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11.お買い物からの、お久しぶり

そろそろ、更新がゆっくりになります。

(ストックが…なくなった…)

今回もちょい長めかも。

 

 まず初めに向かったのはNPCが経営してる服屋だった。

 店内を見ると、フリルや明るい雰囲気の可愛らしい服が多いので女性服専門店って感じ。ちなみにソーンは入るのはちょっと……とのことで、外で待ってる。

 キョロキョロと見渡していたら、愛想の良い可愛らしい店員さんがお出迎えしてくれた。

 早速、こちらの要望と予算を伝える。店員さんは一瞬考え込んだあと、笑顔で奥に引っ込んで行き、何着か持ってきてくれた。どれも要望通り、フード付きだ。その中で気になったものを3つ選ぶ。



 1つ目は、茜色のポンチョ。裾の部分に同じ色のフリンジが付いてて、ちょっと幼い感じもするが、可愛らしい。丈の長さは太ももぐらいまで。素早く動きたいときには少し動きにくいかも。


 2つ目は藍色のケープ。白糸で部分的に、シンプルで細かい花の刺繍が施されている。裾の部分もシンプルな白のレースで飾られていて、これも可愛い。丈の長さは腰より少し上ぐらいなので、あまり邪魔にならなそうだ。


 3つ目は、黒のマント。特に模様などない無地のマントだ。丈の長さは3つの中で一番長い、膝まで。ただ、触り心地は一番良く、そして軽い。これも素早く動きたいときには邪魔になりそうだが、着れば腰の刀などが隠せるので、戦闘時に相手にこちらの動きを隠せそうだった。



 うーん、どれもいい感じなので悩む。

 全て品質はC(コモン)、防御力は+4で耐久値が500、値段は黒のマントが少し高めで4000G。それ以外の2つが3000Gだ。

 ちなみに装備する欄は頭になる。なお、耐久値の減少については攻撃一回受けるごとに2減少、受けた攻撃がクリティカルや弱点だと5減少となる。0になれば装備は壊れて無くなるので、耐久値が無くなる前に、お店かギルドに持ってきて修理を、と店員さんが丁寧に説明してくれた。


 うーんと悩みに悩んだ結果、私が選んだのはこれだ。



『白小花の藍色ケープ』

防御力:4 耐久値:500 品質:C(コモン)

説明:白糸で花の刺繍が施された藍色のケープ。可愛らしいデザインで若者に人気。強化可能。



 可愛かったのと動きやすさで選んだ。

 自分で《鑑定》を使った時、品質の項目は出てこなかったので、これは店員さんが教えてくれたからのようだ。

 早速装備して、代金を支払う。代金は自動的に引き落とされるらしく、チャリン♪という音が聞こえたと思ったら減っていた。

 お礼を言ってから、お店を出る。うん、良い買い物した。早速フードを被れば眩しさは多少軽減されてる。まぁ、被っていないよりはマシって程度だけど。


「ソーン、お待たせ。ありがとう」


「ん、どーいたしまして。へぇ、似合ってんじゃん、それ」


 外で待ってるソーンにそう声をかければ、ニコッと爽やかな笑顔でそんな風に返される。

 ……相変わらず、そういうことをさらっと恥ずかしげもなく言えるよな、こいつ。と思いつつ、「ありがとう、可愛いよね」と無難に返事を返しておいた。




「んで、ソーンが連れて行きたいところってどこ?」


「あぁ、それならこっち」


 そう言って歩き出したソーンについていく。そして着いたのは、大通りの商店街から少し離れた路地にある小さなお店で、特に看板はない。何のお店かもぱっと見、判断はつかない。初見だと、ここに店があるのを見落とすだろうなってぐらい、わかりにくい知る人ぞ知るって感じだ。

 そんなお店の扉をソーンは躊躇無く開けて中に入る。私もその後に続いた。



 カランカランと扉に取り付けてあるベルが軽い音を立てる。


「いらっしゃい」


 店の主人だろうか、渋めで落ち着いた男性の声。

 ん…? あれ、私、この声知ってる、ぞ??


