頷き返して同じ意見であるということがわかる。
「とりあえず今日はチョット心配だしゆりは家まで送るよ。二人はどうする?」
「ついていく。」
「茜もそうするぞ。」
「りょーかい。んじゃさっさと行こうか。」
場所は電車内に移動
視線が痛い。
美少女三人にピッタリとくっつかれてそれを見ている下校中の男子高校生などの視線が痛いのだ。
「あいついいな...。」「妬ましい...。」などといった妬みの声が聞こえる。
「次は東財寺、東財寺です。」
アナウンスが流れた。
東財寺、それはゆりが降りる駅の名前だ。
近くにある東財寺というお寺の名前らしい。
「早く降りよう。」
電車内の視線から逃げるようにしてすぐに改札を通り駅を出た。
「ゆり、ここからの案内よろしく。」
「了解です!」
弾むように嬉しそうに歩くゆりの後ろを歩く。
「これならもう心配はなさそうだな。」
「そうね。でも今日はゆっくり休ませないとね。」
「ああ、わかってる。」
ゆりの後ろを歩きながら前方のゆりの調子をみて安堵する。
ふとさっきから喋っていない茜の方を見る。
「茜、瞼が全然開いていないけど大丈夫か?」
「ちょっとやばいかもだぞ...。眠たいぞ...。」
本当に今にも寝そうな顔をしている茜。
その茜の前に春樹は屈んだ。
「乗れ、おんぶしてやるから寝てていいぞ。」
「恩に着るぞ...。」
そう言って春樹の背中に体重を預けたすぐ後に寝息が聞こえる。
よっぽど眠たかったのであろう。
「ずるいなぁ。私もやってもらいたいわ。」
「また今度ね。」
「あ、ずるいです!私もしてもらいたいです!」
真夏実とゆりは同じような反応をする。
ただ大きな声を出したゆりに対して春樹は人差し指を自分の口へと持ってきて「静かに」
と小さな声で言った。
「も、申し訳ございません。」
「いやいいよ。でも茜も何かと俺に気をつかってくれているみたいだし疲れたんだよ。だから静かに寝かせてあげよう。」
「わかりました。」
茜が春樹に気をつかう理由、それは春樹がいじめられていたことを知っているからだ。
春樹の事を常に想いそばにいたいと思っていた茜だからこその気遣いだ。
ただ今日はその気遣いが無くなり春樹がとても冷や汗をかいたが。
「そうこうしている間に着きました。」
「...これ?」
「これなの?」
二人同時に同じ反応をした。
春樹達が見上げる物それは
「めちゃくちゃ豪邸じゃねぇか!」
そうゆりの家は千坪は軽くあるような豪邸だったのだ。
さっきから見ていた家が大きと思ってはいたがそれの比にならない。
「じゃあもしかしてゆりってあの真田メイカーの...。」
「はい。社長は私の父です。」
「やっぱり...。」
真田メイカーとは日本の様々な家具を作っているところだ。
安い上に質がとてもよく家具屋に行けば商品の九割をしめているほどだ。
そして、最近は電気製品などを作ってまた儲けているらしい。
「な、なんか言葉にできない...。」
「そうね...。」
圧倒的すぎる豪邸に対してなにも言葉が出なかった。
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