8.サービス開始日になりました
自分は運があまり良い方ではない自覚があったけど、まさかの出来事にびっくりしてしまった……。
とりあえず、ドロップした『森狼の牙』と『森狼の心魂』は使うその日まで大切にとっておこう、と思いました、まる。
ちなみに、戦闘は先ほどの森狼で終了とのことだった。
負けちゃう人が多い中、勝ったのすごぉい!ってチェシャにめっちゃ褒められた。やったね♪
そのあとは、《弓術:Lv1》を持ってるので弓の扱い方(もちろん、初心者用武器は貰った)や種族特性のスキルの使い方など、残りのチュートリアルを受けて、BPも65分はステータスに振った。
そして、今の私のステータスはこんな感じだ。
名前:ユズリハ Lv.4
種族:人間×幻影種・吸血鬼 種族Lv.1
職業:ノービス 職業Lv.1
HP:125/125
MP:375/375
腕力:15
体力:15
敏捷:26
器用:30
知力:45
精神:36
幸運:23
BP:100
[装備項目]
武器:刀・初心
頭:なし
胴:初心者の胸当て
脚:初心者のスカート
足:初心者のブーツ
装飾品①:なし
装飾品②:なし
防御力:20(+7)
*スキル*
《剣術・刀:Lv3》《弓術:Lv1》
《居合・攻:Lv2》《居合・護:Lv1》
《氷魔法:Lv1》
《魅了の瞳:Lv1》《吸血・人間:Lv1》
《日光脆弱性・小:Lv1》《月光回復・小:Lv1》
《暗視:Lv1》《警戒:Lv1》《忍び足:Lv1》《鷹の目:Lv2》
《鑑定:Lv2》《採取:Lv1》《調合:Lv1》
SP:59
初期にしては育ってる方だと思いたい。
こうして私の、キャラメイクとチュートリアルが終了した。
「ユズリハ、お疲れ様ぁ♪ これで無事、キャラメイク&チュートリアルは終了だよぉ〜」
「うん、ありがとうチェシャ。とてもお世話になりました」
「いえいえ〜僕も楽しかったし大丈夫♪ 次はサービス開始日にねぇ♪」
「もちろん!」
さぁてと、あとはサービス開始日を待つだけだ。
********
そして時間は流れて、サービス開始日となりました。
当日の朝(というか早朝5時な…)に幼馴染から「開始12時からだから!!忘れんなよ!遅れんなよ!」的なメールが来て、お前、どんだけ楽しみにしてんだ……と真顔になった。というか、メールを送る時間を考えてください、まじで。
ちなみにメール確認したあとは、返信せずに二度寝をキメました。あの時間帯にメールしてくる方が悪い。うん。
閑話休題
なんでもβテスター特権で、翼は今日から始める人たちよりサービス開始時刻の2時間前からログインできるようになってるらしい。
まぁ、話を聞いてる限りとっても楽しんでるのが伝わってきたから、テンション上がってるんだろうなと。
さて、今の時刻は11時。
あと少しでサービス開始時刻。
なんですけどぉ……ここで1つ問題が……親が朝から喧嘩してんだよね…しょーもない事で……ただの痴話喧嘩なのわかったんだけどさ……(この後どうせすぐに仲直りして、デートに出かけるのは知ってるぞ)
これをどうにかしておかないと、プレイ中に身体を揺すられて、ゲーム途中で強制ログアウト…とか、ありえるってか、やられた前科がある。
はぁ、仲裁とかしたくないけど、しょーがない。
ため息をついてから、翼にはメールを送っておく。
『ごめん。のっぴきならない諸事情により、ログイン遅れる』
とりあえず、これで良しっと。
さぁ……犬も食わない夫婦喧嘩の仲裁してきますかぁ……はぁぁ〜〜〜
********
………はい、つっかれたぁ!!!これで心置きなくゲームができる!!!