「おう、来たぞー。今、平気?」


「あぁ、ソーンか。ご覧の通り、客はいないから大丈夫だ。それで、今日はどうした?」


 確認するため、ソーンの後ろからひょこり顔を出したら、声の主とバッチリ目が合う。

 背丈が190㎝ぐらいで襟足の短い焦茶の髪に琥珀色の瞳、身体つきは逞しく手には大きなハンマーを持っていた。まさに鍛冶職人って感じだ。そして、その顔は見覚えがある。

 その声の主は、私の顔を見て驚いた表情をしていた。もちろん、私もだ。


「あれ、もしかして、ジン?」


「その声……ソーンと一緒に来たってことは、お前、ユン…か? そうか、またゲーム始めたんだな」


 声の主は私も良く知る人物だった。

 私がジンと呼んだ相手は、前のゲームで、鍛治専門の生産プレイヤーとして、名を馳せていた人物であり、同じプレイヤーギルドの仲間でとってもお世話になった。いろいろあった時も、とても心配してくれて親身になってくれた相手だ。お兄ちゃんってよりはお父さんって呼びたくなる感じ。むしろ、前はふざけてそう呼んでたこともある。それすらも笑って許して、さらにそのノリに乗ってくれる良い人だ。

 ちなみに、ユンは私が前のゲームで使ってたプレイヤー名だったりする。


「うん、ユンだよ。まぁ、今はユズリハって名前でやってるけど」


「そうか、そっか、元気そうで何より。俺はジンジールって名前でやってるから、前と同じジンで構わないぞ」


 なるほど、ソーンが私を連れて来たかった理由はジンに会わせる為だったのか。

 ちらりとソーンを見れば目が合う。ニッコニコとしてやったりって感じの顔をしてた。なんか腹立つけど、ジンと会わせてくれたことには感謝なので、とりあえず横腹を軽く小突くだけにしといた。


「わかった、じゃあ前と同じよう呼ぶ。ジンは今回も鍛治専門?」


「基本はそれだな。武器・装備品専門の生産プレイヤーとしてやってるから、あとは作るものによって裁縫とか皮革関連とかも必要になるやつ手広くやってるぞ」


 そう言ってニカッと笑う。ソーンが無駄にキラキラって感じなら、ジンは爽やか好青年だな、うん。

 話を聞くと、ジンもβテスターで、βテスト中にソーンと再会して意気投合、前との同じように組んで一緒に遊んでたそうだ。その時に私の話になって、ソーンが正式サービス開始したら私を誘うと聞いて、なら始まったらこの店に連れてこいよって、なったとのこと。


「ここは、ジンのお店?」


「あぁ、俺の店だ。βテスター特典で誰かを招待しない代わりにβテストの時のデータを全て引き継ぐっていうのがあってな、俺はそれにしたんだ」


「へぇ……じゃあ、ソーンは?」


「俺? 俺は誰か1人を招待する代わりに、レベルとスキルレベルが半減した状態で、アイテムは全て引き継ぎ可って感じだったな」


 どの特典を受け取るかによって引き継げる内容はバラバラだったそうだ。

 ソーンに、レベルとスキルレベルが半減して良かったのか、そう聞いたら、また色々と試せて面白いだろ?とソーンは笑っていた。


「で、ジン。俺も連れてこいよとは言われてたけど、ユズリハに何か用事だったのか?」


「あぁ、それは前のゲームん時に、ユズリハからSR(スーパーレア)やらL(レジェンド)級のアイテムがっぽりタダで貰ったから、それのお返しをしたくてな」


 確かに、そんなこともあったかも……。私がログインしなくなるから、持っていた素材系のアイテム全部、在庫処分って感じでジンに押し付けた気がする。


「え、あれは、在庫処分って感じでジンに押し付けただけだし、お礼は必要ないよ」


 そう言ったらジンにすごい顔で睨まれた。ひぇっ、その顔は迫力があって結構怖いよ、ジンさん。


「俺の気が済まないから、とりあえず黙って厚意を受け取っとけって、そのうち素材とか俺んところに卸してくれればいいさ」

 


