5.チュートリアル始めました
今回以降に出てくるので、
システムログ→【】
ワールドアナウンス→〈〉
スキルやキーワード→《》
アイテム名とか→『』
を上記の感じで記載してます〜。
意識がフッと浮上する感覚の後、私は頭のヘッドギアを外す。起き上がって、思いっきり背伸びをした。
うわっ……体がバッキバキだ……VRMMOやるの久々だったからなぁ。これは低反発マットとか購入して対策を考えなきゃ…。
枕元に用意しておいた飲み物を飲んで喉を潤す。
今の時刻は21時ぐらい。明日の用事はお昼からだから、日付変わるぐらいまでは出来るかな。
そう考えてから、トイレやらお風呂などパパッと済ませてきた。
ちなみ父親はまだ帰ってきてなかった。あらら、残業か…お疲れ様…お父さん…
あとは寝るだけの状態にしてから、横になりヘッドギアを被ると、再度私は《エリシュオン》の世界にダイブしたのだった。
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「あっ、おっかえりぃ〜♪」
フロントに戻ると、空中で丸まっていたチェシャに出迎えられる。可愛かったので速攻でスクショした。ほんとチェシャ可愛いよ。
「さぁてと、チュートリアル始めても大丈夫ぅ?」
「うん、お願い」
「りょーかぁい♪ あ、始める前にゲーム内での時間の流れを説明するねぇ。ゲーム内では現実よりも早く時間が流れてるよぉ。ゲーム内だと12時間毎に日付が変わるから、現実の1日は、ゲーム内では2日計算になるよぉ。期限付きのクエストを受けた時とかは注意してねぇ」
「わかった。あ、ログインのタイミングがいつもゲーム内の朝だけになっちゃう場合で、ゲーム内の夜の時間帯で活動したい場合は、やっぱりログイン時間をずらさないとダメ?」
「えっとねぇ、それに関してはぁ、ちゃあんと救済処置あるからぁ、違う時間帯に行きたい場合はゲーム始めたらぁ、教会に行ってごらん〜♪ そこで詳しく説明してくれるからねぇ」
その後も軽く世界の説明をチェシャから受ける。
《エリシュオン》の住人・NPC達はプレイヤーのことを、違う次元から魂だけでこちらに流れ着き、この世界用の肉体を得た者『魂の旅人』と呼んでいて、ステータスは高く、突然現れ、突然いなくなる人達、プレイヤーの死に戻りについては、神の加護のためと認識しているそうだ。
だから、違う種族だったとしても(見た目が魔物に近くても)それがその旅人の魂の形だから、プレイヤーなら受け入れてくれる。
ただ、NPCの彼らにも感情というものがあるから、偉そうな態度や酷い態度をしていれば、もちろん好感度は下がっていく。
最悪の場合、宿に泊まれなかったり買い物ができなくなったりと、影響が出てくるそうだ。なので、NPCには人と接する様に普通にしようねぇ〜と言われた。
「とりあえずこんな感じぃかなぁ〜。ゲームだからといって酷い行動や言動をしていれば、それなりのしっぺ返しはあるからねぇ。現実と一緒で自分の言動行動には責任を持つ様に〜あんまり酷い人にはGMが直接メッ!!ってしに行くからねぇ」
「うん、気をつける」
「まぁ、VRMMOに慣れてるのに、ちゃんと真面目に説明聞いてくれるからぁ、僕的にユズリハは大丈夫だなぁって思ってるけどねぇ」
チェシャはふふふっ♪と笑う。
おっと、まさかチェシャから好印象を持たれてたとは。これは嬉しい、私も頬が緩んでしまう。
「さぁてと、今度こそチュートリアル始めようかぁ〜。チュートリアル専用のフィールドに移動するねぇ」
そして、チェシャが手をポンポンっと二回叩く。一瞬、ザッと景色が流れたかと思うと、あっという間に見知らぬ場所に立っていた。
周囲を木々に囲まれ、少し開いた場所。森の中のちょっとした広場みたいな感じだ。
キョロキョロと辺りを見渡してた私にチェシャが言う。
「ここがチュートリアル用のフィールドだよぉ〜。まずはじめに、ユズリハには《採取》のやり方を体験してもらうよぉ」
「スキル選びの時に、取らない方がいいって言ってたのは、ここで覚えられるから?」
「そういうことぉ〜♪チュートリアルは、新しくスキルを覚える感覚を体感してみるのとぉ、戦闘をしてもらう予定だよぉ。ってことで、《採取》だよぉ〜。とりあえず、そこら辺に生えてる草を適当に5個ほど摘んでくる?」
そう言われたので、辺りを軽く見渡してから、とりあえず足元に生えてたピンクの小さい花、まっすぐな緑の草を2つ、ギザギザした草、全体的に黄色味がかった草を摘んでみた。
ちなみに摘んだ草は、特に設定しなければ自動的にインベントリに収納されるようだ。
すると、ピコン♪と軽い音が聞こえて視界の片隅に、ログが現れる。
【必要条件をクリアしたので、スキル《採取》を覚えました】
「チェシャ、《採取》覚えたみたい。……これ…覚えるの早くない?」
「それはチュートリアル仕様だからだよぉ〜♪ ゲーム内ならあと何十回か同じことを繰り返さなきゃ、無理だよぉ。まぁ、簡単なものなら、そんな感じで何度か行動したらすぐに覚えられるからねぇ〜」
