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異世界過酷ハウジング  作者: 半間浦太
第一章:17週目・Fを超えた先
10/16

9話:移動するマイホーム ~ 過去に花を植えて街灯を手に入れる ~


『あっ、まずい……!』


 勝利の余韻も束の間、いつになく神妙な口調でエボニーは告げた。


『……サキさん、少し聞いて下さい。

 土地からウィルを引き出すと、その土地のウィルが枯渇します。原則として、ウィルは枯渇したら回復しないんです』

「そうなの?」


 サキが身に纏っていた赤いオーラは消え、髪と瞳も元の色を取り戻した。それに伴い、ドラゴンアーマーは灰と化して崩れ去った。

 カード自体は無事だった。サキの手元にはカード【機獣ハイレシア・ドラゴン(遺体)】が残った。しかし、火のウィルを土地から引き出した影響か、周囲の山岳地帯は急速に老い、枯れていった。

 あらゆる生物が活力を失い、地の底のマグマが熱を失う。火のウィルを喪失したことで、土地に寒冷化の予兆が現れつつあった。


『過去でウィルを消費したら、未来の同じ場所でもウィルが枯渇したまんまなんです! こんなことを繰り返していたら、かの惑星寄生大魔獣ザルヴァン・ブレイジアと同じですよ!!』

「何、そのザルヴァンなんとかって」

『この惑星を食らって荒廃させた元凶ですよ! ただでさえウィルは貴重なのに、あのウニのせいで……!!』


 エボニーの口調には、激しい憤りが伴っていた。

 エボニーがこんな風に感情を露わにするのは珍しい。サキは興味を覚えた。


「待って。私は土地のウィルを回復させたい。どうすれば良い?」

『え。あ、そ、そうですね。すみません、取り乱しちゃいました』


 こほん、と咳払いして、エボニーは続ける。


『えーっと、ちょっと待って下さいね。

 そうですね……これがベストです! 花を植えて下さい!』

「花……」


 サキは聖皇歴1252年で城塞都市の少年から貰った花を思い出した。

 白い花。これでこの土地のウィルが回復するといいのだが。


「花を植えた」

『えっ。花を持っていたんですか? この世界じゃ貴重なはずなんですけど……』


 少年から貰った花を大地に植えた直後、ウィルが土地に広がった。

 ウィルは土地に根付き、活力を与える。枯れかけていた生物の活力が蘇り、マグマは熱を取り戻した。土地に再び、火のウィルが宿ったのだ。


『すごい! 本当にウィルが回復しています! さすがサキさんです!

 そのぉ、さっきは怒鳴ってごめんなさい。この世界のウィルは、とても大事なものだったので、つい……すみませんでした』

「別に、気にしてない」


 ピー。ガー。ヒョロロロロロロロ。


 セーフティデバイス01Dが音を立てて、四角い箱を吐き出した。


『今回は、時空犯罪者【時食いのしもべ】の一員を逮捕してくれて、ありがとうございます! 上司のエルダーダークドラゴンゴッド・リヴァルロードさんが、特別報酬を送ってくれました! どうぞ、ハウジングアイテムボックスです!』


 セーフティデバイスには3Dプリント機能でも付いているのだろうか。

 それはともかくとして、サキは四角い金属の箱を前にして静かに歓喜した。


「ごくり。これが、ハウジングアイテムボックス」

『はい! 量子的揺らぎがあるので、開けるまで何が出てくるか分かりません! まさにシュレディンガーの箱です!』

「ソシャゲのガチャみたい。開けよ」


 パカッ。


 サキはハウジングアイテムボックスを開けた。

 量子的揺らぎが確定し、ハウジングアイテムが実体を伴って出現する。


 ボックスの中から現れたのは……なんと、街灯だった!


 てれれってれーん!

 サキは アイテム【街灯(中世風)】を手に入れた!


「おお……これぞまさにハウジングアイテム。夢にまで見た家具」


 瞳を輝かせて街灯に見入るサキ。この調子でハウジングアイテムを集めて、マイホームをカスタマイズするのだ。

 夢のハウジングアイテムを手に入れて、いてもたってもいられなくなったサキは、機獣オーバード・ネメアTYPE2を見上げた。彼女の表情には、ちょっぴり微笑が浮かんでいた。


「いいこと思いついた」

「グォン?」



~数分後~



 サキは、機獣オーバード・ネメアTYPE2の背中に街灯をくくりつけた。

 発想の転換ってやつだ。これで、いつでもハウジングを楽しめる。


「しばらくはネメアがマイホーム代わり」

「グォォ!」


 移動するマイホームこと機獣オーバード・ネメアTYPE2は、サキの言葉に頷いてみせた。


(街灯って、キレイ。どうしてこんなにわくわくするんだろう)


 ハウジングアイテム【街灯(中世風)】をうっとりと眺めるサキは、不意に尿意を覚えた。

 考えてみれば、この世界に来てから数時間も経っている。サキはもじもじとし始めた。


「……ところで、ここにお手洗いって無いの?」



時間が空き次第、次話を投稿しますm(_ _)m



●ステータス


名前:サキ

性別:女性

年齢:16歳

ガーディアンランク:E

アイテム:ヴァリアブルスーツ、セーフティデバイス01D

カード化済みのアイテム:機獣ハイレシア・ドラゴン(遺体)、チンピラ(人間)

マイホーム:機獣オーバード・ネメアTYPE2(アイテム【街灯(中世風)】を設置)


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