 そう言われて押し切られました。はい。

 ちなみにジンのお礼とは、私の武器と装備一式を赤字覚悟の破格な価格で作ってくれるそうだ。

 前作でも、私の使っていた武器と装備はほぼ全てジンが作っていた。ジンが作る物は、すごく出来がいいし、使い勝手が良かったんだよね。


「……わかった。お言葉に甘えることにする。ありがとう、ジン」


「いいってことよ。俺のスキルアップにもなるし、それに物を作るのは楽しいからな。ユズリハの戦闘スタイルは前作と一緒か?」


「うん、それが一番戦いやすいから」


 私の戦闘スタイルは、基本的に近・中距離タイプで、回避盾&素早さを活かしたアタッカーだった。だいたい近距離で攻撃するときも、付かず離れずを繰り返して手数の多さで勝負!中距離からは魔法をぶっ放つ!って感じ。


 私の説明を聞きながら、ジンが作る物を、考えてくれる。


「そうなると、装備は速さを活かした軽装備にして……武器は…ああ、やっぱり変わらず、刀使ってるんだな、あと弓っと……デザインはどうする?」


「ジンにおまかせする。けど、派手すぎるのは勘弁してほしいかな」


「了解了解。ならシンプルに動きやすいデザインだな。うん、そんな感じで使い勝手の良い装備作ってやるから、楽しみに待ってな」


 そして、ジンとはフレンドコードを交換。うん、これですぐ連絡取れるね。

 ちなみに、私とジンが装備について話し合いしてる間、ソーンは掲示板に先ほどの種族について書き込んでいるようだった。時々、反応がヤベェ…とか、うわぁ…とか聞こえてくる。うん、なんか忙しそうだ、頑張れ。


「あ、あとはひとつ注文付けていい? マントとかケープ作る場合はフード付けて欲しい。日差し避けで」


「あぁ、それぐらいなら構わんよ。店入ってきた時もお前さん被ってたし、種族的なので必要な感じか?」


「そう、こんな感じだから必要なの」


 そう聞かれたので、自分のステータス画面を表示、例のログが出てきたので許可する。そしてジンの前へ、ポイっと。


「……おい、ユズリハ。お前さん、他人にそう簡単にステータスを見せるのは如何なものかと思うぞ? 」


「え? でも、ジンは悪いことに使わないでしょ? だから平気だよ」


「いや、そういうことじゃない、そうじゃないからな? もっとこう…なんていうか、知ってる相手でも、警戒しろな? え、ジンだから問題ない? …………おい、保護者(ソーン)。俺には無理だ、どうにかしろ、これ」


「すまんな、ジン、諦めろ。何言ってもそいつ聞かねぇから、まじで。さっきも同じやり取り、俺とやってっから、俺が注意してもそれだから、諦めろ」


「………そうか、なんというか……大変だな、お前。うん、頑張れよ、ソーン」


「そんな励ましはいらねぇ……!!くっ!」


 え、何気に酷くないですか、この2人。

 2人して人の顔見て呆れた表情してるし、ユズリハだからしょうがないとかなんとか言ってうなずき合ってるし、失礼な。


「とりあえず人の顔見て、ため息つくのは失礼だと思う、そこの2人」


「お前が!!そうさせてんだよ!!」


「そうだぞ、ユズリハ。そのうちソーンの胃が限界になるぞ、少しでいいから労ってやれ」


「え、無理。ソーンは私の保護者じゃないし無理無理」


 そう即答したら、ジンは盛大に吹き出して大笑い。ソーンはガクッと盛大なため息をついて項垂れたのだった。

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