チェシャの言葉を聞きながら、ステータス画面を開き、先程覚えた《採取》を確認してみる。
《採取:Lv1》
説明:フィールド上にあるアイテムを手に入れることができる。採取可能なアイテムは淡く光って見えるので目安に。レベルが上がると採取可能なアイテムの種類が増え、アイテムの品質が良くなる。
「ちなみにぃ、スキル《採取》を持ってなくてもフィールド上のアイテムは採取できるけどぉ、品質がガタ落ちするよぉ。あとクエストとかで必要なアイテムを探す時とかはこのスキルがあった方が効率が良いよぉ〜」
「やっぱり初級のクエストって、こう言った簡単な採取とか多い?」
「多いねぇ〜薬草はいくらでも必要なものだしねぇ。それにこの程度ならNPCの子供でもできる簡単なお仕事って感じだから、基本中の基本だねぇ」
「なるほど」
「さてさて、次いくよぉ〜♪ 今度はさっき採取した植物を全てステータス画面から確認してみて? ステータス画面の開き方はぁ……教える前にやっちゃってたからぁ、省略する、ねぇ……」
あ、前のゲームと同じかなってやってみたらできたから勝手に開いてた…ステータス画面…。
心なしか、説明する仕事を取られたから、チェシャがしょぼんとしている(可愛い)(スクショ余裕でした、はい)
心の中でちょっとごめんねと謝りつつ、言われた通り先程採取した草をステータス画面で確認する。
『草』
説明:ピンクの花がついてる草。
『草』×2
説明:まっすぐな草
『草』
説明:ギザギザの草
『草』
説明:黄色味がかった草
「チェシャ、説明は違うのに名前は全部一緒なんだけど……」
……これは、酷い。手抜きか?手抜きだろ??って言いたくなるぐらい。見たまんまじゃん!!!っと心の中でつっこんでしまった。
困ったようにチェシャに聞けば、チェシャはニヤニヤ笑顔で答えた。
「それがスキル《鑑定》を持ってない状態でアイテムを見た感じだよぉ。基本は見た感じの情報しか手に入らないんだぁ。だってそれに対した知識がないんだもん。まぁ、説明が違うから一応、それぞれ違う種類だってとわかるけどねぇ。ってことで、次はこれをユズリハにプレゼント☆」
そう言って手渡されたのが、1つスクロールだった。とりあえず受け取る。
「これは?」
「それはスキルスクロールっていうアイテムでぇ、特定のスキルを覚えるために必要なアイテムだよぉ〜。今渡したのは《鑑定》のスクロールだよぉ、開いて読んでみて?」
言われた通りスクロールを開こうとすると、目の前に半透明のパネルが現れる。
【スキルスクロールを使用しますか? はい / いいえ】
すぐに「はい」を選ぶ。するとスクロールを開けるようになった。
少しドキドキしながら開いた瞬間、スクロールは淡く発光し、ふわりと消えた。
【スキルスクロールを使用しました】
【スキル《鑑定》を覚えました 】
「《鑑定》覚えたよ」
「うん、上出来ぃ☆ スキルスクロールはそんな感じで、使えば新しいスキルを覚えられるよぉ。ただ、お店や各ギルドで買えるけど、かなり高価なものだから、注意だよぉ〜」
値段を聞いたら一番安いので1万Gだって。HPを50回復する初心者ポーションが100G。初心者用武器や防具が大体1つ、1000〜2000Gぐらいなので、結構いいお値段…。
ちなみにスキル《鑑定》のスクロールは、5万Gだそうです……高っ!!
「じゃあ、《鑑定》も覚えたことだしぃ、もう一度さっきのアイテムを確認してみて?」
そう言われたので、また先ほどのアイテムを見てみる。まずは、"ピンクの花がついた草"から。
『ルピナスの花』
説明:《エリシュオン》全域に一年中咲いているピンク色の小さな花。その香りは精神を落ち着かせる効果がある。
「……アイテム名と説明が変わった、めっちゃ変わった」
思わず呟く…これは、ほんとこれは…《鑑定》持ってるだけで、これまで違うとか……。
そんな私の様子を楽しげにチェシャが眺めていた。
「凄いでしょ〜? ちなみに、スキルレベルが上がると、さらに品質とかレア度とか、性質とかとか、事細かに分かるようになるよぉ」
「《鑑定》凄い…様々じゃないですかぁ…これ…」
「生産系のことやるなら必須って感じぃかなぁ。あ、今はステータス画面から見てもらってるけどぉ、アイテムを手に持って、頭の中で《鑑定》って思いながら見つめても、アイテム名と説明見れるよぉ〜。」
なるほど、確かにいちいちステータス画面を開いて確認っていうのも面倒だもんね。
せっかくだし、教えてもらった方法を……
「あっ!! アイテムを!インベントリから取り出す際は、ステータス画面でそのアイテムをタップするかアイテムの名前を呟けば出てくるよ!!!!」
いつもの間延びした喋りではなく、めっちゃ早口に説明された。
あれか、さっき説明をする前に、その動作をされたのがそんなに嫌だったのか……ほんとごめんね、チェシャ。
チェシャを喋らせるのが楽しくて話が長くなるぅ…
チュートリアルは何事もなければ、あと2話ぐらいで終わる予定…が、がんばる