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あるある

始業式ならではのイベント、校長の長話。

そしてもうひとつあるイベントは...


「で、あるからしてこれから皆さんは」


校長の区切りが入りそうな時にそれは起こった。

バタンと倒れる音が体育館中に鳴り響いた。

生徒全員の視線が春樹...の隣に集中する。

倒れた人物は春樹の隣に並んでいた隣のクラスの女子だった。


「おい、大丈夫か?」


体を揺らし呼んでみるが反応がない。

息苦しそうに呼吸しているので死んではいないことが分かる。

嫌な予感がしていたが的中した。

始業式のイベントとしてよくある貧血で倒れるだ。


「ちっ、仕方ないな...。」


春樹は倒れた少女を背中に背負い保健室に向かうために体育館を飛ぶようにして出た。

昨日ある程度重要な部屋の場所は覚えた。

そのため保健室がどこにあるかが分かる。

ドアに手をかけて開けようとしたが開かない。


「なんで...そうか!先生も始業式に参加しているのか!」

「はいはい、先生が来ましたよ。そんなに急がなくても先生に任せれば良かったのに。」

「あ...そうか必死で連れてきたけど俺がやる必要性はなかったのか...。」

「でもあなたがしたことは正解。よくやったわ。今開けるからベッドに寝かしてあげてちょうだい。」

「了解です。」


ただただ必死で少女を背負って来たがそれを春樹がする必要性はない。

例えばあの熱血教師に任せても良かったわけだ。

そんな少し後悔をしながら背負った少女をベッドに寝かせる。


「では自分はこれで。」

「いや、先生は今から会議があるから君はここにいてこの子を見ていてあげて。」

「そういうのって先生の役目じゃ...。」

「いやいやいや、こういうのは助けた男子が起きるまでそばにいるのがお約束でしょ?」

「なんですかその変な考え。」

「まあまあ、じゃあよろしくねぇ〜。」


春樹に仕事を丸投げし先生は保健室を出ていった。

そんな先生に春樹の一言。


「り、理不尽だ。」


ただお約束を守った先生。

そんなことでいいんだろうかとかんがえる。

そんなことを考えつつも春樹は任された仕事をやり遂げようと少女が寝ているベッドの隣に椅子を置き座った。


「はあ、困ったな。絶対茜に後で聞かれるなぁ。疲れる。」


茜の性格をよく知る春樹は後で茜に何をされるかがよくわかる。

面倒事になることを分かっていても春樹の性格上この様なシチュエーションでは人を見捨てることが出来ない。


「ん、」

「お、気づいたか?」


少女が小さく声を出したのに気づき反応する。

ゆっくりと目を開ける少女。

そして顔が徐々に赤くなっていく。


「わ、わ、私!」


慌てて起き上がろうとするのを春樹は止める。


「慌てるな。俺もこの状況を作ったあの養護教諭に文句を言ってやりたいところだが、君は倒れて気づいたばかりだ。だから無理するな。ゆっくり寝ていろ。」

「わ、わかりました...。」

「まあ良くなるまでいといてやるからなんか欲しい物があったら言ってくれ。あ、水取ってくるな。」


立ち上がり保健室の中をぐるっと見渡す。

するとさっきは気づかなかった物が机の上に置いてあった。

それは小さくて四角く、中が丸く膨らんでいる。


「こ、これは?」


思い当たるものがある。

それは養護教諭が置いていったものだろうと予想がつく。


「あのくそ教師が...!」


それを思いっきり投げてゴミ箱に捨ててやった。


「な、なんかありましたか?」

「ん?なんもないよ気にしないで。」


春樹の怒声が気になり声を少女はカーテン越しにかけてきたが心配ないと春樹は応える。

今度は目当てのものを探すために冷蔵庫を開けた。


「経口補水液...これの方がいいか。」


水よりもいいと判断しそれを手にする。

そして近くにあったストローの束から一本抜き取り経口補水液の入ったペットボトルのキャップを開けてストローをさす。

それを少女の下へと持って行く。


「あまり美味しくないけどこれの方がいいから飲んで。」

「は、はい。」


春樹がペットボトルを持って寝ている少女にストローを咥えさせ飲ませた。

美味しくなさそうな顔をしながらもしっかりと飲んだようだ。


「すぐによくなるわけでもないしもう一度寝るといいよ。俺はあのクソ教師が帰ってくるまでいるから。」

「あ、ありがとうごじゃいます...。」


噛んだ。

ボッと聞こえるほどわかりやすく赤くなる少女。

そんな彼女に苦笑いを向ける。

恥ずかしいことを早く忘れたいのか少女は目をすぐに閉じて寝息をたてはじめた。


「ふう、これで大丈夫かな?俺は言い訳を...」


その続きを言おうとして振り向いた。

背後に人の気配を感じたのだ。

そしてそこにいたのは


「春樹、あんたいきなり走って行ったからびっくりしたわよ。」

「そうだぞ春樹。なんでこんな知らない子にあんなことを...。茜にはしてくれたことないのにずるいぞ...。」


真夏実と茜だ。

真夏実の言っていることはよくわかるが、茜が最後の方にボソボソと言った言葉は聞かなかったことにしよう。


「二人ともどのあたりからいたの?」

「そうね、春樹がこの人にそれを飲ませてあげているところくらいからかしら。」


そう言いながら真夏実が指差すのは少女に飲ませた経口補水液だ。


「結構前からいたんだね!?」

「しっ、うるさいぞ春樹。寝ているんだから静かにしないと迷惑だぞ。」

「なんだよそれ...。」


確かに言っていることはわかるが養護教諭といい茜といい理不尽だと思う。


「まあ、それはもういいや。俺はこの子が目覚めるまでここにいるけど二人はどうする?」

「私はここにいる。」

「茜もここにいるぞ。」

「了解。静かにしてくれよ。」


そう言い少女が目覚めるまで待つのだ。

今回書いたのは学校のイベントのあるあるですね。


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