27.まだまだ金策は必要です
あと年内もう一回ぐらいは更新できたら、いい、な……。
兎狩りの結果は、『ハーブラビットの肉×30』『ハーブラビットの上質肉×10』『スライムの素×5』でした。
狩りをやり始めたらなんだか楽しくなっちゃって、気がつけば時間を30分オーバー。
ただいまの時刻、9:30。まだモーニングには間に合うから大丈夫だろう。
とりあえず、めっちゃお腹すきました、はい。
兎狩りなのに、グリーンスライムのドロップアイテムがあるのは、ちょっとした理由があってね……。
狩りの最中はほとんど魔法を使ってたんだけど、威力が上がった今の『アイスバレット』だと、ハーブラビットの身体が被弾した瞬間、その衝撃で吹っ飛ぶんですよ。
そして、吹っ飛んだ先に運悪くいらっしゃったグリーンスライムの上にダイブ!グリーンスライムさん激おこ!こっち向かってくる!!……って感じのことが何度があったためのドロップだ。
ちなみに避けた個体もいたので、被害にあったグリーンスライムさんは運のステータス低いんだろうなと……。
まぁ、新しく手に入れたのでとりあえず《鑑定》。
『スライムの素』
品質:C
説明:スライム系の魔物から手に入る白い粉状のアイテム。無味無臭で摂取しても体にに影響はない。液体を固まらせる効果がある。調合・錬金・料理に使える。売却価格:100G
…………これ、スライムの素って言ってるけど、これ現実で言うところのゼラチンのことですよね???
とりあえず、これは《調合》をやるときにかなり使えそうなので売らずにとっておこう。
あとでスライム狩りも要検討だな。うん、何だかんだやることが多いぞ。
さてと、薬草の採取しつつ街に戻りますか。
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街に戻り、早速ギルドにクエストの報告。
ハーブラビット討伐の報酬1000Gと、薬草は最終的に60個集めたので、そのうちの40個を納品して貰った報酬は2000G。それを合わせて今の財産は10,500Gなり。
残りの薬草は後で《調合》のスキルを試したいからそれ用に残しておいた。
マメダは朝の段階で1匹も倒せてないのでこれは夜に狩りまくる予定です、はい。
「ユズリハさん、お待たせしました!こちらご報告いただいたクエストの報酬です!!」
「ありがとう、アリーチェ」
朝からとびっきり可愛い笑顔で報酬を渡してくれるアリーチェに癒される。あぁ、ほんと可愛いなぁ、この子。
朝一にクエスト報酬を受け取りに来た時にいたのはアリーチェではなく、男性のギルド職員さんだったので、会えなかったのでした。
ちなみにギルドの受付は数人のギルド職員で回しており、その中でもアリーチェは一番人気だそうで。
気になって聞いたら、少し遠い目をしつつ、その男性職員さんが教えてくれたのだ(多分、他のプレイヤーからも良く聞かれたんだろうな…お疲れ様です)
「あ、そういえば、ハーブラビットの肉の買取って、ここでもいいの?」
「ハーブラビットの肉ですか? こちらでも買取はできますが、ユズリハさんなら商業ギルドに売るのがいいと思いますよ。多少ですが商業ギルドの貢献ポイントにもなりますし、その時の適正価格で買い取って貰えます。冒険者ギルドだと買取はどんな時でも最安値になりますから食料系アイテムは商業ギルドに持っていくのがオススメです」
「へぇ、そうなんだぁ。ありがとう、あとで商業ギルドに行ってみる」
アリーチェにお礼を言ってから、受付を離れた。
あ、そうそう冒険者ギルドを出る前に、新しくクエストを受注しておこう。
前と一緒で『ハーブラビットの討伐』と新しく『グリーンスライムの討伐』『毒消し草の納品』『ルピナスの花の納品』を受注してみた。
新しく受けたクエストの内容はこんな感じだ。
『グリーンスライムの討伐』
説明:始まりの草原に生息しているグリーンスライムを5匹倒す
報酬:1000G
ランク:F
『毒消し草の納品』
説明:毒消し草を10個集め、納品する
報酬:800G
ランク:F
『ルピナスの花の納品』
説明:ルピナスの花を10個集め、納品する
報酬:500G(花の状態により増減あり)
ランク:F
スライムの素を集めたかったからスライム狩りも追加。
薬草の採取してた時に、毒消し草とルピナスの花はそちらほらと見かけてたからすぐに集まりそうだったのと、そろそろ《調合》にも手を出しいたいか、その素材として欲しかったんだよね。
さて、これでここでの用事は終了ってことで次は冒険者ギルドを出てすぐ向かいの商業ギルドに。
商業ギルドはギルドカードを受け取りに来た以来だ。
扉を開けて中に入れば、前に来た時に見かけた老執事のジーヴスさんが和かな笑顔で出迎えてくれた。
「おはようございます。ユズリハ様、本日はどのようなご用件で?」
「え、あの、食料系のアイテムの買取をお願いしたくて……」
「なるほど、アイテムの買取をご希望ですね。かしこまりました、では、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
お礼を言えば、優しく微笑まれた。そして歩き出したジーヴスさんについていく。
ってか、一度しか会ってないのに顔を覚えられてて、なおかつ名前も把握されてた事に驚いて、思いっきりまごついてしまったわ……。
ジーヴスさんに案内され、ギルドカードを作った時とは反対のカウンターへ。
まるで銀行とかの窓口みたいな感じで、横一列に受付がずらりと並んでいる。窓口は全部で8ぐらいかな?