仲裁したら、速攻で仲直りして、予想通りお手手繋いで仲睦まじくデートに行った両親を死んだ目で見送ってから、しっかりと戸締り。両親には夜までゆっくりしてきな、私はゲームしてるからほっといていいよと言ってある。
さて、色々ありましたが、飲み物用意したりなんかログインする前に必要なことは全て用意した。
時計を見る。只今の時刻、12時40分。
いつもは仲裁するのに時間かかるんだけど……私、頑張った方だと思うの、これ、誰も褒めてくれないけど。
とりあえず、気を取り直してベッドに横になりヘッドギアを被る。《エリシュオン・フロンティア》を起動させると、私の意識はスッと沈んでいった。
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頬にふわりと風を感じて、目を開ける。
空は茜色だ。日の光が苦手な種族なので、チェシャが変更してくれたままっぽい。
そう思っていたら、今では聞き慣れた、間延びした可愛い声に出迎えられる。
「あ、ユズリハ、おかえりぃ〜♪」
私を見つけた、チェシャは両手をブンブン振って歓迎してくれた。なに、この可愛い生き物、ほんと可愛い、現実にお持ち帰りしたい、くっ。
そんな欲望を抑えつつ、チェシャにたずねる。
「ただいま、チェシャ。えっと、ゲーム始めたいんだけど、どうしたらいい?」
「あ、ごめぇん、今はぁアクセスが集中しちゃっててぇ、順番にログインをご案内中なのぉ。5分前後でご案内出来るからぁ、お知らせメールとかゲーム設定とかぁ、確認しててもらっててもいい? あ、招待特典とかはメールで届いてるよぉ〜。案内できるようになったらすぐに教えるねぇ!」
「大丈夫だよ、わかった。よろしくね」
やっぱり、アクセスが集中して順番にログインって感じになりそうだなって思ってたんだよねぇ。
と、いうことで、チェシャに言われた通り、ステータス画面を開いて、メールの項目をチェック。新着は4件っと。えっと、届いてるメールは「《エリシュオン》の世界へ、ようこそ!」「ゲーム開始特典プレゼント☆」「招待特典について」…っと、この3件が公式から。あと1つが「連絡早よ!!」…これはフレンドメールって書いてあるから、翼か。紹介者は自動的にフレンド登録されてるってパンフに書いてあったような。そういえば、翼のプレイヤー名聞いてなかったなぁと思いつつ、まずは公式メールから確認。
ようこそ!のメールは、ゲームを始めるときに届くお決まりの挨拶だった。あ、これにも特典付きだ。『初心者HPポーション×5、帰還の翼×2、2000G』が付いてた。
メールを読むと自動的にインベントリに収納されるらしい。
ちなみインベントリに収納できる容量はアイテム系は200個まで、装備や武器は100個までとなっている。
アイテムは1スタック99まで重ねられるので、そうそうインベントリが圧迫されることはない…はず。装備は同じアイテムでも効果や品質が変わるから重ねることはできないそうだ。なお、インベントリの容量は課金で拡張可能らしい。必要になったら、課金は要検討かなぁ。
アイテムの詳細確認は後回しにして、次のメールも、どんどん読んでく。ゲーム開始特典は『装備品引換券×1、3000G』、そして招待特典は『特別くじ引き券×3』だった。
さて、初めて見るアイテムがあるし早速《鑑定》しますか。
『初心者HPポーション』
説明:飲むとHPが50回復。体に振りかけても回復するがその場合は徐々にHPが回復していく。味はすこぶる甘ったるく、美味しくない。販売価格:100G
『帰還の翼』
説明:フィールド上、どこからでも始まりの街の教会前に転移できるアイテム。緊急避難用。一度使うと無くなる。売却・譲渡不可。
『装備品引換券』
説明:ギルドにて、好きな装備品と交換できる。交換できる品物のリストは各ギルドにて確認を。売却・譲渡不可。
『特別くじ引き券』
