表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

9.《エリシュオン》の世界へ

また今回も少し長めです。

やっとゲーム内にログイン〜

 

 扉をくぐると、目の前が眩い光に包まれる。それは数秒で静かに収まると気がつけば、街の大きな噴水前に立っていた。

 噴水の中央には3人の女神の像が飾られていて、キラキラと日の光で反射する水飛沫がとても綺麗だ。

 何の女神だろう…?とりあえず今の現在地をマップ表示でチェック。『始まりの街・モノ。大広場噴水前』か。


 周囲を見渡せば、人が多い。ほんと人が、多い…!!!

 私と同じような服装の人がキョロキョロと物珍しそうに辺りを見渡していたり、待ち合わせだろうか、噴水の縁に座って誰かを待っていたり、その場でステータス画面を確認してる人などなど。いろんな人たちがいる。

 あっ、あの狐の獣人さんめっちゃ可愛い、もふもふ。美人なエルフさんやちっこい妖精族の可愛い子とか、イケメンもちらほら、見てるだけで目の保養だ。うん、楽しい。

 あとは、βテスターっぽい装備か整っている人たちが新人プレイヤーたちに声を掛けて勧誘してる姿も。


 あぁ、ゲームでよく見る光景だなぁとほっこりする。ほっこりするけど……





 ああ!!!もう、眩しい!!!!きっつい!!!





 チュートリアルではチェシャが気を利かせて、あまり影響ない時間帯に変更してくれてたから大丈夫だったけど、今のゲーム時間内は14:00ぐらいだ。


 太陽が高いぃ……日差しが強いぃ……ちょう、眩しいぃ……。

 眩しさに目つきが悪くなってる自覚がある。あっ、今、私と目があった人、ものすごい勢いで視線を逸らされた。そんなに怖い顔になってたんだろうか……ちょっとショック……。


 とりあえず日陰に……なんて考えていると、リィンリィン♪と鈴が鳴るような音が聞こえ、ぽんっとログが出る。


【フレンド:ソーンテイルよりcallが届きました。callに出ますか? はい/いいえ】


 知らない名前だけど、すでに登録されてるフレンドは1人しかいないので、これは確実に翼だろう。だから迷わず「はい」を選ぶ。

 ちなみフレンドからのcallを取る際は、今みたいな方法と、片手を耳に当てながら《call》と念じれば取れるらしい。なお、call中は電話のように実際に喋りながらでもいいし、頭の名で念じながら会話することもできるそうだ。後者は難しそう。



 閑話休題。



『あああ!!やあぁっと連絡ついた!!お前、今どこにいんだよ!!!』


「第一声がそれかい。まだ大広場の噴水前だよ」


『ってか、お前、名前なんでそれなんだよ……もっと、こう、ひねれよ……』


「君に言われたくないわーただ自分の名字を英語表記にした奴に言われたくないわー」


 荊尾(たからお)いばらのしっぽ(ソーンテイル)、ってさ…翼も私と似たようなものじゃないか。不満そうに言い返せば、ため息をつかれた。解せぬ。


『まぁ、いいや。それよりも 俺、ユズリハにメール送っておいたんだけど、ちゃんと見ました?? このゲーム、フロントに入った状態でログインってなるから、届いてるはずなんですけど? それに、すぐ連絡してくれ、迎えに行くからってメール送ってたんっすけど、それ、見てます??』


 んん?メール…? そんなの、届いて……あっ、あっ、そういえば、フレンドからメール届いてるって書いてあった気が……。

 チェシャが他にもいっぱいいるっていう話と貰った特典見てすっかり忘れてたわぁ…。そっと、メールを確認する。あぁ…あー……やっぱり届いてるね、うん。内容はさっきcallで言われた通り、の内容でした。本当に綺麗さっぱり、これの存在を忘れてた、まじごめん。ここは潔く謝るに限る。


「ごめん、届いてたのは気がついたけど、見るの忘れてた」


『ですよねー!!!そんなことだろうと思ったよ!!!……はぁ、まぁいいや、五分ぐらいで、すぐそっち行くからさ、待っててよ』


「いいよ。ただちょっと日陰に居てもいい? 諸事情で日差しが眩しくて…えっと噴水を背にして左側にある銅像付近の木陰あたり」


『………日差しが眩しいって、お前なんの種族にしたんだよ。まぁ、いいや、会ってから色々聞くわ、りょーかい、すぐ行くからまた後で』


「うん」


 短く返事をしてからcallを切る。いやぁ…翼、じゃなかったソーンテイル……言いにくいからソーンでいいや、には悪いことしたわ。


 さて、いい加減この場所は眩しくてきついので、さっき言った日陰に移動しよう。

 そう思って顔を上げたら、目の前に3人の男の人たちが立ちはだかっていた。え、誰??

 そのうちの1人が、人の良さそうな顔して話しかけてくる。


「ねぇ、お嬢さん今日から始めた新規プレイヤーさんだよね? 1人だと大変でしょ? 俺たち先陣組なんだよねぇ、このゲーム慣れてるからいろいろと俺たちが、色々教えてあげるよ〜」


「結構です。必要ありません、他を当たってください」


 なんだ、こいつ……っていうのが私の第一印象。

 だから、きっぱりとお断りする。真顔で即答したら、話しかけてた男の顔がヒクリと引き攣った気がしたけど、知らん。

 というよりも、初対面の女子1人を男3人で囲って逃げられないようにしてる時点で、信用する気はない。

 それに、話してる最中、先頭を走ってる俺ら凄いでしょ?自分の装備すごいだろ?って見せつけて俺たちトッププレイヤーなんだぜ感を出してる時点で、なんというか、お察しだよね。


「1人だとつまんないでしょ? ほら、俺たちが、手取り足取り、なんでも教えてあげるよ?へへっ」


「そうそう、お姉さん可愛いから、サービスするしさ♪」


 他の男2人もそう言って話しかけてくる。最初に話しかけてきた人が人間で、他は狼の獣人とエルフかな?