まだ朝なこともあって利用している人はまばらだ。
キョロキョロと眺めていたらジーヴスさんが「今の時間帯が一番空いているのです」と教えてくれた。
そして、その中のうちの一つの窓口へと案内される。
「トムル、アイテムの買取希望のお客様です。初めてご利用される方ですので、ご説明も一緒にお願いしますね」
「かしこまりましたぁ〜お任せくださぁ〜い」
ジーヴスさんが声を掛けると、窓口にいた糸目でほわほわした雰囲気のエルフの男性職員が間延びした声で返事をする。
「では、ユズリハ様。あとはこの者がご案内致しますので、ごゆっくり」
「ジーヴスさん、ありがとうございます」
お礼を言えば、にっこり微笑みジーヴスさんは最初にいた持ち場へと戻っていった。
「それではぁ、初めましてぇ〜ユズリハ様。本日買取を担当させて頂きますぅ、トムルと申しまぁす。どうぞ良しなにぃ」
「えっと、よろしくお願いします」
「ではぁ、売りたい品物をこちらのカウンターに出して頂いてもいいですかぁ?」
喋り方が独特なトムルさんを見てると、なんとなくチェシャを思い出すわ……と思いつつ、とりあえず『ハーブラビットの肉×20』『ハーブラビットの上質肉×5』を指定されたカウンターへと取り出した。
「ほほぉ、ハーブラビットの肉と……おぉ〜!それの上質肉ですかぁ! ふむふむ、これなら全部合わせて7,000Gってところですね」
「え、そんなに高めに買い取ってもらえるんですか?」
予想していたよりも高値で買い取ってもらえたので、驚いて思わず聞いてしまった。
トムルさんは、糸目をさらに細めて微笑むと丁寧に説明してくれる。
「近々、収穫祭って言うこの街のお祭りがあるのでぇ、そのお祭りで使う肉を商業ギルドで大量に確保中なんですよぉ〜。で、今の時期ですとぉ普通の肉ならちょいと高めに買取しておりますぅ。あと上質肉はなかなか売ってくれる人がいないので、かなり足りてない状況で。高値で買取中なんですよぉ〜」
「え、あの、お祭り…?? お祭り、やるんですか?」
「はぁい、日々の糧に感謝する年に何度かやる恒例のお祭りですねぇ。今度近いうちにやるから祭りの支度しろ〜って言うご神託が降りてきたらしくて只今準備中なんですよぉ〜」
これって今度、公式イベントがあるってことなのかな?? んで、この買取関係とか隠し要素的なやつだったりしてぇ……
前作のゲームの時に、似たような公式イベントあったんだよね……その街のプレイヤーに対する好感度や行動によって内容が変わるやつがあったんですよ……なんかその時の感じに似てる。
……あと、でソーンに丸投げ…じゃない確認してみようかな、うん。
「ユズリハ様? 大丈夫ですかぁ?」
「あ、すみません。ちょっと考え事してました…えっと買取金額の内訳を聞いてもいいですか?」
「いえいえ〜えっと、買取の内訳はハーブラビットの肉が1つ150G、それの上質肉が1つ800Gなので個数分計算すると合計で7,000Gって感じですぅ」
いけない、いけない……思わぬ情報のせいで思考が飛んでたわ。
トムルさん曰く、アイテムの売買は基本的に適材適所で行うのが一番だそうで。
専門じゃない場所で売ると、アイテムの説明分に書いてある「売却価格」の金額でしか買ってもらえないそうだ。
ちなみに、直接店から頼まれれば別だが、何の紹介や繋がりもないのにお店に直接売りに行っても、基本は買い取ってはくれないですよぉと言われた。
その仲介をするのが商業ギルドだそうで、なるべく高く売りたいのなら一度こっちに持ってくる方がオススメですよぉ〜とも。
とりあえず、思ったよりも高値で売れたし、今後の公式イベントに関係ありそうなら、アイテムは全部売ってしまおう。
同じクエストは再度受注してるので、またすぐ集まりなので持っていた『ハーブラビットの肉×32』『ハーブラビットの上質肉×11』を売ってしまうことにする。
そして、最終的に買取価格は13,600Gに、手持ちと合わせて今の全財産24,100G。
よし、これなら今日中に目標金額まで集められそうな気がする。それに今だと、これが一番楽な気がしてきた。
金額を受け取って、トムルさんにお礼を言ってから商業ギルドを後にする。帰り際にジーヴスさんに挨拶も忘れずに、と。
只今のゲーム内時刻は10時30分ぐらい。
流石にお腹すいてきたわ……簡易ステータス見たら『空腹』の文字。
「ごはん、食べなきゃ……ごはーん……」
と呟きながら、地図を確認。
ソーンに教えてもらった美味しいごはん屋さんは…と、この辺りか。
よし、美味しいご飯を求めて、れっつごー!
つぎはご飯の回か幼馴染が再登場か、どっちかになりそう。
公式イベントは、そのうち詳細出るはず(多分)