説明:教会前のくじ引き屋でくじを引くことができる。景品は日替わり、詳細はくじ引き屋で確認を。貴方の運が、今、試される…!!! 売却・譲渡不可。
やっぱりポーション、美味しくないんだ。できることならポーションのお世話にはなりたくない気持ちが強くなっていく……。
帰還の翼は、なんというか……オフラインゲームで某有名RPGの、あのアイテムを思い浮かべてしまうのは、不可抗力だよね?というか、私だけじゃないはず、きっと。あれは確か洞窟とか天井がある場所では使えなかったけど。
装備品引換券はすごくいい。一覧にフード付きのケープみたいなのがあったらそれと交換しよう。なくても帽子とか、日傘とか、とりあえず陽の光を遮断できるものが、欲しい。これは結構切実だ。
くじ引きは……今行くと人がすごそう。ちょっと落ち着いてから行こうかな、人混みはあんまり得意じゃないし。
そして今の所持金は5000G。
それなりに武器やら装備品とか、ポーションを追加で買ったりしたら、すぐ無くなりそうな額だ。
やっぱりログインしたら、さっさと冒険者ギルド行ってクエストやろうかなぁ…うーん、悩む。
「ユズリハ〜!お待たせぇ準備できたよぉ〜!」
チェシャの声がして、ステータス画面から顔を上げる。ニッコニコな笑顔でふわりふわりと浮いてるチェシャが手招きをしてきた。画面を消してから、側に近寄る。
「大丈夫だよ、メールチェックしてたから、それにそんなに時間経ってないし」
最初にチェシャが言った通り、待ち時間は5分ぐらいだった。その間は色々と確認できたから、特に問題はない。
「ありがとうぅ、ユズリハ。あぁ、僕の担当の人たち良い人ばっかでほんと、よかったぁ……他のチェシャの子から、こうスムーズにいかないと当たり散らしてくるプレイヤーさんもいるって聞いててさぁ……僕の同僚が、ちょっと癖のある人担当になっちゃって涙目になってたんだよねぇぉ…」
「え、チェシャっていっぱいいるの?」
「いるよぉ〜みんな名前はチェシャなんだけどねぇ〜」
な、ん、だ、と…?!?! この可愛らしいもふもふが、他にも、いる、だと!!!
なんでも、膨大な数のプレイヤーを同時処理できるAIといっても、全てのプレイヤーを相手させるのは負荷が大きすぎるから、記憶を共有している毛並みと色がが違うチェシャが何体もいるとのことだ。それぞれ性格も違うらしい…え、すごく見てみたい……。
はっ、いけない。
思わず気になりすぎて詳しく聞いてしまった。
ゲームを始めようとしてたんだ。これ以上ダラダラと時間をかけるのはまずいだろう。
いけない、ほんとうっかり、気をつけよ。
気を取り直して。
「チェシャ、ゲーム始めたいから、よろしく」
「うん、りぉかーい☆ ってわけで、ポチッとなぁ〜♪」
私がお願いすると、チェシャは何かを操作した。
光が一点に集まり消えると、その場所には大きな扉が現れる。草原にポツンと佇む、木製の扉。めっちゃシュールだ。
「この扉が《エリシュオン》に行くためのゲートだよぉ。その扉をくぐればいいんだよぉ〜。ちなみに、今は何の代わり映えもしない普通の木製の扉だけど、その内デザインを自由に変更できるようになるからぁ、それまでこれで我慢してねぇ」
「うん、わかった。ありがとう、チェシャ」
私は扉のノブに手をかける。軽く押せば、簡単に扉が開いた、扉の中は淡い光に包まれてて先が見えない。
「それじゃぁ、チェシャ、行ってきます」
「うん!いってらっしゃーい♪《エリシュオン》の世界を楽しんで来てねぇ〜♪」
そして私は、チェシャに見送られて《エリシュオン》の世界へと足を踏み出したのだった。
なんか、1つ、忘れてる気がするけど……まぁ、いっか。
Q:何か忘れてる気がするぅ…
A:幼馴染からのフレンドメールの確認&返信
ユズリハの幼馴染に対しての扱いは、だいたいこんな感じでかなり雑。
次はこそはやっとゲーム始める、よ、てい
8/5修正:インベントリの容量等、修正。
8/11修正:「初心者ポーション」→「初心者MPポーション」に変更