 今はフレンド以外は触れない設定してあるセクハラ防止機能があるから、向こうが私に触れることはないけど、この状況は気分がいいものじゃない。

 ちなみに、セクハラ防止機能はセーフティゾーンでは自動的に有効になる。フィールドに出ちゃうと戦闘とかあるから一部無効になるそうだ。


 それより、さっきよりもジリジリと私との距離を詰めてきて、さらに逃げられないようにしてるの、私が気がついてないって思ってんのか…こいつら……。

 日差しの眩しさで険しくなってる私の顔がさらに険しくなってくる。


「……必要ないのでお断りします。あと邪魔なんで退いてください」


「えぇ〜そんなつれないこと言わないでよぉ。可愛い顔が台無しだよぉ?」


「俺らがお嬢さんを、立派なプレイヤーにしてあげる。だから一緒に遊ぼうぜ」


「そうそう、可愛いから1人だと危ないよ?俺らが守ってあげるからさぁ〜」




 だ、か、ら!!!人の、話を、聞けぇぇ!!!!


 あと最後のやつ!!お前らがその危ない連中だっての!!!!!!


 って、全力で叫びたい気持ちをぐっとこらえて、黙る。口を開いたら暴言吐きそうなので、お口チャック。ん。

 あと少ししたら、ソーンも来るしそれまでに諦めてくれるのが一番いいんだけど、そんな気配一切ないんだよね、この人たち。

 そして、私とのやりとりと男3人(推定180㎝前後)が女子1人(150㎝ぐらい)を囲んでる光景に周りの人がざわざわし始めてる。遠回しに見られてるし、なんか言われてる気配もする。こんな事で目立つのは嫌なんだけど、私……。

 思いっきりため息をついてやる。それでも、何だかんだ諦めずに話しかけてくる男3人組をガン無視して、そっと気がつかれないように視界の隅にある、とある項目を念じて選択。

 この場所でこれをやっても目立つけど、これ以上相手をしてるのが精神的に苦痛だ。というわけで、ここは遠慮なく、はい、ポチッとな。



「おい、俺たちの話聞いてる? 流石に無視されると腹立ってくるんだけど??」


「そうそう、この俺たちがせっかく選んであげたのに、無視とかさぁ〜ちょっとそれはどーなん??」


「おい、聞いてんのかよ!!!」


 私がガン無視してるから、男たちがイライラしてきてるのが伝わってくるけど無視。こっちだってイライラしてるんだから。

 そのうちの1人が、我慢できずに私に向かって軽く怒鳴って、私を掴もうと手を出してきた瞬間、男たちがピタリと動かなくなる。周囲のざわめきも大きくなったけど、とりあえず、やっと、きてくれたか。





「お待たせいたしました。こちらの3名の迷惑行為を確認致しましたので、GM権限にて拘束させて頂きました」


 突然、周囲に凛とした声が響く。

 ふわりと、光が集まり現れたのは世界観を無視した黒スーツのキャリアウーマンな雰囲気のお姉さんでした。



 はい、かなり迷惑だったので、GMコールをポチッとな、しました。

 まさか、GM自身がこの場にくるとは思わなかったけど。それにしてもGMのアバターはプレイヤーとの区別化を図るためか、ファンタジーの世界観ガン無視のスーツなんだなぁ。

 GMが言った通り、拘束されてるのであの迷惑3人組は動けない&喋れないみたいだ。さらにGMの声が響く。


「同じ内容の通報がこちらに数件届いております。さらにお調べ致しましたところ、こちらの3名は他にもいろいろと余罪がございますので、この後は特別ルームにてお話しをさせていただきます」


 そういうと、GMは指を鳴らす。パチンッといい音がした瞬間、あの迷惑3人組はその場から姿を消したのだった。そして、GMがこちらを向き頭を下げる。


「この度はご通報ありがとうございました。流石に現行犯でないとなかなか話し合いの場に持っていけなくて…この度はご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」


 おぅ、どうやら色々と問題があった人達だったらしい。この様子だとアカウント停止とかもありえそうだなぁ。まあ、あの人たちの自業自得だけど。


「いえいえ、GMさんが謝ることじゃないので、大丈夫です。こちらこそ迅速なご対応ありがとうございます」


「いえ、皆様が心から楽しく遊べるようにするのが我々のお仕事ですから」


 私がお礼言うと、GMのお姉さんはにっこりと微笑んだ、おぉ、綺麗な人の微笑みは破壊力がある。そして、GMは周囲に聞こえるよう凛とした声で言った。


「丁度良いので、周囲にいらっしゃいますプレイヤーの皆様にお願いです。先程のような、迷惑行為を受けましたら、どんな些細な事でも構いませんので、躊躇わずにGMコールをして下さいませ。遠慮はいりません、迅速にご対応させて頂きます。そして皆様におかれましては、節度ある態度とマナーを持ってゲームをお楽しみいただけますと幸いでございます。……それでは、お騒がせ致しまして申し訳ございません。引き続き《エリシュオン・フロンティア》をどうぞお楽しみください」


 優雅にお辞儀をしてから、GMも消える。周囲もざわざわと騒がしくて、あぁ、視線が痛い……。

 早く移動しないとなぁ…そう思っていたら、呆れを含んだとても聞き慣れた声がして、振り返る。



「……お前は、何やってんだよ」



 そこにいたのは見覚えのない白銀の甲冑を着たザ☆騎士様!な金髪で碧眼のイケメンがいた。


ユズリハは基本的に躊躇うことがほぼないです。

次はやっと合流します(ここまで長かった…)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